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バンドは御縁の集合体

6月3日のこと。
私にとって、十年来になる友人Yの、かわいい妹が、7月に結婚式を挙げるという。
新婦の兄であるYは、「なにか、心のこもった特別なお祝いをしたい」というので、「全身全霊のまごころを込めたオリジナル曲」を贈ってみてはどうか、という話になった。

音楽といえば、Yと私にとって、本当に特別な意味を持つシロモノなのだ。

なにせ10代の頃から音楽活動に傾倒し、音楽に青春のほとんどすべてを捧げてきた2人だ。私とYとの関係性も、現在に至るまで確実に「音楽の繋いだ御縁」の上に築かれている。

Yは現在32歳になるが、現役のDJであり、ベーシストでもある。
放置竹林の竹を切る「竹切り師」の仕事以外は、そのほとんどの時間と情熱を音楽に捧げてきたような人物。
自他共に認める「音楽ニンゲン」である。

だから、例え、Yと書いて「ミュージシャン」と読み仮名(ルビ)を振ってあったとしても、私は文句を言わないだろう。
趣味から始めた音楽が、"生きざま"として昇華しているからだ。

そんなYから妹へ、まごころをこめた贈りモノには、音楽が最適だった。
口下手だが心優しい、Yの素直な気持ちが、一番ストレートに伝わる方法なのである。

早速、バンドを結成することにし、メンバー募集を決行。
メンバーは思いの外すぐに集まった。

まず、バンドマスターに大ヴェテランのフラメンコギタリスト・H氏。実は某プロデューサー(→Pia-no-jaC←、某有名48アイドルグループの編曲などを行う)の実弟でもある。この新しいバンドではメロディギターを担当。

ドラマーとして、K氏(仮名)。
過去、アフリカンの太鼓グループに加わり、さまざまなアフリカの伝統リズムを奏でてきた実力者だ。このバンドではジェンベというアフリカの太鼓を用いてパーカッションを担当。

コーラス隊として、YさんとUちゃん。
Yさんは樫原氏と共にフラメンコのシーンで長年に渡り活動されてきた、表現力に溢れた歌い手さん。魂を洗うような歌声を持つ。この新しいバンドではコーラス隊のリーダー的存在を担う。

Uちゃんは幼少期よりピアノに携わり、厳しくも凄腕の先生の元、クラシックを学んできた表現者。動物の鳴き真似なども達者。バックコーラスと、トランペットを担当。

私は、作詞と弾き語りを担当。
今回の曲で伝えたいことは、口下手な兄から妹へのお祝いのメッセージだ。
Yになったつもりで、Yの魂を私に「降ろした」つもりで、心を澄ませて書くことを心がけた。

さて、以上のメンバーがアレヨアレヨと集まり、
昨夜(6月30日)初めて、フルメンバーにて音合わせをしてみた。

・・・不思議なもので、たったの2・3度合わせてみただけの「新曲」の中に、私たち全員の魂がすでに宿っている気がした。
その場にいた全員が、口々に「夢が叶った」と言い、お互いに感謝を伝え合った。

Yの妹への贈り物が、我々全員の御縁をも繋いだ、決定的瞬間だった。

大雨警報のアラートが届く土砂降りの夜、我々が集った空間は平穏で、温かな空気と幸福感に包まれていた。



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