見出し画像

森永製菓に見るスポーツパートナーシップ【後編】


スポーツの力を活用した課題解決
ー選手たちが製品を活用する姿がブランド強化につながる

2023年3月18日。F・マリノスと森永製菓は、トップパートナー契約締結を発表。
オフィシャルパートナーとなってから5シーズン目のことだった。
このシーズンから、『エンゼルマーク』と『inゼリー』を組み合わせたロゴが、ユニフォームパンツの背面に入る。
当初からスポーツとの関わりを持つ『inブランド』を前面に出しての取り組みを進めてきたが、改めて真意を聞いた。

「2021年に『森永製菓グループは2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります』という長期ビジョンを発表しました。それを進めていくにあたって『inブランド』は重要な存在です。ウェルネスカンパニーへ生まれ変わるための推進力になる存在でもあるので、きちんとブランド育成をしていく方針があります。ブランド作りに取り組む上で、F・マリノスさんを含むスポーツパートナーシップは、活用したい手段の一つではありました。そのことから、『エンゼルマーク』と『inブランド』を組み合わせたロゴを用いていますが、同時に『inブランド』も課題は抱えていました。『inブランド』はスポーツを軸足とした製品です。メインの「inゼリー」は、トップアスリートの声を参考にスポーツシーンでの消費を想定して開発されました。その上で、忙しいビジネスパーソンの朝食などとしても需要があるのではないかと、日常生活での使用も考え、両輪で作られています。しかし、コロナ禍を経て、ブランドイメージからスポーツが薄れてきてしまいました」

『inゼリー』は、コンビニエンスストアなどで手軽に買うことができる。
朝食や昼食などに手に取る人も多く、現代社会においても欠かせない製品だ。
コロナ 禍の初期は人の動きが低下し、スポーツもできなくなり、消費は大きく減少した。
その後、コロナ罹患時など通常の食事が取れない時の利用が増加し、売上は回復した。

 しかし、ここで起きたのは、本来の軸である「スポーツ系のイメージが相対的に下がる現象」と佐藤氏は言う。

「消費が伸びても、ブランドイメージが変わっては意味がない」

だからこそ、F・マリノスの活用だ。

「トップチームの選手たちが『inゼリー』を飲んでいる姿は、すごく重要な事実です。それも、自ら必要として飲んでいただいている。そのシーンを見せていくことは、すごく意味のあること。口にするものに気を使うプロアスリートが『inゼリー』を飲む。それくらい安心・信頼できるものだからこそ、一般のお客様が朝食としても、通常の食事が取れないときでも飲めるものであると認識してもらいたいのです」

 F・マリノスの選手たちが当たり前のように『inゼリー』を手にする姿や、ロゴが入ったパンツでプレーをする姿は、スポーツを軸としたブランドイメージの強化となり、森永製菓が抱える課題解消に一役買う形へとつながっていた。

「パンツにロゴが入っているのを見たときはうれしかったですね。サッカー選手の重要な足の近く。そこに力を込めるという意味でも大きな場所ですし、これから前向きに立ち向かう試合前の円陣などではとても映えますしね」


パートナーシップはスポーツの力を引き出すことも重要
ー前を向ける推進力を、これからもF・マリノスとともに

F・マリノスとのパートナーシップに尽力してきた佐藤氏は、2024年3月いっぱいで、別の部署へ異動になる。

「一番の思い出は、日産スタジアムでトップパートナーのあいさつをしたときのこと(2023年3月18日明治安田生命J1リーグ第5節vs鹿島アントラーズ)。あの経験はなかなかできないことですよね。ファン・サポーターの皆さんが歓迎してくれて、忘れられない日になりました。大雨でびしょ濡れになったこともいい思い出です(笑)」
と笑顔を見せる。

同時に「やりたいことはもっとあった」と、言葉がこぼれた。
その内容を問うと、少し意外な答えが出てきた。
「ブランディングに関してはいい形でできていると思います。でも、一つ……。これは社内メンバーにも言っていないのですが、アカデミーに対して何かできたらと思っています。彼らは将来、トップチームで戦う選手の卵。その成長に貢献することでF・マリノスさんの将来の強さにつながりますし、引いては日本代表の強さ、日本の競技力向上やそれを見る日本の皆さんの元気につながるのではという想いです。とても長期戦ですが、そんなことも考えていました。でも、具体的には何も施策は浮かんでいないんですけどね」

横浜F・マリノスユース選手たち

 スモールスタートだった初年度から6シーズン。
何も分からない状態から、アカデミーに想いを馳せ、トップチームの将来を想い描いている。
だからこそ聞いてみたい、オフィシャルパートナーからトップパートナーへと歩みを進めて、今、思うこと――。

「F・マリノスが素晴らしいチーム、クラブであることはすごく大きいです。ファン・サポーターの皆さんのことをきちんと考えてマーケティングをして、私たちと同じ方向を見ることができる。いろいろな角度から『横浜F・マリノス』を見て、トップパートナーに『なりたい』と思えましたからね。それに何より強い。毎年優勝争いをしています。MOMも勝ってくれるからこそ、実施できるものですよね。『inブランド』は、『1人1人がなりたい自分に向かって、前に進むエネルギー(生きる力)になる』というブランドパーパスを掲げています。トップアスリートから一般のお客さままで、前に向かう推進力を『inブランド』で与えていきたいということなのですが、F・マリノスさんのアタッキングフットボールは、その思いを体現するようなサッカーです。常に攻め続けて前に、前に行く。最後の1秒まで攻め続ける。その姿を見て、ファン・サポーターも、また前を向ける。同じ想いが、ここにもあるんです。スポーツは人を前向きに、ポジティブにする力がある。企業によって異なる課題はあると思いますが、スポーツパートナーシップでは、そんなスポーツの力を信じて、いかに引き出すか。それがとても大事なことだと思います」

森永製菓、横浜F・マリノス、ファン・サポーター。
佐藤氏が描いた三者が前に前にいく形によって、また一つ笑顔が生まれる。

(了)


さて、今回の記事で少しでも興味をお持ちいただいた方に、noteの更新やパートナーシップの情報が届くメールマガジンのご案内です。
公式サイト内パートナーシップご紹介ページに登録フォームをご用意しています。
たくさんのお申し込みをお待ちしております。

横浜F・マリノス公式サイト パートナーシップご案内ページ

最後までお読みいただきありがとうございました!