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とろとろと、吐露。

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エッセイや短編小説。書き出したい事を吐き出したマガジン。
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2019年5月の記事一覧

【短編小説】儚い春と、僕の彼女

夢乃は白いワンピースのよく似合う女性だった。 春風になびく柔らかいリネンのスカート。 大…

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快楽主義の表現者

まず始めに断言するが、この文章は下ネタではない。 こんな風に考える事がある。 《私が何…

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【短編小説】打倒、魔王。

どんよりと曇った放課後の空。 今にも雨が降りだしそうな空気、じめっとした嫌な水曜日だった…

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【短編小説】ふたりの空白

幼い頃から家の近所にあった喫茶店のマスターが最近亡くなった。 昔ながらの純喫茶。 “くろ…

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棄てられた星

どうしようもなく気分が滅入っていた時のこと。 たまたま立ち寄った海岸で、考えさせられる出…

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【短編小説】海の怪物

青白い満月がこの上なく美しい。 月光が一筋の光となり、静かな室内に差し込む。 清楚なレー…

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【短編小説】どこの誰かも知らない女

3週間前、好きな人ができた。 明るくてかっこいい女性。 かと思うと、触ったら壊れてしまうのではないかと思うほど彼女は脆く、儚い。 まるで闇夜を浮遊する小さな蝶々だった。 時折、きらめく鱗粉を振りまく。ミステリアスで魅力的な人。 「ミナミで良いわよ。」 「あ…ええと、じゃあミナミさん」 カクテルグラスを揺らしながら、ミナミさんはふふっと笑った。 薄暗いバーのカウンター。 1つの空席を挟んで、俺は初対面の彼女を直視できずに目をそらした。 半分ほどを残したグラスの飲み口に、

【短編小説】カラス

右手の細い棒切れに自分を重ねた。 書けば芯がすり減って、カッターで外側を削ってまた軸を出…

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【短編小説】とある日常

シンプルで可愛らしいクリーム色のマグカップがふたつ、キッチンの粗末な食器棚に並んでいる。…

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