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アフターコロナの「脱グローバル化」は本当?

■脱グローバル化の合唱
新型コロナウイルス以降に「脱グローバル化」の時代が来ると、NHKBS1の番組で海外の専門家たちが口をそろえていたのは、前回のブログでもご紹介した通りだ。その響きから、まるで時計の針を戻するような違和感を持ったのは私だけではないだろう。なぜそうなると予想されるのか、本当にそうなのか…そのあたりをネット検索の結果から検討してみたい。

■グローバル化はいつから?
古くは15世紀の大航海時代からすでに始まっていたとされるグローバル化だが、現代のそれは1991年のソ連消滅あたりを起源とするそうだ。
具体的には、海外渡航が多くなった。自国外への旅行者の総数は、1960年の1億人未満から、2015年には11億9000万人にまで増大したとのこと。もちろん、1990年代後半以降のインターネットの普及で情報の交流も進んだ。そして、このころからアメリカや日本、その他の国々が「労働賃金の安い」中国へ生産拠点を移し始めた。私も1997年ごろだったろうか、日本の地方都市の経済視察団に交じって上海近郊を訪問したことがある。当時、多くの企業が中国進出に明るい未来を夢見ていたのではないだろうか。

■脱グローバル化とは何を指すのか
今叫ばれている脱グローバル化とは何なのか。様々な記事を読んでみたがあまりピンとこない。言われているのは…
・ウイルス拡大の原因となった「気軽な海外渡航」を控える世の中になる 
・国際流通の寸断で、海外の生産拠点から部品が入らなくなったことを教訓にした、生産拠点の国内回帰が進む、などで、具体性のある記事は少ない。そして、本当にそうなるのだろうか。多くの記事や発言に触れていると、脱グローバル化論の、とある傾向が気になり始める。

■起点はアメリカ?
結論から言うと、私は今言われている「脱グローバル化」は、特定の国が現在抱える問題やストレスのはけ口として、叫んでいるものだと思っている。特定の国というのは、アメリカ。その他の国で明確に「脱グローバル化」という話はほぼ聞かない。先日ブログで紹介した脱グローバル化論を唱える学者・専門家たちは、アメリカ人またはアメリカの企業に勤めるインド人、そして日本人だった。

アメリカでは、トランプ大統領が新型コロナウイルスをめぐる中国の“失態”を追及、その流れに沿わないWHOに対しても資金拠出停止とするなど、かなり強い姿勢で中国を非難している。もちろん新型コロナウイルスで最も深刻な被害を受けているのだから当然といえば当然なのだが、それ以前からの両国の冷え込みも原因しているように思える。GDP順位では、中国が次第にアメリカの足元に近づき、最先端の産業でも5Gなどすでに中国がリードしている分野もある。そして、当の中国は最近、心象の悪いアメリカにはアプローチせず、「情報シルクロード」などと名付けてヨーロッパと仲良くし始めている。ヨーロッパ諸国にとって中国は、自国よりもGDPも市場も勝る、頼もしい存在のようだ。ちなみにドイツ政府は、「ウイルスは武漢の研究所が発生源」とするアメリカの主張を疑問視していると報じられている。「トランプ大統領の失政から目をそらすように仕向け、国民の怒りを中国に向けるためのものだ」と分析しているのだとか。これらを俯瞰すると、アメリカの言う「脱グローバル化」は「みんなで脱中国しようよ」というキャンペーンのように思える。

■脱グローバル化はないかも
駆け足でいろいろと調べてみたところ、私の結論としては「脱グローバル化」は今のところアメリカのアンチ中国キャンペーンであると判断。アフターコロナの時代も、海外渡航は盛んに行われるし、中国かどうかは別にして、生産拠点の海外シフトもこれまで通り行われると感じている。ただし、アメリカは除く。そして、アメリカの要求に従った場合の日本も除く。この2つの国は、中国とのソーシャルディスタンスをびっくりするくらいとるのではないだろうか。気が付くと、「アメリカwith日本」VS 「中国withEU」の世の中になっていたりして…と心配するのだった。10年後どっちが強い?

余談だが、「アメリカの政権のキャンペーン」という構図で思い出したことがある。ブッシュ大統領のもとアメリカが世界的にキャンペーンしていた「バイオ燃料」。アメリカの広大なトウモロコシ畑(コーンベルト)を石油に変わる枯渇しない燃料にしていくというもの。当時たしかNスぺでも大々的に取り上げていた気がする。このアメリカのバイオ燃料政策は、ブッシュ引退とともに耳にしなくなった。つまり……? キャンペーンに踊らされないようにしたいですね^^(ってか…ぶつぶつ…!)。

そして、次回からこのブログは、私の本業である動画マーケティングについて書いていくものに移行します。時々海外ドキュメンタリーの感想も書きたいです。悪しからずご了承ください。

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