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連休、幻想、穴

今週は連休にかこつけて火曜からほぼほぼ七連休(帰省中の大人の生徒さん一人だけレッスンする)だ。

月曜は祝日だったけど大学は授業日だったし、何せ今年は月曜の祝日が多いので、自宅レッスンも通常実施日にした。が、結局レギュラーの2人は休んだ。補講の子だけは来た。まあこういうこともあるから本当は祝日や世間的な休み期間にレッスンは入れたくないんだけど、何せ今年は月曜の祝日が多いので。

火曜は朝からちょっと仕事の対応などもあったが、その後は集中して練習に励み、夜は家族にお好み焼きを作った。
昨日(平日水曜)くらいはお出かけしたいなと思い、Googleマップとにらめっこして、車で三時間ほどかかる然別湖へドライブをすることにした。

連休期間中とはいえ平日だし、他の有名観光地からも少し距離があるので、ひとけはゼロとはいかないまでもまばらで、しかし適度に寂しくない感じでよかった。
北海道で一番標高の高い場所にある湖だそうで、なるほど風は冷たかったけど静かで綺麗だった。


湖の中に沈んでいく線路というのがあって幻想的で一応フォトジェニックなスポットということで立ち寄ったら、ちょうど遊覧船が線路に引き揚げられており、線路は本来の用途でただそこに在った。


観光案内所併設のカフェのご飯が良かった。

温かい食事を摂って休み、まだ帰路に着くには惜しい時間だったので、そういえば行ってみたかったタウシュベツ川橋梁を見に行くことにした。
水に沈みゆく廃線の橋にロマンを感じるための場所だ(なんそれ)。

タウシュベツ川橋梁の展望スポット周りはヒグマがよく出るということで、しかも携帯の電波も届かない場所なので、スマホのアラーム機能で「虹と雪のバラード」札幌市営地下鉄入線音ver.を鳴らしながら展望所までの森を歩いた。

展望所から橋梁を望む。水には沈んでいなかった。

それにしても然別湖からタウシュベツ方面へ抜ける道はなかなかスリリングでした。路肩の不安な細いぐねぐね山道を走る10分は体感25分くらいに相当すると思う。それでも然別湖のかわいい鳥居立つ中島も見れたし、アドヴェンチャー感があったので、まあ良かった。

しかし帰りもあの道をまた戻るのは御免だな……と思ったので、帰りは上士幌町方面を回って高速道へ向かうことにした。

道の駅かみしほろで休憩。

最近の道の駅はどこも清潔だしおしゃれな見せ方を意識していてフードも個性的で楽しい。コーヒーもソフトクリームもおいしい。ついつい色々買い物もしてしまう。

だから、道の駅じゃないけど以前訪れた某有名な観光スポットの案内所がめちゃくちゃ昭和だった時にはかえって新鮮だった。
だだっ広いけどどこか薄暗い店内。その場所を歌った歌謡曲2曲がループするBGM。それなりのお値段だけど良くも悪くも昔ながらの定食を出す食堂。トイレは地下にあり、階段を降りていくとその……湿った匂いには……もはや感動するほどの郷愁が満ち……

そういうところへ行くと「もうちょっとがんばれよ!」とも思ってしまうけれど、そこも展望所とか遊歩道とか訪問者が真に必要とする施設についてはきちんと整備されていたし、別に休憩所について洗練を追求する必要はないんだろうな。

長距離運転の時は音楽や好きな喋り手のラジオ音源を聴くことが多いけど、今回はまずこれを聴こうとiPodに入れて行った。

ジョーイ・アレクサンダーというインドネシア出身のジャズ・ピアニストのアルバム。このアルバムは彼が11歳の時のもの。信じられない。天才ってすごいね…

例の然別湖→タウシュベツ間あたりでは、いにしえのゲーム『北海道連鎖殺人オホーツクに消ゆ』のサントラCDをかけた。

これは何もかも好き過ぎて小6の一時期毎朝早起きしてはRTA的にエンディングまで走ってから一日を始めていたこともあるゲームだけど、近年流氷列車とコラボしたり密かなリバイバルブームが起こっていたかと思ったら、何とこの夏Nintendo Switch向けにリメイクされることになった。これはいよいよ買わねばならぬねSwitchを……

それにしても小学生の頃に出会った音楽をいまだに愛聴し、中学生で出会ったラヴェルや高校生で出会ったシベリウスをいまだに好んで弾き、同じところにずっと住んでいる自分はつくづく『穴』タイプだと思う(そんなタイプがあるかは知らない)。
ひとつの穴から出ずに、また大して横に広げていくこともなく、ひたすら垂直に深く掘り続けている、それで充足していられるし、時々新しいものが舞い込んでくることもある。それを使ってまたひたすら掘る。暗いものや嫌なものも出てくるが、いつかきれいな石や澄んだ水脈に出会うこともあるかもしれない。

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