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【ハンドボール】"After TOKYO2020"のJHLを順位予想してみた

※全文無料で読めます。「すごく面白かった!」という方は記事を購入していただけると嬉しいです。その方の推しチームを一緒に応援します。

いよいよ開幕!

オリンピック後のハンドボールロスに苛まれていた皆さん、いよいよJHLの開幕がやってきましたね!
春先から数々の「移籍」がハンドボール界隈を大いに盛り上げたり、代表理事に葦原さんが就任してリーグ運営にも新しい動きが出てきたりと楽しみな要素が昨年以上に多いシーズンです。

あ、ちなみに自分はJHLtvの有料化は賛成ですし990円しっかりお支払いします💰。強いて言うとすれば、実況解説や通信品質は満足しているので更なるサービス向上について我々「顧客」の声を反映させる用意はしておいてほしいですね。

そんな2021-2022シーズンのJHLについて、
・プレーオフ進出となる上位4チームの予想
・今シーズンの期待要素および不安要素(書ける程度に試合を観てるチーム限定)
を独断と偏見で書いていこうと思います。

※文字数の関係で「選手」の呼称を省いています
※開幕時点での情報からの予想です。内部の人じゃないので非公開情報は持っていません(笑)
※レギュラーシーズンの順位予想です。プレーオフは一発勝負なので何が起こるか分かりません。
※恒久的な特徴は省きます

それでは、長くなりますが読んでいただけると嬉しいです!

男子 プレーオフ出場予想チーム

1位 豊田合成
期待要素:戦力維持、バラスケス残留、マルティン加入によるPV充実
不安要素:薄くなったGKの選手層

今シーズンも豊田合成が1位筆頭候補でしょう。昨季MVPの趙顯章、オリンピックで活躍した水町&徳田、当初単年契約だった(はず)バラスケスも残留し、コートプレーヤーは盤石の選手層です。さらに主軸の橋本が退団するもそれに代わる強力なPVマルティンをヨーロッパから補強しました。新戦力でいうと、サイズとシュート力のある服部も個人的に楽しみな選手です。

強いて不安要素を上げるとするならば、坂井、佐々木の離脱により2人に半減したGK。中村がブレイクした昨シーズンと同程度の活躍を維持できるとは限らないので、そこでベテラン藤戸がどれだけチームを支えられるか。ただし、それを補って余りあるDF陣がいるので大きな支障にはならないでしょう。

2位 トヨタ車体
期待要素:笠原退団をものともしない選手層、手堅い新卒補強
不安要素:左利き不足=渡部依存の深刻化、木切倉に代わる正統派センターが出るか

対抗馬の筆頭はこれも昨季に引き続き車体だと思われます。開幕直前に笠原が退団発表したものの、元々飽和状態だった選手層なので十分にカバーは可能かと思われます。また、新卒補強も筑波からGK平尾、LW髙野、CB松下と手堅く行っており、中央から左側の選手層はリーグ随一と言っていいでしょう。

しかしそれと真逆に深刻なのが左利きの選手層であり、プレーオフ決勝で露呈した渡部への依存は深刻です。RBは津屋などでカバーが可能なものの、他の左利きは2人、36歳となった高智&RBとしては小柄な伊舎堂。今季も渡部は攻守で替えの利かない負担の大きいシーズンになりそうです。実業団の車体が学生を参加させることは難しいと思うので、来年度の新卒として攻守で活躍できる即戦力クラスの左利き獲得が必須でしょう。

上位安定だが1位にはプラスαが必要ということで2位としました。

3位 大崎電気
期待要素:エース候補川島の加入、大黒柱元木&木村の残留、監督の本領発揮
不安要素:選手の絶対数(3人の退団+新卒選手の加入なし)、7人攻撃のクオリティ

一連の移籍のあおりを最も受けた大崎ですが、これを見越していたかのような岩永監督の若手積極起用が功を奏し、上位を狙えるだけのチーム力は維持していると考えています。

幸いにもチームの柱と言える元木&木村は残留し、怪我から復帰した小澤&伸び盛りの高間のサイドコンビ、強さの衰えない森、匠の領域に入りつつある植垣などまだまだ強力なメンバーを揃えています。ここに安倍や玉川が本調子を取り戻せば上位は盤石でしょう。また、信太に代わる”エース”として北電から川島を獲得しました。早稲田時代、東江と共に湧永を粉砕し車体に2点差の好ゲームを演じた紛れもない実力者。爆発力は昨年以上です。

