甘えてほしい

恋人は 今から帰ると知らせるメールにいつも
疲れた と
私は それが嬉しい
男として常にカッコ良くありたがる彼が
疲れや痛みをちゃんと言葉にしてくれる

前の夫は
疲れたも 仕事の愚痴も 一切、言わないひとだった

最初は 男らしくてかっこよくも見えたわ
寂しかったけど

でも
終わった理由が結局

会社が倒産してたのに 話してくれなかった
仕事は家庭に持ち込まない、とカッコつけていたから
いつもムスッとお酒を飲むばかりで

気遣っても いいや別に しか

私だって働いてるのに
助けてくれ 一緒に乗り切ってくれと
頼りにして 欲しかった

女房に生活費を出してもらうような男に成り下りたくないから出て行ってくれ、と

俺を支えるくらいなら自分ひとりのほうが楽だろう、と勝手に決めて力ずくで追い出した

それも 彼なりの純粋な愛では
あったろう
恨んでなどいない

憎しみではなくて

荷物を一緒に背負わせてくれない結婚生活に 何の意味があったのだろう
自分はそんなに頼りなく 彼の足手まといでしかなかったのか

やり場のない悲しみと悔しさと虚無感

だから
恋人の あれをして もっとこうして
話をきいて 疲れたよ

それが、とても安心で 嬉しい

#エッセイ

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