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ミーターの大冒険 第六部 地球へ 第5話 三十六計逃げるに如かず

147第5話三十六計逃げるに如かず
ミーターの大冒険 
第六部 
地球へ
第5話

三十六計逃げるに如かず

あらすじ

ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ファウンデーション暦488年1月、カビレ星系目指して、第一回目の探索をおそらく恒星カビレ近くのシリウス星界近くでの超新星爆発のガンマ線バーストによって大破し、ミーター・マロウも宇宙空間に放り出された。

そこ近くの領域を航行中のR・レオナルド・エノビアレラに拾われた。R・レオナルド・エノビアレラは、自己修理のため銀河辺境のイオス星というロボット第零法則グループの製造・修理の基地に赴く途中であった。彼はミーターをイオス星につれて行くことにした。

それから4年間、ミーターは独自なリハビリを受ける。ポエニッツ仕様のラヴェンダーのエキスの温泉療養である。

4年が過ぎ、ファウンデーション暦492年、眠りにおちていたミーターは、修理されていたファー・スター2世号の中で、イルミナに起こされた。その時、ファー・スター2世号はシンナ星の軌道上にあった。

ファー・スター2世号はシンナ星からカルガン星経由でコンポレロンに着く。

コンポレロンでは、地上ではこれといった手がかりは見つけられなかったが、イルミナにある異変(フィードフォワード症候群)が生じ、不死の従僕の気配を感じる、という。

イルミナの特殊能力で、ヴァジル・テニアドールという懐疑主義の歴史学者の頭脳から二つの情報を手に入れる。
 一つは約2万年前の航海日誌に記されてあった周辺の星の座標と、二つ目は故郷の星系カビレの異常さ、つまり、他には珍しい、ガス惑星を取り囲む巨大リングのある惑星と、他の岩石惑星を回る巨大衛星があること。

その航海日誌の座標にはない恒星系が前方に存在していて、彼らは突如として、反ミュールで知られていたガイアを発見する。
 
 ガイアの長老ドムとの通信で地球とミュールに纏わる真実を知った。

ガイアの誘導で、ファー・スター2世号はオーロラの恒星系に無事にたどり着く。

二人の目の前には、オーロラの揺らめく極光が怪しく波打っていた。

オーロラでジスカルド・レヴェントロフの機能停止の頭部を発見し、銀河歴史消滅以前の全体像を垣間見た。

ファー・スター2世号に戻った二人は、オーロラの次の探索星をソラリアに定める。

ミーターは、例のデニアドールの航海日誌にあった座標を現在時点の時差を考慮して修正して方向をロックした。おそらく例のソラリアであった。
 ミーターは日誌にあった、他の二つのスペーサーの星も、その座標には間違わないと確信した。
 
 ついにファー・スター2世号はかつてグレディアがいたと言われていたソラリアの軌道に着く。そこで、イルミナのリサーチによって、伝説通りに、大量のロボットがいることを確認する。そして両性具有の人間の存在も。

ミーターとイルミナは、そこのロボットたちと両性具有の人間に遭遇するかどうか、選択の岐路に立つ。

ミーターは、そこでイオス星で教わった「三十六計逃げるに如かず」を思い出す。

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ミーター ようし、決めた。「三十六計逃げるに如かず」だ。

イルミナ それって、要するに「時と場合によっては、逃げて、形勢が不利とみたら、むだな抵抗をするよりも、ともかくその場を逃れるにかぎる。面倒なことは逃げるのが得策」という古代の兵法の極意ですね。

ミーター そうだ。さっきも言ったように我らの真の目的はなんだったかが、優先される。圧倒的な危険に立ち向かって、無駄に我らを危険に置くことは許されない。
 すでに、ファー・スター2世号は、もうひとつのスペーサーの星の位置を認識している。
 ソラリアについての情報は、お前がくれたデータで十分だ、と思う。

それにしても、「ロボット文明」か!

イルミナ と言われますと?

ミーター ずっと、考えてた俺のテーマがある。
イルミナ もしかしたら、私がさっき言った、 「ゾッとするイキモノ」のことではないんですか?

ミーター 何でわかるんだ!ロボット三原則、そしてロボット第零の法則が本当に絶対なのか、どうかなんだ!
 
 ひとつの考えとして、この宇宙に対して人間の文明は、かえって敵対者、反逆者であるかも知れない。ロボットを1万体を奴隷としてかしずかせてるという実態は、逆にロボット1万体のために一人の人間が奴隷になっているという反定立も成り立つ、のではないかと思う時もある。
 アルカディアに繋がるベリスの家系の素晴らしさが偲ばれる。
 人情味溢れる親子の絆、ロマン溢れる先祖と子孫の交信。
 そういう社会だったら、と思う。

イルミナ ミーターさん、また泣いているんですね?

ミーター イルミナ、つまらないこと、言うな!な!
 イルミナ、前方直線コースに入ってる星の名前は?

イルミナ たしか、コンポレロンのデニアドールの航海日誌にあった、メルポメニアだわよ。
 
ミーター メルポメニアか!名前からして地球ではないらしいけど、そうでなくても、地球のデータを探れるかも知れないな。
 イルミナ、メルポメニアについての基礎資料はないのか?

イルミナ 古代の神話の言い伝えには、12人いるムーサイの一人(半神)とあるわ。有翼の女性神で悲劇、挽歌を司る。楽器リラを操り、の女神でもあり、仮面・葡萄の冠・靴等をもっているんですって。

ミーター だいぶ胡散臭い女神なんだこと。お前に似てるんじゃないか。

イルミナ まあ、ミーターさん、わたしってそんなに暗い女じゃ、ありません。侮辱だわ!

ミーター ごめん、ごめん。つい思ってることを言ってしまうもんだからな。
 もうメルポメニアの軌道上が近くなって来たぞ!
 人間は住んでいるのだろうか?


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