見出し画像

私がタスク管理術に挫折し続けた理由と、たどり着いた"ゆるbujo"

GTDを始めとするタスク管理術が注目を浴び始めたのは、ちょうど私が大学に通っていた頃だったと思います。

当時、受験勉強がうまくできなかった経験から、「気になることをすべて信頼できるシステムに預けて目の前のことに集中する」というGTDのコンセプトに惹かれてタスク管理の世界に足を踏み入れました。

※この記事では「タスク」という言葉を、漠然と「やること」くらいの意味で使います。GTDでIN-BOXにとりあえず集めるやつらです。

GTDもタスクシュートも挫折した

それから10年以上、GTDを中心に様々なメソッド、いろいろなアプリ、ツールに手を出しては、自分でも気づかないうちに使わなくなるという経験を何度も繰り返してきました。
Omni Focusやたすくまっていう高いアプリも買ったのにね。

最初は習慣化できていないのが原因ではないかと思いましたが、残っている記録を見るとどれも3~6ヶ月はちゃんと使ってるんですよね。
再挑戦してもまた半年くらい経つと、徒労感と何も改善されていない現実を残してパタッと使わなくなっている。
それまで毎日使っていたのに、いきなり使わなくなる。そして使わなくなったことにしばらくしてから気づく。
おかしな話ですね。

数ヶ月の習慣になっているのに急にやめてしまうのは何が原因なのかを考えていくと、そもそも自分がうまくできないことをやろうとしているらしい、というのがわかってきました。

うまくできないことを続けていると日々小さなストレスが溜まっていって、ある日いきなり決壊する。それが私がタスク管理を続けられないパターンだったようです。

私のタスク管理を邪魔するタスク管理の教え

Eat the frog first

有名な一言ですね。
やりたくないことを一番初めに片付けてしまえば、あとは楽。
だからやりたくないことをタスクリストの最初に置いて、真っ先に終わらせてしまおう。

そんなことは百も承知なんですよ 。
だけど、ストレス耐性が皆無な私にとって、やりたくないことを朝イチでやる精神的コストは桁違い。間違いなく先送りします。

それなのにカエルは最初に片付けるというルールから離れられず、カエルを先送りすることによって他のタスクにも取りかかれない状況が爆誕します。
(実際には外圧があるのである程度手をつけますが、カエルが気になって集中できませんし、達成感もないので主観的には何もできていないように思えてしまいます)

結果なにも進まずにカエルは翌日に持ち越されて、翌日の朝には2匹に増えているというわけです。タスク管理で感じる無力感の元凶はだいたいこれ。

大きなタスクを小さく分解する

これは特に苦手かもしれない。
分解するときに気になることが多すぎるんです。

  • タスクの粒度は揃っている?

  • そもそも揃えないといけない?

  • 本当にこれで漏れなく書き出した?

  • もっと具体的なほうがいい?

  • これ本当に必要?

まあこういうタスク分解そのものに関連することならまだ、頭の中がうるさくて疲れるだけで一応は進むからいいのですが。
大きな問題になるのは寄り道を誘発するタイプの「気になること」です。

  • あ、これどこかでやり方を見たぞどこだっけ→その記事を探し始めて気づいたらネットサーフィン

  • これはあの人と予定を合わせないといけないな。いつなら都合いいかカレンダー見ないと→忘れていた(でもいま思い出さなくても構わない)別のタスクを見つけてそっちの処理を始めてしまう

結果、大きなタスクはいつまでも大きなまま鎮座し、手をつけるべき小さなタスクは分解が不完全なのをいいことに未着手のままになります。
朝いちでタスクの書き出しに手を付けたのに一瞬で夕方になってるのはだいたいこれのせい。

約束された失敗

上で挙げた他にもいくつかある要因によって、私のタスク管理が行き着く先はこんな状況です。

  • タスクリストが「あとは実行するだけ」の形にならない

  • いつまでも頭の中に「気になること」が残っている

  • 先延ばしでタスクが消化されない

  • タスク管理のためのタスクが積み上がる

この状況、ストレス以外の何者でもないですね。
で、ストレスに耐えきれずタスク管理を諦める、と。

いつまで経ってもIN-BOXがゼロにならず実行リストは絵に描いた餅。効果的な定期レビューなんて夢のまた夢。
そもそも管理対象であるタスクを整備できないので、どんな管理ツールを使ったところで最初から破綻するのは必定、というわけです。

それでもタスク管理を諦めたくないので逆張りした

それでも、何かしらのシステムでタスク管理をしないことには、常に行き当たりばったりになってしまいます。
なんらかの仕組みで、少なくとも仕事だけでも管理しないことには、いつまで経っても何の成長も望めません。

ではどうするか、となった時に、とりあえず今まで私を邪魔してきた考え方に逆張りしてみたのです。つまり、意識的な行き当たりばったりです。

  • やりたいことを最初にやって弾みをつける

  • 大きな(複数ステップの)タスクは、とりあえず思いついた初手を打つ

なんとこれが面白いようにハマりました。

自分の意志で選んだ「やりたいこと」からスタートするので行動開始のハードルは無いも同然。勢いに乗ってそのままカエルも片付けてしまえるのです。

大きなタスクも事前に分解しようとせず、最初は思いつきで動いてもいいのです。初手の結果を見ながら次の一手、また次の一手というふうに進めていけば、脱線することもありません。

