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勾留体験記

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勾留による20日間の体験談を日別で書きました。セミフィクションです。
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#被疑者

勾留体験記 留置場管理課 10日目

□留置場管理課の仕事 留置場管理課の仕事は、被疑者を監視しつつ健康を保つことと検察庁や裁判所への護送、となっています。留置された被疑者のなかには逃げようとしたり自死しようとする人もいるので、常に監視と規定に沿った定期点検を随時実施する必要があります。留置場内のタイムスケジュールは署長直属の管理下にあり、刑事課も留置場の決まりには署長の許可がない限り異論を申し立てることはできません。

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勾留体験記 取調 6日目

□刑事調べと検事調べ 刑事調べとは、警察の捜査官が検察に提出する弁解録取書と供述調書を完成させることにある。弁解録取書、通称ベンロクとは被疑者の弁解(言い訳)であり、犯罪事実の核心に触れる記載はない。供述調書には、犯罪に関する事実の調書と身上調書のふたつがあり、どちらも内面のかなり奥深くまで聞かれるので答えるのにとても神経をすり減らされる。私はそれらの質問に対して黙秘を一度もしなかった。 検事調べとは、被疑者を裁判にかけて有罪判決を得ることができるか否かを厳密な法律的観点か

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勾留体験記 差し入れ 4日目

留置場への差し入れ 差し入れの制限は一般の方はなかなかイメージしづらいところだと思う。特に被疑者の家族はやはり心配が先立つので暖かい服や食べ物を選びたくなるのではないだろうか。服は紐が通せる穴は縫って塞がなくてはならないし食べ物はおろか化粧水も市販のものを差し入れることはできない。孤独な被疑者が自弁で好きな食べ物を選んだり日用品を購入するためにも、無一文の状態で逮捕から勾留されている場合には間違いなく現金を差し入れるのが第一である。

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