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勝どきのタワマンは修繕積立金不足なのか ~ 続き

<前回のおさらい>
・前回はそもそもマンションを購入するにあたり「マンション管理」の点で良い物件を買いたいのでマンション管理とは何か?から考えた
・マンション管理の状況は、国や地方自治体が公表の取り組みをしているものの、勝どきのタワマンでは比較可能な指標はなかった
・そんな中で、オウチーノでは掲載している中古物件の部屋ごとに修繕積立金が不足しているかどうかを示すラベルを公表していた
・そのラベルでは、勝どきのタワマンで購入検討対象のうち、勝どきザ・タワー、TOWERS  TOKYOなどは修繕積立金が不足している結果だった
・購入検討対象の物件だったので、深堀してそれが本当かどうかを確認したい

<目的>
・購入検討対象の物件の勝どきタワマンの修繕積立金の状況を理解して、購入時の修繕にかかるリスクを管理すること

<方法>
・下記の点を確認する
・国土交通省が定める適正な修繕積立金額の目安とは何か?
 ・購入検討対象の勝どきタワマンで言うと、どれくらいの平米数を対象とした目安の金額なのか
 ・積立金は築年数後一定期間経過後に段階的に上がることが通例だと思われるが、それを含めれば適正と言える可能性があるか
 ・国土交通省の目安金額は12、20年目の修繕を対象にするなど何を対象にした目安なのか
・そもそもタワマンの修繕費用は10、20年の単位で予測可能なのか
・修繕積立金が足りていたとて運用で失敗する可能性があるか

<確認結果>
・国土交通省が定める適正な修繕積立金額の目安とは、長期修繕計画に基づいて定められた修繕積立金額のことを指す
・長期修繕計画では、将来見込まれる修繕工事や改修工事の内容とおおよその時期、概算費用などを明確にして、それらの工事の実施のために積み立てる修繕積立金額の根拠とし、かつこの計画についてあらかじめ合意することで計画修繕工事の実施を円滑にすることを目的として作成する。
・長期修繕計画の対象は、棟型のマンションの場合、管理規約に定めた組合管理部分である敷地、建物の共用部分及び附属施設(共用部分の修繕工事又は改修工事に伴って修繕工事が必要となる専有部分を含む。)を対象とする
・修繕積立金額は、長期修繕計画の計画期間の推定修繕工事費の累計額を計画期間(月数)で割って、各住戸の負担割合を乗じて、月当たり戸当たりの修繕積立金の額を算定する
・修繕積立金の積立ては、長期修繕計画の作成時点において、計画期間に積み立てる修繕積立金の額を均等にする積立方式(以下「均等積立方式」という)が基本である
✳︎ 均等積立方式による場合でも5年程度ごとの計画の見直しにより、計画期間の推定修繕工事費の累計額の増加に伴って必要とする修繕積立金の額が増加する。
✳︎ 計画期間に積み立てる修繕積立金の額を段階的に増額する積立方式とする場合は、計画の見直しにより、計画の作成当初において推定した増加の額からさらに増加するので特に注意が必要
・長期修繕計画の精度については、作成時点での計画期間の推定修繕工事の内容、時期、概算の費用等に関して計画を定めたものなので、 推定修繕工事の内容の設定、概算の費用の算出等は、新築マンションの場合、設計図書、工事請負契約書による請負代金内訳書及び数量計算書等を参考にして、また、 既存マンションの場合、保管されている設計図書のほか、修繕等の履歴、劣化状況等 の調査・診断の結果に基づいて予想することになる。なので長期修繕計画は、将来実施する計画修繕工事の内容、時期、費用等を確定できない。一定期間(5年程度) ごとに見直していくことを前提にする
・長期修繕計画のリスクとしては例えば、計画された修繕工事の内容が、新築マンションの場合は現状の仕様により、既存マンションの場合は現状又は見直し時点での一般的な仕様により設定するが、計画修繕工事の実施時には技術開発等により異なることがある。また、時期(周期)は、おおよその目安でしかなく、立地条件等により異なることがある。 加えて、収支計画には、修繕積立金の運用利率、借入金の金利、物価・工事費価格及び消費税率の変動など不確定な要素がある
・ソース 「長期修繕計画作成ガイドライン (令和3年9月改訂)」に記載された長期修繕計画に基づいて "https://www.mlit.go.jp/common/001172730.pdf"