本当に無計画な行き当たりばったりと違うのは、記録すること。
タスクに取り掛かるときに、これからやることをノートに書いてから行動するようにしたことで、行動が次の行動とつながることが増えてきました。

計画より記録で管理する

前述したように、事前にタスクを計画することは私の苦手とするところです。なのでここでも一般的なタスク管理の逆を行います。

通常のタスク管理はタスクリストを作成し、それを順番に消化していくわけですが、私のタスクリストは基本的に朝の時点で空です。
もちろん締切のあるタスクや人との約束などは事前に書いておきますが、それも備忘録的なもので、具体的なアクションであることは稀です。

前日の残りがあれば転記し、転記がおわるか転記するものがなければ思いついた順に書き込みます。
とはいえ、せいぜい5項目かそこらです。

そうして書き込んだリストとメールをながめて、最初に取り掛かるものを選びます。
たいていは楽なもの、定形作業から始めることが多いですね。

あとは待ち時間や完了後にまたリストを眺めて、思いついたことや新しく発生したタスクを書き込みながら消化していきます。
事前に書いていなくてもやったことがあれば、それも実行中/実行済みタスクとして書き込みます。

何かを完了すると関連したタスクが発生したり、頭に浮かんできたりしますよね。それをその都度拾い上げていく感じです。
この方法を始めてから、大きなタスクも初手を打てば次の手を思いつくので事前に分解しなくても大丈夫だということがわかりました。

ノート一冊にすべて書く

GTDでは複数のリストを使いますが、それも挫折の一因だったのかもしれません。
私は視界に入らないものの存在を消し去るという特殊能力を持っているので、複数のリストがあるといつの間にかタスクが(悪くすればリストごと)消失してしまうからです。

なので、徹底して一元管理します。タスクもそれを実行するためのアイデアもメモも、全て同じノートに時系列で書き込んでいきます。

デジタルツールは使いません。
タスクの入力以外にやることがあるのが面倒だし、タスクの内容以外に気にすることがあるのが煩わしいからです。

そもそも使い続けなくても破綻しない仕組み

よくあるタスク管理の手法は、使い続けることが前提の仕組みになっています。私のように挫折して再挑戦しようとすると、最初のステップからやりなおす必要があります。

だいたいのタスク管理システムは一番面倒くさいことを最初にやらなければいけないのですが、それができたら挫折しない。

ということで、使い続けなくても問題ない仕組みにしました。
その日のタスクはその日にリストアップするので、中断していたからリストの内容が古くなるなんてことは原理的に起こり得ないです。
タスクの状態に関わらず書いてあるのは1箇所だけなので、別のリストをまとめたり振り分けたりしなくていい。
タスクに親子関係を持たせないので、定期的に振り返りをしてタスクを整理する必要もほとんど無いのです。

思考と行動にアンカーを打つ

タスク分解が苦手な理由のところで書いた通り、私の思考は横道に逸れやすいのですね。
思いついたことをその都度書き留めることで、ふらふらしがちな思考の道筋にアンカーを打ち、形を与えて固定することができます。

同じようにタスクリストや実行済みタスクは行動の道筋に打たれたアンカーです。

この思考と行動の記録を俯瞰すると大まかな流れが見えてきます。
そのときどきの興味関心や、それに従った行動記録を眺めることで、次に向かう方向が見えてくることもあります。

また、手書きで書かれたノートは自分のコンディションを知るのにも役立ちます。
私は疲れていたりストレスがかかっていると、まず文字が乱れ、メモどうしの繋がりがなくなり、行動記録が減る(言語化できない無意味な行動が増える)のがわかりました。
そういう兆候が見られたら休息を最優先タスクと設定し、早めに軌道修正するようにしています。

ゆるバレットジャーナル

メソッドとしてはバレットジャーナルになるのですが、あまりルールを決めることはしていません。
すべてを同じノートに記録しているので、そこに何が書いてあるかだけはわかるように、行頭のマーク(バレット、キー)だけは一貫させています。

それ以外はあまり気にせずに、バレットジャーナルのデイリーログ(ラピッドロギング)だけを使っている感じです。
一応マンスリーログもありますが、予定管理はGoogleカレンダー(個人用)とOutlook(仕事用)を使っているのであまり活用できてないですね。月が変わったことを自覚するためだけに月初にやる儀式みたいになってます。

後からバレットジャーナルを知って、教科書通りに年→月→日と落とし込んだり、各種トラッカーなども作ったりしたこともありますが、そんなたくさん管理できるはずがない。
例によって何度か中断を挟みながらも、最終的に続いているのがデイリーログだけというゆるいスタイルです。

この「ゆるバレットジャーナル」スタイルに落ち着いてからは1年以上、挫折はおろか以前タスク管理に感じていたストレスを感じることなく続けられています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?