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占いは好きですか?~易経と運命~

易経と運命

中国では昔から一人の一生がどんな人生になるかは、一に命、二に運、三に風水、四に徳を積む、五に読書と言われていました。

命という漢字を分解してみると、口と令の組み合わせで、口の指令に従うとい意味だそうです。意識して思っていることを私たちは言葉にしていますので、運命は「私」の思う通り、言葉通りになるということでしょうか。

易経の機能の一つして、占い(算命)もできますが、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と
民間で言われているように、現実での占いの結果も良く当たったり、当たらなかったりですね。そして、同じ易経を基準とした占いでも、占い師によっても結果はまちまち。

ある有名な占い師はこんなことを言ったそうです。「占いの結果をそのまま信じ込む人は将来大成しない。自らどんどん変化を起こしている人の命は計算できない」と。

運命と言う言葉に、何か計り知れない神秘さを感じますが、人の力ではどうにもならいない自然の規律(天命)の部分と、人の創造性よって変えられる部分の両面性があると言ったほうが妥当なところでしょう。

私たちの共通の運命は、生まれて来たなら必ずいつか肉体の寿命を迎え、死んでいくこと。中国の秦の始皇帝は不老長寿の薬を求めて日本まで人を派遣しましたが、結果的には「命」に逆らうことができませんでしたね。

面白いのはどの時代にどんな家庭で生まれて、どんな教育を受けて、どんな人生体験をして、どんな死に方をするのか、同じ運命の人は一人もいないことです。
人それぞれ異なる「命」を与えられたと言うことでしょうか。

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私たちはこの世に生を受けた時、名前を付けられ、親の期待を背負い、社会の常識を教え込まれ、友達と比較されて、競争世界を生き抜こうと努力しているかも知れません。
「命」というのが誰かの指令に従って生きることだとしたら、あなたは誰の令に従って生きて来たのでしょうか?

「人事を尽くし天命を待つ」という言葉がありますが、人事を尽くすということは後天的に、人為的に目標に対する努力を指しますが、天命というのは私たちが生まれる前から先天的に決めていた人生計画を表しているかも知れません。 「私」は本来どんな「使命」、「計画」「課題」をもって生まれたのか、一番根本である「私の命」を見失ったまま、誰かの求める役割を生きようとして、「人事」を尽くし、そして報われない運命を嘆いているのではないでしょうか?人事と天命が一致した時、物事は自然と良い方向に亨るものだと思います。

本質の「私」を生きる人は、人生体験に高揚感を持って、仕事も、生活もそして苦難さえも楽しんでいける人だと私は思います。そして常に人生課題をクリアしていることに喜びを感じていることでしょう。


私たちの前にはいつも「やるかやらないか」、「進むか、止まるか」のような二つの選択が用意されて、自主的に選べる権利を与えられています。

「私」の本質は神様の分身としての無限の創造力を与えられています。自ら人生を選んで自ら創造できると言う嬉しい「命」機能が備わっているから生かさない手はありませんね。

本物の「私」に気づいたときはじめて、私の「思い」と「言葉」の指令に従い天命を生きることができると思われます。そして天命を生きることは、実は一番楽な生き方だということにいつか気づくでしょう。

易経の六四卦の乾卦の卦辞で「元・亨・利・貞」という言葉があります。元は物事の発生、スタートを意味し、亨は亨(とお)る、通じるを意味します。利は利益、成果、貞は天理に沿った正しい行為を意味します。
春という正しい時期に種を植えるから、夏に通じて、成長し、秋には成熟した果実をもたらす。そして天の摂理に沿った果実の蓄えと活用の仕方があるから、また命の次の循環を作り出す。このようなシンプルな自然の法則を易経では人間社会に応用して、天道に沿った成功する人生の過ごし方を教えようとしています。

一に命、二に運、三に風水、四に徳を積む、五に読書。これは運命に影響する五要素とも言われます。命は人間の力ではどうしようもない自然の規律的な部分もあれば、自分で創造して変化を起こす部分も大きいです。読書は後天的に誰でもできることで、確実に運命に変化をもたらします。読書を通して私たちが「天理」を理解するようになったら、運命は自らの手でコントロールできるようになるでしょう。

占いを通して自分の未来を事前に知ったところで、過去を知ったところで何の意味があるでしょうか?占いをするとしたら、人生の決断に迷った時、大先輩である古人の叡智と繫がってみれば、何が天理天道なのかを気づかせてくれ、正しい方向に背中を押してくれるでしょう。

「但行好事,莫問前程」これは昔からの中国での言い伝えですが

良い事(正しいこと)をすれば、将来を案ずる必要がないと言う意味です。今自分の本心とつながって喜びの状態で暮らせば、将来は確実に明るい!

私たちは一生かけて一番真剣に読まなければならないのが自分の「本心」かもしれません。宇宙の本質と通じている私たちの本心は間違いなく正しいことを教えてくれると思います。

形があるものはいつか寿命を迎えます。生かされている間の人生課題はさまざまな体験を通して、魂を進化させることではないでしょうか?

本心の指令に従って、一つずつの人生課題をクリアした成長の喜びをいつも味わっていたいものです。人生も運命もとても味わい深く面白いものですね。


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