<所管>
・国土交通省が定めた適正な修繕積立金額というのは、「長期修繕計画の計画期間の推定修繕工事費の累計額を計画期間(月数)で割って、各住戸の負担割合を乗じて、月当たり戸当たりの修繕積立金の額を算定」した金額ということでそうすると、オウチーノで見たラベルは住戸ごとの金額と掲載物件の修繕積立金額を比較して判定しているものと思われる
・一方で、国交省が基本としている積立方式は、均等積立方式である。そのため、段階的に増額する積立方式を採用しているタワマンはオウチーノサイト上は「適正な修繕積立金額」のラベルが貼られていないと思われる
・長期修繕計画の収支計画には、修繕積立金の運用利率、借入金の金利、物価・工事費価格及び消費税率の変動など不確定な要素がある。(タワマンの修繕費用は確定出ないし推定ができるけど当たるかは不明)

<次回>
・国土交通省規定の適正な修繕積立金を算出する際に考慮に入れる将来必要と想定される修繕工事・改修工事に何が含まれるのか、極端に言えば12年目?の修繕のみで、その後の大規模修繕が含まれていない可能性がないかは次回確認したい
・結局のところいくらの修繕積立金が必要なのか、将来的な修繕や改修工事の費用の負担リスクを考えるには下記の点を明確にしないとわからないと思われる
 ・長期修繕計画では、いつ、どんな修繕または改修工事を想定しているか
 ・太陽光パネル設置など将来的に設置が必須とされる機器の工事は想定されているのか
 ・不動産会社がもしかして工事費用をいくらか負担するなどの契約があったりするのか(希望的観測)
→ これらのことを詳細化する方法と結果を次回調査したい

<以下はメモ>
<長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の手順>
・新築マンションの場合は、分譲会社が提示した長期修繕計画(案)と修繕積立金の額について、購入契約時の書面合意により分譲会社からの引渡しが完了した時点で決議したものとするか、又は引渡し後速やかに開催する管理組合設立総会において、長期修繕計画及び修繕積立金の額の承認に関しても決議することがある
・既存マンションの場合は、長期修繕計画の見直し及び修繕積立金の額の設定につい て、理事会、専門委員会等で検討を行ったのち、専門家に依頼して長期修繕計画及び修繕積立金の額を見直し、総会で決議する。なお、長期修繕計画の見直しは、単独で行う場合と、大規模修繕工事の直前又は直後に行う場合がある
・長期修繕計画の見直しに当たっては、必要に応じて専門委員会を設置するなど、検討を行うために管理組合内の体制を整えることが必要である

<修繕積立金額の設定方法と積立方法>
修繕積立金の積立方法 
・修繕積立金の積立ては、長期修繕計画の作成時点において、計画期間に積み立てる修繕積立金の額を均等にする積立方式(以下「均等積立方式」という)が基本である
・なお、均等積立方式による場合でも5年程度ごとの計画の見直しにより、計画期間の推定修繕工事費の累計額の増加に伴って必要とする修繕積立金の額が増加する。
・計画期間に積み立てる修繕積立金の額を段階的に増額する積立方式とする場合は、計画の見直しにより、計画の作成当初において推定した増加の額からさらに増加するので特に注意が必要
・分譲会社は購入予定者に対して、また、専門家は業務を依頼された管理組合に対して、 修繕積立金の積立方法について十分に説明することが必要である

修繕積立金の額の設定方法
・長期修繕計画における計画期間の推定修繕工事費の累計額を計画期間(月数)で除し、各住戸の負担割合を乗じて、月当たり戸当たりの修繕積立金の額を算定します。 また、新築マンションにおいて、購入時に修繕積立基金を負担する場合の月当たり戸当たりの修繕積立金の額は、上記で算定された修繕積立金の額から修繕積立基金を一 定期間(月数)で除した額を減額したものとする
・大規模修繕工事の予定年度において、修繕積立金の累計額が推定修繕工事費の 累計額を一時的に下回るときは、その年度に一時金の負担、借入れ等の対応をとることが必要です。また、災害や不測の事故などが生じたときは、一時金の負担等の対応が必要になる

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