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羽根つき、凧あげ大会(#31 ニュース映画で現代社会を勉強しましょう)

市民生活・羽根つき大会、凧あげ大会

お正月の風物詩として、子どもたちの遊びとしては、羽根つき、凧揚げがありました。
サザエさんのような、昭和の漫画にもしばしば取り上げられますが、おそらくどちらも、やったことも見たこと無い子供も多いのではないでしょうか。
凧揚げをするような場所は、少なくとも都市部にはありませんし、羽子板は装飾品だと思っている人も多いようです。
年の瀬の羽子板市などでしか、見る機会も無いと思われます。
また凧揚げは、地方によっては行事として行われています。子どもの遊びとしては、ほぼ絶滅したものと言えるかもしれません。

タコ

川崎の市政ニュース映画には、凧揚げの様子が2回取り上げられています。
昭和40年と翌41年のもので、それぞれ「防火と美化運動の凧あげ大会」、「防火と交通安全の凧あげ大会」と題されています。

昭和40年3月24日 防火と美化運動の凧あげ大会

昭和41年3月22日 防火と交通安全の凧あげ大会

防火、美化、交通安全という、当時の市民にとって重要なテーマを運動にして、凧揚げと一緒にすることで、子どもへの啓発をねらったものでしょう。
どちらも子供たちが作った凧に標語や絵が描かれており、当時の流行漫画がわかります。
昭和40年のものでは、丸出だめ夫、おそ松君、41年のものには、オバQ、鉄腕アトムなどが凧の柄として描かれています。

タコ1

凧揚げのシーンでは母親も一緒に楽しんでいるようなのですが、女の子が全く見当たりません。
どうもその頃は、遊び自体がジェンダーによってはっきり分かれていたようで、もう一つ羽根つき大会の映像もありますが、そちらでは明らかに男子児童は入れてもらっていません。
昭和29年1月27日公開の「羽根つき大会」のものがそれです。

昭和29年1月27日 羽根つき大会

ナレーションでは「川崎市子供会連盟主催の羽根つき大会」と述べられ、第二回羽根つき大会との貼り紙が映ります。
会が旧漢字會で、回は異字体のようです。

羽根つき

「珍しい大雪の日曜日」とあるように、かなりの雪が積もっています。小学校の体育館のような板張りの場所で、ネットを置いて羽根つきの競技が開かれています。
室内なのですが寒そうで、審判の女性の先生の吐く息が白く映ります。競技をしている子もどてらを来ていたりします。
昭和の時代は、小学校の教室でどてらを羽織っている子が何人もいました。素のままの子どもが映るのが貴重です。
この川崎市子供界連盟と羽根つき大会は今も行われており、2020年度には第68回羽根つき大会が、「カルッツかわさき」で開催されました。

室内で応援したり競技したりしている子はみんな女子児童で、男子は外から窓越しに眺めているだけです。

羽根つき1

日本においては、男女共学の歴史は浅く、昭和22(1947)年に公布された、教育基本法で「教育上男女の共学は、認められなければならない」とされ、国公立学校では、教育上の男女の共学が原則となります。
平成17(2006)年の改正で男女共学に関する規定は削除されています。

凧揚げも羽根つきも、大会と称されてイベントになっていますが、実際に遊んでいたであろう子供たちが映っているという意味で大変貴重ですし、羽根つきなどは、おそらく川崎の政策ニュース映画にしかないでしょう。
よく映したものだと今更ながら思います。
窓から羽根つきを覗いている男子児童の表情が複雑なのが興味深いところです。時代は経たにせよ、人そのものは余り変わらなかったりするものです。


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