ただ、選手の数が少ないという大きな課題は1年間付いて回ります。複数人の故障や低調、代表活動による離脱が発生した場合には1人1人への負担はより大きくなり一気に黒星がかさむ危険性もあります。例年以上に怪我には注意したいです。また、小山&小室が退団したことで昨年末の日本選手権でお披露目した7人攻撃のメンバーが変わりクオリティが上がるのか下がるのか。個人的に、植垣&小山の"ハンドボールIQお化けコンビ"が見られなくなるのがとてもさみしいところです。

1年間安定して戦えるか、という点を考慮し3位予想です。

4位 ジークスター東京
期待要素:土井、東江を始めとするトップ選手の大量加入、小室&橋本によるDFの安定
不安要素:チーム力、補強してもなお薄い選手層、左利き不足

はい、皆さんお待ちかね今季のリーグを盛り上げる最注目チームです!
小室→東江→土井→小山→橋本の順で移籍が発表されましたが、正直4人目までの時点では「プレーオフは厳しい」という印象でした。DF面の補強が十分とは言えなかったからです。
しかし、橋本の加入により一気にプレーオフに近づいたと考えています。トップレベルのPVが2人も加入したことで攻守の安定感はぐっと増し、さらに東江・小山のコンビに7人攻撃というオプションを加えることができます。

ジークスターの浮沈のカギは「”寄せ集め”ではなく”チーム”として戦えるか」というところに限ると思います。ゲームモデルの共有のみならず、トップ選手達が個々のエゴを制御し(昨季目立った「勝負所での不要なラフプレー」も含めて)チームプレーに徹することができるか。横地監督の腕の見せ所です。

また選手層に関しても、トップ選手を集めてもなお主力が負傷時の失速リスクは払拭できているとはまだ言い難いです。左利きが1人しかいない点に関しては当座を細川・東長濱のRW起用、もしくはRWを捨てたダブルポストでしのぎ、秋以降に昨季と同じく学生を招集すると思われます。中大の左利きコンビを再招集するようなことがあれば、短期決戦のプレーオフで一気に勝ち上がり「2年目で優勝」の快挙もあり得ます。

レギュラーシーズンを勝ち抜くという点を考慮し4位予想に留まりました。

男子 その他のチーム

大同特殊鋼
期待要素:ヨーロッパからの2選手補強
不安要素:東江&鄭&加藤の退団による「核」の不在、海外組合流までの負け越しリスク

大同はヨーロッパからPVアニッチ&RBヤーニマーを獲得しましたが、東江&加藤&鄭の抜けた穴を戦力、メンタルの両方をカバーしきれるかは現時点では分かりません。

トヨタ紡織九州
期待要素:岩本イズムのさらなる浸透、充実のGK陣
不安要素:韓国人選手2人の退団による戦力ダウン

昨季から岩本コーチが就任し「大崎色」を強めた紡織ですが、攻守で奮闘した韓国人選手2名の穴をカバーできるかがカギとなりそうです。逆に、日本代表の岩下&7mTセーブ賞の小峰&学生時代から活躍していた中村光を揃えるGK陣はリーグでもトップクラスです。

湧永製薬
期待要素:大幅な選手入れ替えによる若手の充実
不安要素:小賀野引退+成田離脱による序盤戦のDF、成田頼みの”打開力”

昨季は主力の故障が相次ぎ、「勝ちきれない」印象の強かった湧永。DF小賀野、RB中浦を中心に一挙4人が引退し、代わりに4人の新卒を獲得し若返りへと舵を切りました。前キャプテンの子安に新キャプテンの田中がチームを引っ張り、稲毛&福田の左利きコンビが安定して得点を積み重ねることができれば、よく指摘される「成田依存」を解決して久々のプレーオフ進出も見えてきます。しかし、序盤は成田が手術のため離脱するのでシーズン序盤でそれだけDFで持ちこたえられるかが鍵となりそうです。

