見出し画像

「イヌと人の熱い戦い! アジリティー世界大会2019」

NHK BS1スペシャル「イヌと人の熱き戦い!~アジリティー世界大会2019」2020年1月25日

概要
・アジリティーというスポーツがある。イヌと人がペアでチームを組み、コースにおよそ20用意された種々の障害物を進みゴールまでのタイムを競う。

・2019年9月にフィンランドで開かれた世界大会には、世界40か国から500近いペアが参加、日本代表も1団体出場し、団体戦で6位入賞、優勝は圧倒的な強さを見せたドイツだった。

・ハードルひとつでも、決められた側から飛ばないと失格となる。コースを知らないイヌは、並走する人(ハンドラーと呼ばれる)の一瞬の指示を見逃さず見事コースを進んでいく。イヌと人の絆を感じる不思議なレース。

感想
つくづく思う。イヌと人ってなんでこんなに仲が良いのか…。
もちろん人はほかの様々な動物とも共存していて、家畜にはウシやウマ、ニワトリもいる。しかしそれらとの関係は「利用」という感覚が残念ながらある。しかし、イヌについては「ただ一緒にいたい」というの関係。友達に似ている。種を越えてそんな気持ちをお互いに持てるのは、本当に特別なことと思う。

BBCニュースによると、アメリカの学者が、イヌと人間が仲良くなった(家畜となった)のは2万年前~4万年前であることを突き止めたそうだ。当時オオカミが人間の残飯をあさるために、狩猟採集民の集落の外れに移動したことがきっかけと。「比較的従順でおとなしいオオカミの方が、残り物にうまくありつけたはずです。長い時間をかけて人間とオオカミは何らかの共生的な関係を築き、やがて現在の犬に進化しました」。
つまり、オオカミのうち人間好きなものが生き残っていき、イヌとなった…。そう考えると、「イヌと人が仲がいい」というよりも「イヌが人に愛情を持ってくれている状態」だ。イヌに感謝。

特に番組に登場したドイツのアジリティー練習所の様子。車いすや、ひざの悪い(走れない)女性が愛犬とともにアジリティーを楽しんでいた。「イヌは偏見を持たない。誰でもチームを組んでくれる」と解説していた。

ただ、それは決して一方的な関係ではないことも、番組から感じることができた。チェコから出場し、前回優勝したペア、マルティナ選手(女性)とキキ(メス)。2019年の今回は、11歳(人間ならば60歳)のキキの引退レースとなった。
マルティナさんの家には、キキと獲得した数々のメダルやトロフィー。これ以上無理をさせたくないと考えて引退を決意したそうだ。「イヌを飼うということは、イヌが幸せな一生を送ることに責任を持つこと。キキとはアジリティー以外にも乗馬や山登りなど、たくさんのことを一緒にやっている。これからもキキと楽しむ。私が幸せならイヌも幸せ、イヌが幸せなら私も幸せなんです」

そして、愛犬キキとの最後のレース…。キキは途中、スラロームでミスをする。しかし、マルティナさんは叱るどころか会場に拍手を求めた。リカバーして懸命に走るキキに会場は大喝采。無事ゴールにたどりついた。「人生で最後のキキとの走りを楽しみたかった。観客が拍手をしてくれるとキキがうれしくなるのが分かっていたから、拍手を求めた。キキのために特別なレースにしたかったんです」
人間同士、例えば親子の関係でもこんな愛情あふれる表現にはなかなかお目にかかれない。人もイヌに応えているのだろう。

アジリティーのスピード感や迫力は文字で伝えるのは難しく、ぜひ映像や生で見た方がよいと思う。心の温まるよいスポーツ、よい番組だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?