見出し画像

『鳳凰の飛翔』 中国ドラマ 鑑賞記録

鳳凰の飛翔
天盛长歌
配信 2018年 湖南卫视56集 爱奇艺DVD70集

トップ画像 天盛长歌 微博
 

全70話の超大作、netflixで視聴しました。長いので何度も二の足を踏んでたのに白敬亭が出てると知ってすぐに観始めたミーハーな自分を自嘲気味ながら、作品自体とても面白かったです。
重厚感たっぷりな正統派時代劇。要点を全て網羅するような感想は書ける気がしませんが、自分なりの感想を綴ってみようと思います。
よろしければお付き合いくださいませ。


主演の陳坤演じる寧弈 天盛长歌 微博


全体像

波乱万丈の長大なストーリー。全ては書き切れないと思うので、まずはざっくり流れを
主役は天盛王朝の第六皇子である寧弈(楚王)と、匿われるように母の実家で育てられている鳳知微
天盛朝の後継者争いと、前朝である大成朝の遺児やその残党 血浮屠らとの対立という2つの軸を中心に壮大な物語が展開する。

もう一つの側面は主人公二人の愛と葛藤。出会ってすぐに恋に落ちるのだが、お決まりの敵同士の間柄なのである。
そこに皇帝と息子たちの親子愛や妻たちとの確執に私怨、皇子それぞれの母親との愛、属国の皇子の恋などが渦巻き、大きなスケールで描かれる愛憎劇だ。

現皇帝には10人余りの皇子がおり、太子 寧川は強力な実権を握っている。が、ご多分に漏れず大変に腹黒い。 
苦労して育ったが世を統べる者としての真っ当な志と素質を持つ寧弈は、まずこの長子を倒した後、第五皇子の寧研第二皇子の寧昇と排除していくのだが、皆それ相応に手強い。
第五 寧研は比較的容易かったが、第二の寧昇は母方の豪族である常一族を味方につけてあれやこれやと策略をめぐらす。よくもそんなに悪いこと考えられるよね、と感心してしまうくらいのダーティーさだ。
それも何とかやっつけたと思ったら、今度は後半に登場する第七皇子 寧斉。彼は後ろ盾がない分、器は小さいが小狡いタイプで、意外に苦戦する。

その間にも、閔海の強大な勢力である常遠が謀反を企てたり、草原の金獅国の皇子が現れて鳳知微を見初めたりと、あとからあとから難題が降りかかる。

話は最後まで、国も人も愛も憎しみも、もつれにもつれて進んでいくのであった…


倪妮 演じる 魏知 天盛长歌 微博


登場人物たち

ヒロインの鳳知微には沢山の身分と名前がある。上の写真は、天盛王朝の「無双国士」(国中で並ぶ者がないほどすぐれた人物を指す)のタイトルを授かった「魏知」形態時。女性であることを隠して皇帝の側近くで仕えた。
他にも閔海の常遠討伐に遣わされたり、天盛の公主となって金獅国に嫁がされたり。
だがそれも全ては大成王朝の遺児という、彼女の出自ゆえなのだった。

その鳳知微に想いを寄せる金獅国の世子、赫連錚。演じるのは張暁晨。最初はフラフラ気楽に遊んでばかりだったが、首長が亡くなり国に帰ると謀反で叔父が実権を握っている。正統な後継者である彼もまた跡目争いの葛藤から逃れられない運命なのだった。

寧弈の参謀である辛子硯。天盛の諸葛亮とも称えられる切れ者で「青溟書院」という国の官僚となるべき才能ある青年を育てる機関を任されている。
寧弈の才能を見込んで明君に育てると約束し、その頭脳で数々の危機から彼を救う。
しかし終盤になって寧弈は政権を執ることを放棄。落胆する辛子硯だったが、結局は彼の見立て通りだったのだ…

ドロドロの愛憎劇の中で唯一の清涼剤ともいえるのが、血浮屠の遺児である顧南衣。演ずるのは白敬亭。武芸に秀で、寡黙ながら鉄の意志で鳳知微を守り抜く。終盤、師匠の死をきっかけに自分の運命を振り返り、過去に執着することの理不尽さ、愚かさに気づく。