今季は昨季以上に、上位と下位の差が開くシーズンになる気がしています。特に、攻撃の要を失ったチームはかなり苦しむはずです。

5位以下の順位を細かく予想することはできませんが、大体こんな感じだと思います。

大同>紡織≒湧永≒東日本>コラソン>北電≒ウルヴズ

女子 プレーオフ出場予想チーム

1位 イズミメイプルレッズ
期待要素:オリンピック組の好調、若手メンバーの経験値蓄積
不安要素:左利きの不在、BPに比べやや層の薄いWGとPV

今季はメイプルレッズが1位になると予想しています(Twitterで繋がっている人にファンが多いとかではないですよ?笑)。オリンピックではメイプルから選出されたメンバーが輝きを放ちました。要所で好セーブを連発した板野、鮮烈な代表デビューを飾った近藤、リザーブ起用に応えた堀川と、最もオリンピックの経験を「チームに持ち帰る」ことができたチームなのではと考えています。また、新人賞の秋山(静)を始め、終盤に復帰した河原畑、着実にプレータイムを伸ばしている斗米など20代前半の若手の活躍が目立ってきており、非常にバックプレーヤーの選手層は厚くなっていると思います。

それに対して、両WGとPVはやや選手層が薄いという印象があります。プレーオフでも、苦しい場面でベンチから出てきた控え選手が雰囲気にのまれ自身のプレーが出来ず、スタメンを十分休ませることができていませんでした。特に門谷の引退による左利き不在は最大の不安材料です(さっきから左利きがいないしか書いてないですね…(笑) 僕の左腕で良ければ誰かにレンタルしたいくらいです)。DFで活躍する右利きの三橋が攻撃でもより大きな責任を持つことになりそうです。ただ、三橋は元々得点源の一角ではあるので三橋のバックアップを育成できれば問題はないと考えています。

昨季の戦力がほぼ維持できている点と冒頭のオリンピックメンバーの好調を考慮して1位と予想しました。

2位 北國銀行
期待要素:4人抜けてもチームが成り立つ選手層、塩田&永田の残留による守備の安定、大型新人相澤&中山の躍進
不安要素:新陣容への適応及び勝負所での経験値不足

佐々木&大山&田邊をヨーロッパへ、横嶋(彩)をアランマーレに放出した女王ですが、それでも優勝争いをするだけの戦力を有しています。DFの要となる塩田・永田は残留し絶対的守護神の馬場も健在。RBの角南(唯)&中山、RW秋山(な)と代表レベルの左利きを3枚保有している点は、今季も引き続き他チームと一線を画すストロングポイントです。攻撃のコントロールは次代のおりひめ司令塔相澤が担い、左にはリーグ随一のシュート力を誇る河田がいます。攻守で貢献度の高かった田邊のポジションは、体大出身のルーキー吉留と松本でカバーすることが予想されます。

しかしながら、これまでほぼ固定されたメンバーで戦っていた分のツケは、連携面であったり中盤以降のローテーションの部分で必ず出てくるはずです。その点を考慮し今季は2位と予想しました。

3位 ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング
期待要素:大沢&文を始めとした若手の台頭
不安要素:イズミと同じく”突出した個”の不在、エースの引退、GKの選手層、角南(果)の序盤戦離脱

昨季はレギュラーシーズン3位ながらも、大城監督のもと手堅い戦いぶりでプレーオフ2位となったソニー。まだまだ第一線で活躍する飛田&プレーオフでも大活躍した大沢のGKコンビ、攻撃をコントロールするCB谷、要所で突破力を発揮したRB文 秀賢、北國の秋山(な)に並ぶ安定感を持つRW服部など日本代表は少ないながらもトップクラスの選手が揃っています。新しく代表入りした大型サウスポー、徳谷の活躍も楽しみです。

不安要素としては渋谷の移籍により2人となったGK層。大ベテランの飛田と若手の大沢という非常に"いびつ"なコンビ構成となっているため、長期的に見てやや不安があります。
また、誰でもそつなく仕事がこなせてチームプレーができる分、「困ったときは自分が」という”必要なエゴ”が足りないのがソニーの課題だと考えています。昨季は川村が苦しい場面で積極的にシュートを打っていくことでチームを支えていましたが、その川村も引退しました。誰が”エース”の役割を果たすのか、そこをはっきりさせられるかがソニーの1年間を大きく左右すると思われます。

