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【蜷川実花展】その一閃の中に

Eternity in the moment

一瞬の中に存在する無限。展覧会を見た後、どことなくその感覚がわかったような気がした。

動画をさまざまなメディアを用いて見せている。特徴的な点はその多重性だ。
一つの時間軸ではなく、複数の時間軸を繋ぎ合わせている。音楽と同期するパッチワークのようだ。音楽に合わせて動画や構図を切り替える。
さらに、内容のみならず、情動も伝える。淡い、鮮明、逆光、フレアなど光の微かな違いを動画に落とし込んでいる。

会場は虎ノ門ヒルズ tokyonode。
虎ノ門ヒルズ駅直結。エレベーターで上がるだけというアクセスの良さだ。

展覧会は人数制限のためか、入るとディズニーの待ち列のように待機時間があった。いざ、入ると、造花の枯れた花。

なぜ本物の花ではなく、造花を使ったのだろうか。この疑問を頭に浮かべつつ、会場を進んでいった。

次の作品は、水槽がプロジェクターのスクリーンになっていた。

金魚鉢が並んでいるような光景。プロジェクターから映し出された光がより幻想的な雰囲気に仕立て上げている。

桃源郷のような空間が広がっていた。

光による刺激が印象的だった。 物質性を介在することで視覚以外の感覚が呼び起こされるのだろう。

造られた美しさたち。 花、蝶々、そして、照明の色。照明はゆっくり動き、鑑賞者に揺らぎを与える。

最初の展示作品との対比だろうか?
造花の枯れた花と本物の枯れた花。シニカルなのか、いやそんな低俗なことではないだろう。


刺繍枠のようなスクリーン。それが天井に8つ不規則に並んであった。その下には、無数のヨギボー。例の人をダメにするソファだ。

多くの人がそのソファで寛いでいた。ベルベットのカーテンがこの空間を包み込む。カーテンのような布を捲る動きは一種の虚構世界から憩の間に切り替えるスイッチのようだった。

不思議だったのが、ベルベット生地に映る光芒だ。光と影が織りなす水面のようだった。

【光陰】は、月日、年月、時間を意味する。光は時間と切っては切り離せない存在だ。光は触覚でもある。目を瞑ってもその存在を感じる。
永遠の中の一閃。そして、瞬間に光る永遠。

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