ユースケ

都内在住のSE。読書(経済学・哲学・社会学)から、自分が考えたりしたこと、学んだことを…

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都内在住のSE。読書(経済学・哲学・社会学)から、自分が考えたりしたこと、学んだことを書いていきます。ドイツ語勉強中です(初心者)。

最近の記事

戦後の記憶

見田宗介の論壇時評『白いお城と花咲く野原』から。本記事は5回目。一応ラスト。 ーーーーーーーーーー 世界が手放される時 ー戦後理念の地崩れの後(1986年1月30日) 「ところが現在の社会では、今言ったような世界に対する理想そのものが、ひとっびとの世界像のなかで、生じないんじゃないだろうかという事がある。じゃ、世界に対する理想が生じないような人間にとって、僕等が持ったような、そういう生きかたの革新というのは、どのくらい言葉として届くか、つまり普遍性があるのか。(略)いくら突

    • 「荒れ野の40年」と2025年

      見田宗介の論壇時評『白いお城と花咲く野原』から。本記事は4回目。 ーーーーーーーーーー 歴史の鏡・文化の鏡 ー三つの四十年の対照(1985年8月29日) 社会の中の弱い者、異質な者に向けられたあたたかいまなざしこそが、およそ"自由"と"民主主義"とを名のる政治家の最低限の感性であるということを、それは語っているようでもある ーーーーーーーーーー これは、リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカーの有名な演説「荒れ野の40年」に関する時評である。 保守系の大統領の演説だが、非常に

      • 日本の戦後と核

        見田宗介の論壇時評『白いお城と花咲く野原』から、いくつかnoteに残しておく。本記事はその3回目。 ーーーーーーーーーー 戦後日本のメタ権力 ー戦後思想の否定の仕方 (1985年6月27日) <右手に核兵器をもつ女神>によってしか戦後の平和も民主主義もなかったのは"なぜ"か。日本人が自力で天皇制の呪縛から自己を解放することがなかったからである。戦後日本の数々の擬制の根源はこのことにある。 (略) けれども、この"診断"と"処方"の間のずれを成型する地場それじたいは、日本人が

        • 自由という名の非自由

          見田宗介の論壇時評『白いお城と花咲く野原』から、いくつかnoteに残しておこうと思う。本記事はその2回目。 ーーーーーーーーーー 自由という名の非自由 ー窒息しそうな子供たち(1985年3月28日) 自由といえば自由"競争"と短絡するのは、人間はすべてエゴイストであるというまずしい人間観である。競争しない自由、自分のぺースで生きる自由が根底にあってはじめて、時には競争する自由もまた楽しいのだ。競争を強いられるほどに過酷な不自由はない。 ーーーーーーーーーー 『白いお城と花

        戦後の記憶

          フェミニズムから多様性についてのメモ書き

          見田宗介の論壇時評『白いお城と花咲く野原』を読んだ。フェミニズムに関してなるほどと思う部分があったので、メモしておく。 ーーーーーーーーーー 差異の銀河へ ー国境を超える二つの仕方(1986年5月30日)より 男女の差別をこえるという時、「女である前に人間です」という言い方で、同質性に還元してゆく仕方がひとつである。もうひとつ「女といっても一人ひとり違う。男といっても一人ひとり違う。」という言い方で、異質性を際立たせてゆく仕方がある。最首の言い方をかりれば、<みんなが同じ>

          フェミニズムから多様性についてのメモ書き

          他者からのまなざし

          LINEのトークリストを眺めていて、1つ前の会社で知り合った同僚(後輩女性)のLINEを見つけた。 お互い転職し、それ以来は会話をしていない。(転職前に一度会って相談したりはしていたが) 最後になんの話をしたのかは覚えていなかった。 興味がわき、何気なくタップする。 最後のやりとりは約3年半前だった。 「今日が入社日ですよね!心機一転頑張ってください!」 応援のメッセージだった。 朝、出社中に受信したメッセージ。 このLINEの前のメッセージは2か月程前のメッセージ

          他者からのまなざし

          ラーメン「1000円の壁」に思うこと

          以前から思っていたことだが、タイトルの件について。東洋経済オンラインにて良い記事を見つけたので、これを機に書いてみようと思った。 「超人気つけ麺店」店主が日本を離れる切実な理由 "食べログ3.9"の名店を営むも「ずっと不安」だった | 井手隊長のラーメン見聞録 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net) 食文化の発展、経済的な側面等、様々な見方はあるものの、やはり個人的に気になったのは「1000円の壁」についてである。海外では3000円や5000円で提供する

          ラーメン「1000円の壁」に思うこと

          スポーツ界を考える

          慶応高校が甲子園で優勝した。 髪型や応援歌のボリュームといった、野球以外でも盛り上がってる。 酷暑による不要不急の外出が呼びかけられる中でも実施される高校野球について、いい加減そろそろ変わる時に来ていると思う。 もちろん、勝利至上主義的な構造に対してもメスは入れるべきである。 福岡で行われた世界水泳選手権でも同様のことを考えさせられることがあった。 大橋選手のインタビューの時だったと思うが、「小さいころは姉2人も水泳をしていたが、つらいからということでやめていったが、私は続