4位 三重バイオレットアイリス
期待要素:即戦力レベルの新人加入、GKの充実、櫛田監督の経験値
不安要素:石立の現役引退、序盤戦の團の離脱(?)、三重国体後に選手引退の可能性あり(既に佐野が退団表明済み)

昨季は團の離脱が響きプレーオフで微妙な終わり方をしてしまった三重。それでも花村&榎&岩見のGK陣に、原&林&多田を擁するバックプレーヤー陣と選手層はトップクラス。そこにプレーオフでデビューしたLW水野や筑波大で活躍したCB小林など即戦力クラスの新人が加入したことは大きなプラスです。水野は主にDFでの活躍が期待されることとなると思いますが、OFでもチームを引っ張ることができれば團が復帰するまでの期間をカバーできます。

不安要素は昨日発表されたレジェンド石立の現役引退。プレータイムは限られながらも、要所で攻撃をコントロールしてきた経験豊富なセンターは元々波の大きさが指摘されることの多い三重のOFを支えて来ました。新加入の小林がその役割を担えるか?チーム全体がより安定した戦いができるか?ウルリックとの5年間を終えてチームに戻ってきた櫛田監督がその経験をどうチームに還元するのか?その辺りがポイントとなってきそうです。

また、既に退団を発表した佐野と同じく、三重国体を区切りに引退する選手が複数出てくる可能性があります(三重出身の万谷は引退する可能性が高そうです)。

女子 その他のチーム

オムロン
期待要素:李美京の加入による得点力不足の改善
不安要素:エース吉田&7mTストッパー白石の引退、OFリーダーの不在

オリンピックで日本を苦しめた李美京がオムロンの選手としてJHLに帰ってきました。昨季停滞しがちだった攻撃面において、救世主となることは間違いありません。その反面、長らくチームを引っ張ってきた吉田と7mTセーブ賞を受賞したGK白石が引退し、「安定して戦えるか」という課題に関しては不安が残ります。DFではベテランの永田がいるものの、OFではチームを引っ張る”リーダー”の不在も昨季には感じました。

アランマーレ
期待要素:横嶋(彩)の加入による攻撃力向上、福田HCの就任
不安要素:前キャプテン兼正GK安田の退団

オリンピックで見事なカムバックを果たした横嶋(彩)が加入したアランマーレ。飯塚、行本など充実のバックプレーヤーを揃えています。また、筑波大から福田丈氏がヘッドコーチとして就任しスタッフもより充実したアランマーレです。不安要素は、勝負所のスーパーセーブでチームを鼓舞し続けたキャプテン安田の退団。プレータイムが非常に長かったため他のGKのパフォーマンスはどうか?新キャプテンの飯塚や横嶋(彩)が精神面でチームを引っ張れるか?がポイントとなりそうです。

女子5位以下の順位をざっくり予想するとこんな感じです

オムロン≒アランマーレ≒HC名古屋>ブルズ≒ラヴィッツ>テラスホテルズ

全体を通して

ここまで読んでくださった方がどれだけいるのか分かりませんが(笑)、まとめっぽいことを書いておこうと思います。

皆さんご存じの通り、今季JHLは過去一番と言っていいくらい「人の出入り」が活発なシーズンになります。

新戦力がその期待通りチームにプラスをもたらせるか?

退団した選手の穴をその他の選手がカバーできるか?

この課題をクリアしたチームは素晴らしい結果が、課題を残したままのチームには苦しいシーズンが待っていると考えています。

また、自分が指導者だからかもしれませんが、「誰が”リーダー”なのか」「苦しい時に引っ張るのは誰か」という点も長いシーズン、そして一発勝負のプレーオフを戦いぬくには外せない要素であると考えています。

※"リーダー"についてはこちらの動画を。

JHLからは離れますが、代表活動の引退を明言した土井のカバーは困難を極めると予想しています。LWのポジションは穴埋めできても、チームを鼓舞し引っ張る”リーダー”としての代役を探すのは容易ではありません。願わくば、パリ五輪でも彗星JAPANの一員として戦ってもらいたいものです。


たまにnote書いたかと思えば毎回駄文長文の私ですが、最後まで読んでくださった方がいれば本当に感謝を申し上げたいと思います。ついでにnote購入してくださればなお嬉しいです(笑)。

それでは第46回日本ハンドボールリーグ2021-2022season、共に楽しみましょう!!

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