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「#フォロー・ミー インスタの偽り」

タイトル
NHK BS世界のドキュメンタリー「#フォロー・ミー インスタの偽り」

放送
オランダ公共放送VPRO

概要
・インスタグラムのフォロワー数が100万人いると、スポンサーがついてビジネスになる。

・フォロワー数を“売買する”業者がいて1万人分が数千円で取り引きされている。

・フォロワーが本物かニセものかを調査するビジネスも急拡大している。

感想
5年くらい前だっただろうか。YouTube番組の企画会議でとある作家が「登録者数は買えばいい」と話していた。そういうことができるのをその時初めて知った。番組はインスタグラムでのフォロワーをお金で買うビジネスについて、調査した内容だ。オランダの放送局の制作だが、取材はアメリカ、ロシアにも広げていて、世界的に同様な現状があることがうかがえる。
番組で印象に残ったのは何といっても、実際にフェイクフォロワーの販売をビジネスにしている人へのインタビュー(覆面)。インタビュー中、取材者の投稿をあっという間に6000個の「いいね」をつけて見せ、その力を証明した。

彼の話から類推すると、依頼主に貼りつけるフェイクフォロワーは、かつてはでたらめに増やしたアカウントだったようだ。それらはプロフィールをのぞくと、名前が変だったり、一件も投稿していなかったりの違和感がある。こうしたbot?フォロワーがいくら多くても、スポンサードにはつながらない。彼がオススメするのは、ネットでプロフィールをコピーしてクローン化したアカウント。自前のウェブサーバーがInstagramのプロフィールを検索、そこから写真と紹介文をコピーして新しいアカウントを作成するそうだ。アカウントが作られる国はインドが多く、発注に応じて、実際に手作業でいいねやフォローをする「仕事」があるらしい。

インフルエンサーのフォロワーが本物なのか、調査する会社もアメリカで登場している。彼らの分析では、著名人もフォロワーを買っているとのこと。アメリカの有名女性シンガーは20%がbot。オランダのとある作家のフォロワーは3万人で、50%がインド、30%がトルコ、7%がインドネシアで、つまりほとんどがbotとのこと。彼らは、この情報をスポンサーや広告代理店に販売する。スポンサーは、誰に出稿すれば、本当に消費者に届くのかの参考とする仕組みだ。

そのほか、ロシアの取材では、自身の投稿によい反応のコメントを購入できる「コメンター」というビジネスも紹介されていた。マツエクのサロンを経営する女性がネット上で発注すると、写真に対するよいコメントが次々と送られてきて、広告プランに則したものをチョイスして掲載(実際には他人がコメントしたように見える)していた。

インスタ映えを狙った撮影現場を俯瞰で写真に撮ると、けなげな努力が見えてほほえましいというエピソードはたくさんある。誰しも自分をよく見せたいし、それを可能にしてくれるのがSNSの世界だろう。ただ、本当にはいないフォロワー数をネタに、他人からお金をもらうことは詐欺にあたり、犯罪として摘発されかねない。古参のメディアのように、ニューメディアでもこれから倫理問題が問われていくのだろう。

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