          スポーツ界を考える

          秋葉原の都市計画案の意見書を出した

          秋葉原の外神田一丁目の再開発案に対して意見書を提出した。 そういったものが出せると知ったのは、twitterで知ったからだ。twitterを見てなかったら出してなかったかもしれない、と思うとやはり行政に目を向け続けるのは難しいと感じた。 さて、意見書を提出するまでに思ったこと(主に不満に感じたことなのだが)は以下の通り。 ・意見書が区のHPのどこからダウンロードすればいいか分からない。 ・自分は住民説明会に出ていたので、ある程度話題を知っているが、そういった説明会に出てい

          秋葉原の都市計画案の意見書を出した

          価値と使用価値

          久しぶりの投稿となります。 タイトルは単純に、マルクスからとって「価値と使用価値」としました。 価値は、私の解釈からすると、「利潤を増殖出来る価値」であり、使用価値は「所有者にとっての価値がどれだけあるかの価値」です。 画像で言いたいのは、右側の白州のハイボールです。 1缶600円程度の値が付けられています。Amazonで予約販売しており、本日届いたため1缶だけ飲んでみました。うまい。度数9%ですが、やはりうまい。 しかし、1缶値段は600円。少々やりすぎです。さすが

          価値と使用価値

          秋葉原の行政、市民、資本

          外神田一丁目(秋葉原)の再開発に対する、再開発の住民説明があるとのことで足を運んだ。 千代田区ホームページ - 外神田一丁目南部地区のまちづくり説明会 (chiyoda.lg.jp) 私は千代田区民ではないが(自宅は比較的近くではあるが)、勤務先が秋葉原である。昨今のミュニシパリズム等の動きにも興味があるため、本件に興味があった。 そもそもどのような話の流れがあって今に至っているのか知らないで参加しているが、非常に大きい熱量を感じた。 もはやどこでもあり触れた光景であろ

          秋葉原の行政、市民、資本

          ワールドカップと人権侵害について思うこと

          人権侵害の上に成り立つ今回のワールドカップ。 ワールドカップは祭典なので盛り上がるのは当たり前である。 しかし、別の側面から見ると「人権侵害の上に成り立ったスポーツ観戦は楽しいか?」という指摘のされ方がある。 楽しくないと思うのならワールドカップなんて見てはいけないと。 しかし、一見それが正しい抗議姿勢ようにも思えるが、それだとサッカー選手が無観客試合で試合をしたり、サッカーが出来なくなったりする。もちろんスタッフの方達の努力も無になる。 つまり選手陣営が人質になる。 人

          ワールドカップと人権侵害について思うこと

          「ミュニシパリズム」を日本語化すること

          「ミュニシパリズムを理解しやすい日本語にしないと」という言葉が、宮台真司先生から斎藤幸平先生へあったようです。 以下のイベントにて こんな社会に暮らしたい ~脱成長、コモン、SDGs、民主主義、自治から考える理想の社会の実現方法~ – LOFT PROJECT SCHEDULE (loft-prj.co.jp) 「ミュニシパ」という言葉が確かに言いづらいし、「何それ?」という感じもします。調べてみたところ、以下のように訳されているようです。 ・地域主義 ・自治体主義 ・地域

          「ミュニシパリズム」を日本語化すること

          環境問題に対して行動する人々

          2人は作品の前に座り込んで 「人々は飢え、凍えて死につつある。私たちは気候をめぐる大惨事に直面している。 もし将来、人類が食料を取り合う事態になるのなら、この絵画には何の価値もない」などと訴えました。 モネやゴッホの絵がターゲットとなり被害にあった出来事。 彼らは環境問題に取りつかれた「ただの過激派」なのか。 逮捕されることも気にしない「イカれた環境活動家」なのか。 なぜそんなことをしでかすのか。 つまり、「偉そうに椅子にふんぞり返った「権力者/資本家」に建設的な対話をし

          環境問題に対して行動する人々

          マスク着用について

          今年の夏の実存思想協会のイベントに出てから感じている「マスク」について。 https://jitsuzon.org/2022/06/01/%e7%ac%ac9%e5%9b%9e%e3%81%98%e3%81%a4%e3%81%9e%e3%82%93%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7%e9%96%8b%e5%82%ac%e3%81%ae%e3%81%94%e6%a1%88%e5%86%85/ ワクチン接種率も大分高くなった昨今。 外国人旅行客も増えてきた昨

          マスク着用について

          豊かさとは何か

          資本主義が豊かさをもたらしたことは否定しないが、以下の問いについて。 インターネットも無い時代。 一世帯当たりの労働は男だけだったが、今は一世帯あたり男女が仕事をしている。 一世帯あたりの労働時間が2倍になった。 「何が」豊になったのだろうか。 A.Yes。仕事を通して自己実現を目指す機会が男女平等になった。 B.No-。男だけでは食っていけないので女も働くしかない。 C.?。学校卒業後、企業勤めが当たり前の社会になったので労働時間が倍になった理由は特にない。必然。 直

          豊かさとは何か