ヒューヒューと風が吹く比喩の風が吹いていく



ヒューヒューと風が吹く
比喩の風が吹いていく
ヒューヒューと風が吹く
この街にも

だるまさんが転んだ
七転び八起き
誰かさんが起き上がった
朝六時起き早起き
なにかが転がりはじめた
ローリングストーン
転技法比喩表現
言葉の意思を貫いて転がせ

夫婦喧嘩の子守唄
たばこの煙は網戸をすり抜けていくのに
ふたりはいつも仕切られたまま
閉ざされたままうつむいたまま
あの子はいつも笑いながら泣いていた
まるで陽の当たらない街のように
あの子はいつも笑いながら泣いていた
外は晴れてるのに雨が降っていた

海のミルク森のバター天然のコルセット
ラブストーリーと花粉症は突然に
流れるプール流しそうめん
何が楽しいのかわからなかった
安い賃金で働く外国人のリーさんと
ありがとうが言えない子供達
田んぼを耕して新しいアパート実る
収穫のときはいつだい
キャッシュレスと会話レス
マイナンバー南無阿弥陀仏
商店街のシャッター口を閉ざすジーザス

中学校三年生校等専門学校に落ちる
だからぼくは
ネクタイのいらない仕事につけているんだよ
高校三年生モスバーガーのバイトの面接に落ちる
だからぼくは
マニュアル通りの料理の作り方を知らない

はじめて女を金で買いました
背中に桜吹雪の入っている女の子
その子に彼氏がいたことが
なぜだかとても興奮しました
そんな日々も桜と共に
ぱあっと散っていくのでした

さよならも言わずにあの人は出て行った
まるで恋人に別れ話を告げないように
さよならも言わずにあの人は出て行った
壁に投げた野球ボールだけが跳ね返ってくる

小さな闘志を燃やすあの人
目には見えないものなのかもしれないが
胸に秘めたその熱い闘志をたぎらせ煮えさせ
ギターに乗せて

ヒューヒューと風が吹く
比喩の風が吹いていく
ヒューヒューと風が吹く
この街にも

これは例えばの話じゃなくて
醜いものや汚いものを持っているのも
本当の僕らなのさ
それでも君は疑っちゃうかもしれないけれど
夕焼け空がきれいだと思う心も本当なんだよ

あの日きみから電話があった
もうだめだ死にたいって君は僕に言ったんだ
僕は君に死んじゃだめだよって言ったけれど
僕もおんなじように電話したかもしれないんだ
だから僕らこうしてわざわざ出会ったんじゃないか
だから僕らこうしてわざわざ歌っているんじゃないか
日々死んでいった言葉やフレーズを使って
この歌は生まれてきたんだぜ
一度はどん底に転げ落ちた真っ暗闇の中から抜け出していま君はそうやって笑っているじゃないか
分からないことがたくさんあったよな
分かり合えない人もたくさんいたよな
そうして僕ら怯えながら夜を迎えて
また朝がやってきて今日まで生きてきたんじゃないか

否が応でも出会ってしまったんだ
触れられる限りは触れていたいんだ
否が応でも生まれてしまったんだ
そのときが来るまでは生きてようよ

誰かさんが転がったもうやってらんねーよ
誰かさんが起き上がったやっぱ負けてらんねーよ
何が転がり始めたローリングストーン
転がって転がってあの子の足もとまで

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