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StreetViewで地域を研究しましょう

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2020年前期のプロジェクト資料の公開版です。 Facebookページ「https://www.facebook.com/VRAreaStudies」を詳細化しています。 プロジ…
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Street Viewで地域研究をしましょう(10)

Tour Creatorでコースを作ってみる 恐ろしいStreet Viewの発想GoogleのStreet Viewは、全世界の公道からの光景を全て統合してしまおうという、画期的なサービスです。360°カメラという技術が登場した時に、当然誰もが考えつくようなサービスですが、それを現実化したこと自体がとてつもないことだと思っています。 1980年代に、私は今は無き富士ゼロックス社のシステム系企業で、研究開発の仕事に携わっていました。 あの時代に、一人一台以上のワークステー

Street Viewで地域研究をしましょう(9)

毎晩、キベラスラムを彷徨ったある友人から、ここ行ってみて、とメッセージが添えられて、Street Viewのリンクだけ送られてきました。 びっくりしました。 ここはどこだと思いますか? で、何が写っていると思いますか? アフリカのナイロビに、アフリカ最大規模のスラムとも言われる「キベラスラム」という場所があります。これは、そこの様子らしいんです。で、写っているのは、なんと映画館なんだそうです。 ナイロビに長年住んで仕事をしているOGもいるんですが、さすがにここは足を踏

Street Viewで地域研究をしましょう(8)

市原市を分析してみる このプロジェクトでは、都市圏から80キロ程度、人口1万人未満の近郊都市を対象に、地域分析を行っています。 今回は、神奈川県真鶴町と、茨城県利根町の他に、千葉県市原市の、3地域を取り上げました。市原だけ市域であり、人口数で言っても他の地域より、はるかに多くの人口を抱えています。 E-statから、平成27年国勢調査結果として、都市圏からのキロ圏・距離帯のデータが公開されています。 経験則ですが、地域の経済、文化は、主に公共交通機関による距離感で形成され

Street Viewで地域研究をしましょう(7)

地域のデータを分析するさて、まずはStreet Viewで印象を得ましたので、次は、その地域のデータを通して、地域分析を行います。 最終的な目的は、その地域の特性やそこならではの何かを発見することです。 では、ある地域理解するには、何を知ればいいでしょうか。どういう情報が必要ですか? ここでは、時間軸に沿って把握します。 まず、現在の姿として、その町の現況、概要を理解します。 地積、位置、そして交通機関がまず考えられます。地理的な情報とインフラという、モノを見て行くわけで

Street Viewで地域研究をしましょう(6)

Mapを使って記録するGoogle Maps、Street Viewに関しては、位置を示すリンクアドレスをそのままコピーして使えばいいとは思いますが、いくつか知っておいた方がいいことを補足しておきます。 例えば、真鶴駅前にいる場合、こういったアドレス表示になっています。 https://www.google.co.jp/maps/@35.1567264,139.13264,3a,75y,306.19h,107.1t/data=!3m6!1e1!3m4!1sv9RiAyXr

Street Viewで地域研究をしましょう(5)

まずは歩いてみて地域のイメージを把握する 本プロジェクトの対象地域としては、神奈川県真鶴町、茨城県利根町、そして千葉県市原市を取り上げています。東京都の周辺地域であることは共通していますが、特に市原は市であり、他の地域とは規模も人口も異なっています。その辺りの詳しい分析は、町の印象を把握したのちに行いましょう。 具体的に地域の分析をする前に、各地域の大まかな地形と位置関係を確認します。本来でしたら、各地の公式Webから、地図情報を手に入れたいのですが、意外なことに、地域の地

Street Viewで地域研究をしましょう(4)

予備調査つづきストリートビューの概要と価値ストリートビューとは、Google社が2007年から提供している、公道沿いの風景をパノラマ写真で提供するインターネットサービスで、GoogleマップやGoogle Earthから利用できます。 2009年5月13日までは、路上からの高さ2.45mで撮影されていましたが、プライバシーの侵害等が指摘され、2.05mに変更して撮影するようになったそうです。40cm低くすることで、塀の中が見えなくなるということですが、その点では、より「人の

Street Viewで地域研究をしましょう(1)

はじめにオンラインコンテンツを活用した、「VR地域研究プロジェクト」を開講します。 私たちが元々展開している地域研究系授業は、国勢調査など公的資料、公式Web、観光案内など、公開資料をベースに各地域を分析し、その上で現地調査を行い、成果を目指すという構成で行っています。 そのため、オンライン授業に親和性が高く、さらにGoogle社のストリートビューを活用することで、現地のイメージを得ることもできます。もし現地へ出向くことができれば、より学びも深まるでしょう。 これによって、

Street Viewで地域を研究しましょう(2)

対象地域いよいよ、本格的に開講します。 ストリートビューで帰省した気になれるんなら、現地調査も出来るはずでしょう。 まずは、神奈川県真鶴町、茨城県利根町、そして千葉県市原市の三地域に、オンライン現調に行きます。 起点は、その地域の駅です。公共交通機関が、人の動線を作りますので。 実は、利根町は域内に鉄道の駅がありません。それはこの町の個性でもあるわけです。隣県千葉の布佐駅が起点になります。 各地域の公式サイトが以下です。大まかに地域の概要を把握しておいてください。どこにあ

Street Viewで地域研究をしましょう(3)

予備調査地域イメージの把握を目的にしますので、まずは与件無しに地域を見てみます。 マーケティングやビジネスの領域での、実践的な発想法として、通称「鳥の目」と呼ばれる手法があります。 「鳥の目・虫の目・魚の目」と表現される、複数の視点で対象を分析する手法で、「コウモリの目」という要素を付加することもあります。 鳥の目 「俯瞰」する視点を示す。視野の広さを実現する、マクロな観点を言う。 虫の目 物事を細分化し、詳細化していく。視点の深さを実現する、ミクロな視点である。 魚の目