モルテン・シュルト=イェンセン合唱指揮マスタークラス(2022/11/23)
コーラス・カンパニー主催のモルテン・シュルト=イェンセン合唱指揮マスタークラスにモデル受講生として参加させていただきました。
そこそこ倍率も高かったようですが、有り難いことに直接指導を受けられる6人のなかに選んでいただき、貴重な機会を得ることができました。
柳嶋さんの合唱指揮ゼミにお世話になっており、そのときからモルテンさんというとんでもない人がいるという話を度々聴いていました。
そして、その本人に習える機会がこんなに早く来るとは思ってもみませんでした。
講座の感想を言葉にしようと思ったのですが、その感想が手につかないほど多くのアドバイスや手法をいただきました。詳しい内容は、コーラスカンパニーさんにて今回の様子が配信されますので、ご覧ください。3000円は安すぎます。
(柄にもなく緊張して、手足がガクガクに震えている私の姿が見られますので、笑ってやるつもりでご覧ください。笑)
当たり前のように、「合唱指揮はかくあるべきもの」と頭のどこかで捉えていたことを崩されました。もはやコペルニクス的転回で、エポックメイキングなものではないでしょうか。もちろんその一端は、柳嶋さんを通して垣間見てはいたのですが、その源流とも言える存在にあたったことで、それがより納得と確信に変わりました。
ただし、これまでの方法論を全く否定するものではなく、指揮法の基本は知っておくべきだとは思います。しかし、その上で特に合唱を指揮をする場合の特異な視点にもっと注意を払わなければなりません。人間の身体という同じ楽器を有している存在に対し、指揮は身体を拘束し、管理することを可能にします。それゆえ与えている影響は実はかなり大きいのですが、指揮の動きと音楽の動きに相反する関係が起こることに気づかずに振ってしまっていることも事実です。
真の意味で、小手先のテクニックではなく、物理現象としての、腕の動かし方、それに対する身体の反応の仕方、ちょっとの動きがどのように作用しているか、音楽のどんな印象に繋がっていくのか。これをより考えなければなりません。
けれども、実際に合唱団を前にして指揮するのでは、やはりまったく違いました。横で見ていてもとても勉強になるけども、それはクイズ番組をお茶の間で見てるだけと同じです(出たことはないけど笑)。いざ実際にその場に立ってみると、客観視できなくなって、急に何にもできなくなります。しかし、だからこそ、モルテン先生も仰ってましたが、経験から来る身体の動きは止められず、それを身体に覚えさせる必要があるというわけです。脳は案外信用できないのですね。わかったつもりにしない。というか。
日本の合唱は何々だから〜と西欧と比べて云々と述べる時代はもう終わっていくはずです。今回モデル合唱団を務めてくださったVocalconsort initiumさんによる前日の演奏会(モルテンさんとの共演)を聴いて、これも確信しました。
もちろんヨーロッパのコンクールで優秀な成績を収める合唱団が最近に限らず存在していることは承知しています。しかし、このコンサートや講習会をきっかけに、巷の団体ですら、そのようになっていけるのではないかと予感しました。
モルテンさんが最後に残していた言葉も印象的で、終わってこれから、これを合唱団に伝えていくこと。今日の参加者と繋がって、連絡を取り続けること。を強調されていました。
教師になろうと思っていたというエピソードからもわかるように、そうした教育的な面や振る舞いが指導の際にも沢山の垣間見えました。かつ、広く学ぶことの重要性も仰っていて、私がずっと考えてきたテーマと相通ずるところがあり、印象的で嬉しくなりました。
マスタークラスを終えて、改めてここからがまた本当に勝負だと実感しました。引き続き精進します!
最後になりましたが、主催のコーラス・カンパニー服部さん、initiumの柳嶋さん、谷さん、initiumで歌ってくださったみなさん、聴講してくださったみなさん、共にレッスンを受けた6人の受講生の方々、その他、いつも私を迎えてくれる合唱団のみなさまに大きな感謝を申し上げます。
今井
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