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恐怖の惑星 

154第12話恐怖の惑星
ミーターの大冒険 
第六部 
地球へ
第12話

恐怖の惑星

 

アルファ・ケンタウリ、恐怖の惑星、長居は無用。ほぼ無機質のミーターの体は、汚染されなかったのだが。


あらすじ

 ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ファウンデーション暦488年1月、カビレ星系目指して、第一回目の探索をおそらく恒星カビレ近くのオリオン座のベテルギウスの超新星爆発のガンマ線バーストによって大破し、ミーター・マロウも宇宙空間に放り出された。

 そこ近くの領域を航行中のR・レオナルド・エノビアレラに拾われた。R・レオナルド・エノビアレラは、自己修理のため銀河辺境のイオス星というロボット第零法則グループの製造・修理の基地に赴く途中であった。彼はミーターをイオス星につれて行くことにした。

 それから4年間、ミーターは独自なリハビリを受ける。ポニェッツ仕様のラヴェンダーのエキスの温泉療養である。

 ファウンデーション暦492年、眠りにおちていたミーターは、修理されていたファー・スター2世号の中で、イルミナに起こされた。第2回目の地球探索の旅は、イオス星の銀河内側の近くのシンナ星から始まった。

 ファー・スター2世号はシンナ星からカルガン星、コンポレロン星、経由で謎の反ミュールの星ガイアに出くわす。

 コンポレロンで入手した約2万年前の航海日誌に記されてあった周辺の星の座標からスペーサーの50の内の二つの星の座標と地球を含む恒星系の特徴を知る。

 こうして、ファー・スター2世号は、ソラリアに着き、大量のロボットとソラリア人が進化変異した両性具有人の存在を知る。
 
 彼ら二人は、そこで、変異体の意味と宇宙の意味とを垣間見る。「反陰陽」という究極的真実のことである。

 次に目指す座標をメルポメニアにセットした。ミーターは苔で覆われた廃墟の街の探検をする。

 二人は、ドローンを使って、「諸世界の広間」で遺跡を発見し、大まかなスペーサー時代の概観を知る。
 
 さらにミーターは、そこの図書館で、二つの全天星座図を見つけ出し、正確な地球の位置を知ることに成功する。

 話は、4年前に遭遇したベテルギウス超新星爆発に及ぶ。二度目の探索を余儀なくされた因縁のベテルギウスは、すでにずっと後方にあって通過していたこともわかった。

 イルミナは、ベテルギウスに関連して、ミーターのいう「敵対星」について尋ねる。

 

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ミーター もう一つ、これまたアルファが奇妙なのは、バイオテクノロジーが、異常に進んでいることなんだ。
 それで...

イルミナ それで、なんですか?

ミーター 免疫不全を起こす病原菌がいる!しかも、科学では理解しがたいんだ。その病原菌にたいして現地人は免疫をもっているんだが、そこを訪れる外来者は二度と戻って来ない。
 
イルミナ まあ、結局、アルファは、怖いところなんですね!

ミーター ここメルポメニアの図書館にあった本では、3日内の滞在なら害はない、とあった。どうもそこら辺の生物学的常識が合わない。

イルミナ それで、こっちのメルポメニアについてはどうなんです。両方の星とも、生物学的汚染のことですね!
 ミーターさん、どうして、メルポメニアはアルファを殲滅させようとしたんですか?

ミーター それなんだ。他の本にその答えがあった。
 当時、地球は徐々に放射能による汚染が進行していた。
 
イルミナ ミーターさん、それって逆じゃないんですか?原子力爆発に汚染されたあと徐々に放射能は消えるはずよ。徐々に汚染度が高まるっていうのはおかしいわ。
 
ミーター そうだろうけど、わからないが、そう書いてあるから、そう理解するほかないね。

 その当時、スペーサー連合は完全に銀河に広く散らばったセッツラーから孤立していった。当のセッツラーたちはスペーサーの存在を忘れたいった。スペーサー時代は終わりかけていた。往年のオーロラやソラリアの繁栄は、すでに過去のものになりつつあった。
 ところが、スペーサーの中で、徐々に主導権を取ろうとした星が現れた。

イルミナ それが、メルポメニアね。

ミーター そうなんだ。メルポメニアは、地球からアルファに来た新参者を葬ることによってスペーサーの覇権を示そうとしたんだ。
 そして、銀河を我が物にしていたセッツラーをも撲滅しようと企んだ。
 おそらく、当時のメルポメニア人たちは、原始的生活に甘んじていた、温和なアルファ人に嫉妬していたんだと思う。アルファ人は退化していると言って、馬鹿にしていたのかも知れない。

イルミナ それが生物学兵器ってことですね。

ミーター 最初は、その苔の生物兵器は有効だと思われた。
 ところが、何度かアルファ星に投下しているうちに、その効果が薄れてきたんだ。
 アルファ人たちは、それに対する耐性をつけるようになったんだ。
 ある時、その苔爆弾が間違ってメルポメニアの地表で爆発した。
 人々は、一人、また一人と死んでいった。

 その様子が書かれた文書を読んでいて、いたたまれなかった。恐ろしい光景の表現で充ちていた。

イルミナ そうだったんですね。それが、今のメルポメニアの姿なんですね。

ミーター そう、残酷な科学文明の結末だね!

イルミナ 地球もそういう断末魔の叫びだったのかしら!

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