他、寧弈の兄弟たち、鳳知微の母 秋明櫻や弟 鳳皓、閔海編から登場の 王鴎演じる華琼など、多彩で豪華な脇役たちが物語を盛り上げていく。


「你在哪儿 我在哪儿」(私たちはどこまでも一緒だ)が口癖の顧南衣 天盛长歌 微博



俳優さんたち


辛子硯とプライベートでは髪を下す寧弈 天盛长歌 微博


まずはやはり寧弈を演じる陳坤だろう。長い物語を演じる意気込みを感じる気迫のこもった演技だった。
声の出し方が最初と最後では物凄く違うのにも驚いたし、母思いの優しさや知微への想いに苛まれる様も、真に迫るものがあった。
途中、母を失った落胆から政権奪取への意欲をなくしてしまうシーンでは、辛子硯ではないけど観てるこちらもガッカリなくらいの傷心ぶり。
個人的にはエンディングの壮絶な決意の表情が好きだった。

同じく主演の鳳知微 役 倪妮。厳しい人生の中の多くの身分を演じ分け、特に後半殆どのシーンで涙を流していたのではないかと思う程、泣きの演技が多かった。
その上、華奢な肩に掛る豪華な衣装や大きな鬘と簪の重さは如何ばかりだったろうか。立っているだけでも大変だろうなと思いながら観たものだ。
そういえばある俳優さんが、彼女はひっきりなしに撮影を入れていて、自分にはとてもできない、すごいと言っていたのを思い出す。倪妮という女優の根性を見せ付けられたドラマだった。

その彼女に一途な想いを寄せる金獅国の太子、赫連錚を演じた張暁晨は最近特に大層な悪役が多いようだけれど、この役柄は純粋で親しみやすくて、とてもよかった。
知微にどんなあしらいをされようが、何度振られようがくじけずに、最後は命も懸けて愛し抜く魅力的な男性
張暁晨がつぶらな瞳で真っ直ぐに好演していた。

赫連錚 役の張暁晨 天盛长歌 微博


そして、顧南衣。演じるのは白敬亭、当時24歳。
今よりさらに透明感があり、目元の彫りや口元の繊細さに目を奪われる。監督もその横顔に美しさを見出していたようで、やたら横顔シーンが多い。女装シーンもあり知微をして「女よりも美しい」と言わしめる。
身体能力が高いので、護衛役としてのアクションシーンのキレも抜群だ。
最初は指令を受けて始まった鳳知微のボディーガードだったが、彼女の人柄に魅入られてからは只ひたすらに、無条件に、彼女を守り抜く。運命に翻弄され苦悩する知微を深く理解し、姉のように愛し寄り添う姿が胸を打つ
イケメンでありながらコメディからシリアスまで様々に演じ分けられる「横顔」を持つ、稀有な俳優さんのようだ。素敵。


この横顔に何度見惚れたことか💙 顧南衣を演じる白敬亭 天盛长歌 微博 


その他、鳳知微の弟 皓の昌隆、天盛皇帝 役の倪大红、宦官 淵の侯岩松、知微の育ての母 秋明櫻の刘敏涛、閔海で狡猾に立ち回る常忠信 役の代旭など、脇役の皆さんの活躍あっての超大作だったと思う。



幸せだった時期の寧弈と知微もぜひ載せておきたい 天盛长歌 微博


最後は全ての糸が収束し、収まるべきところに収まる圧巻の脚本。長いだけに派生したストーリーは覚えきれないくらい多いのだが、よくあるようにそれらを乱暴に片付けるのではなく、きっちりと整合性のある結末に落とし込んだ素晴らしさに、長時間の視聴を裏切られない満足感を与えてもらった。

父王は「国の安定のためには情も義も捨てなければならない」と言った。
けれども、私怨と運命に翻弄され兄弟であっても憎み殺し合い、愛する人は世を去り、結ばれるべき人と結ばれず、失意のうちに皇位についた寧弈は、逆にその悟りと覚悟によって、きっと国の安定も、情も、義も、並び立つ世を作り上げてくれるだろうと信じられる、希望のエンディングであった。




以上、やはり長い物語は感想も長くなってしまいますね(汗)
書くべきことを書き切れたか心もとないですが、綴る過程でいろんなシーンが思い浮かんで自分自身でも楽しかったです。

今年は9月に note を始めてまだ3か月ほどですが、この超大作のレビューで締めくくることができ大満足です。
それもこれも、お読みくださってる方のおかげ。
本当にありがとうございます!

2023もどうぞよろしくお願いいたします🧡


この記事が参加している募集