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【第4回 綾瀬穂乃香音源】バレエダンサーを手放した、バレエアイドルのプロデューサー【#俺からの虹色レター】

 どちらかを掴めば、もう一方を手放す。

 この世界にはジレンマというものが数えきれないほどあふれていて、その中の一つが、綾瀬穂乃香ちゃんをバレエダンサーとして逃がすのか、バレエアイドルとしてスカウトするか、ということでした。

 音源の中で、ファンレターの差出人が誰なのか敢えて明示はしませんでした。ドイツアイドルプロデュースで示唆されたように、バレエダンサーとして表現の壁にぶつかった過去の穂乃香ちゃん(その後、プロデューサーと出会えるかは、誰も知りません)かもしれない。かつての穂乃香ちゃんと同じように、光のような存在に救いを求める別のバレエダンサーということもあり得ます。

 では、バレエダンサーのままの穂乃香ちゃんで良かったのか。そうすると今度は、奇跡の四角形であるフリルドスクエアが成り立たなくなります。穂乃香ちゃんと忍ちゃんが出会って結成したのだから、他のアイドルによって穴埋めされる世界線はあり得ないのです。

 そうしたら、ドリームユニット決定戦も勝てなかったし、現在のアイドルプロデュースもなく、桃井あずきちゃんの大切なプリズムスクエアパークも救われない。フィクションでもありふれた、しかし心が痛むジレンマが発生します。

 幸いにして、デレマス/デレステは(お芝居の仕事でない限り)サイエンス・フィクションの世界ではありません。プロデューサーがやるべきことは、バレエアイドルの穂乃香ちゃんと共に、舞台の端まで踊り続けることだと思っています。

 どちらの世界にいた方が、命の輝きが長いかは、誰も知らない。いや、知る術はない。知るべきことがあるとしたら、穂乃香ちゃんを生かすにはどうするか、考えながらプロデュースし続ける方法なのかもしれません。

 ちなみに、最後の「もう一通のファンレター」ですが、差出人は「無邪気に踊る、何も知らない幼い穂乃香」をイメージしています。こちらもドイツアイプロで示唆されていますが、手紙を読んだ穂乃香ちゃんがぴにゃった…ことにしました。

 だって、ほら。全てを言葉にする必要はないって、穂乃香ちゃんが言っていましたから。

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 ここまで読んでいただいたみなさん、ありがとうございました。みなさんが楽しめるものを、気軽に楽しめますように。

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