story

夜のとばりに包まれる
カーテンを閉めながら紺碧の空を仰ぐ
あなたは今 帰り道を歩いてる頃でしょうか

キッチンでコーンスープをミルクを入れながら暖めた 心をホッとさせてくれるの

子供の頃の記憶 夫婦喧嘩の耐えない家庭だった
熱を出して寝込むと母はコーンスープを作ってくれた 粉末タイプ
どんな家庭だったかわかるでしょ?
お母さんが美味しいご飯を作ってくれた人
お父さんがキチンと叱ってくれた人
そんな人を好きになっていたけれど
眉毛に剃り入れてた頃があった人の方がキモチがわかったりして

尊敬するように眺めてた
心に踏み入れられて全てを捨ててひた走った
そんな頃もあったね

あなたはもうすぐ暖かい光に包まれる
その途中 寄り道するように会えたら

カップを持ってベランダに出てみた
コツコツと革靴の踵の音がする
いる事に期待して あなたの名前を呼んでみた
住宅街に響く足音が3秒止まった
ドキリとして さっきより小さい声であなたの名前を呟いた

「やほ」
返事が帰ってきてどうして良いのかわからなくて固まった私
いくつもシーンを思い描いて
ひとりで遊んでいた
いざとなったら勇気のない意気地無し

コツコツ 歩き出した靴音
『まままま待って』
コツン 止まってくれた
『今、行くから、そこで、待ってて』
ベランダと反対側の玄関
こういう時って映画では鍵もかけずに飛び出すんだけれど
ガスを確認 スマホを持って 鍵を閉めて 階段を下りる
その間の頭の中はなんて話しかけるの?でいっぱい

通りに出ると肩に鞄をかけて街灯の下で微笑んでるのがわかった
私は髪の毛をスリーピンで留めて メガネをかけて モコモコファッション
『いつも探してたんです』
「良い歌が聞こえる家だなって思ってた。お風呂からね」
『あの。寄ってきませんか?』
ニコニコと優しい笑顔は夢の中でずっと探していた声そのままだった


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