見出し画像

鶴岡八幡宮の大イチョウ 倒木から13年後のいま

3月10日、あのイチョウの大木が突然倒れてから、2023年で13年になります。

鎌倉の鶴岡八幡宮の本殿石段の横にそびえていた大イチョウです。
2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、寛一郎さん(佐藤浩市さんの息子ですね)が演じた公暁が、源実朝を暗殺するために、この木の陰に隠れていたという説もある「隠れイチョウ」の木です。

倒木から13年目の3月10日、蘇りつつあるイチョウの姿を振り返ってみます。

2010年3月10日 午前4時過ぎ  突然の出来事でした

根こそぎ倒れた大イチョウ(2010年3月10日撮影 PD) wikipedia Hitachi-Train (talk) 

2010年3月10日朝のまだ夜が明けない頃、
鶴岡八幡宮のシンボルである「幹回り6.8メートル、高さ約30メートルで 樹齢1000年」という大イチョウが突然、倒れました。

2007年 まだ元気だった頃の大イチョウ(筆者撮影)
本宮側から見た倒木の様子(2010年撮影 PD) wikipedia Urashimataro

大銀杏をみた東京農業大の浜野周泰教授(造園樹木学)は、2月以降の雨で地盤が緩んでいたことに加え、9日夕からの強風が原因と指摘。雪まじりの風は、通常の数倍の力がかかるとされ、傾きを支えられずに折れたとみられる。
土壌が薄い石段脇の斜面に立っていたことも影響したらしい。
浜野教授は「根元の状態から回復は不可能」とのコメントを出した。

毎日jpより

大イチョウの再生スタート

「根元の状態から 回復は不可能」と判断された大イチョウでしたが、
鶴岡八幡宮関係者の「あらゆる手を尽くして再生させる」という強い決心と、全国から励ましの声を受け、大イチョウを再生への挑戦が始まりました。

2つの再生プラン

プランAは、
地中に残った根から生えてくる「ヒコバエ」を育てる方法。
プランBは、
倒れた大イチョウの幹を、根元から高さ4mまでを輪切りにして、別な場所に据え、その輪切りの幹からの「ヒコバエ」を育てる方法でした。

プランAについては、根の生命力に再生を託し、倒れて断面が露わになってしまった根に殺菌処理するなどの手を尽くしました。
一方、プランBでは、輪切りにした幹が、重さが17トンもあったそうですが、養分を吸い上げる樹皮を傷つけないよう慎重にクレーンで移設し、うまく根付くよう、地面にパイプを入れて水分を管理したそうです。

※「プランA」「プランB」は 私が勝手に呼んでるだけです。

13年間の歩み

我が家は、毎年 正月2日に鶴岡八幡宮に行き、大イチョウを横目に石段を登り、初詣するのが恒例になっていました。

まさか、大イチョウが倒れるなど、夢にも思っていなかったので、
それまでは敢えて写真を撮ることはなかったのですが、
倒れてからは初詣の度に(時々忘れましたが)写真に収めてきましたので、ちょっと振り返ってみます。

倒木翌年(2011年)

倒木から約1年後

左側がプランA、右側がプランB

残った根(プランA)から、たくさんの「ヒコバエ」が伸びてきており、とてもうれしかったのを覚えています。

輪切りにして土の上に置いた「根の無い幹」(プランB)からも、「ヒコバエ」が伸び、生命力に感動しました。

2011年:輪切りにした幹からの「ヒコバエ」

2年後(2012年)

輪切りにした根の無い幹ですが、ひょっとして根付いたのか?と思わせるような風格を漂わせていました。
その存在感に魅せられたせいか、プランAは写真を撮り忘れてまいました。

2012年 プランB  

4年後(2014年)

1年跳んで、4年後
プランAの根っこから出たヒコバエは、もう立派な木です。
目視4mくらいまで伸び、若武者の様な元気を感じました。
一方、輪切りの幹は、頭頂部のヒコバエが姿を消し、気のせいか、以前のオーラが感じられませんでした。

2014年

5年後(2015年)

プランAの若木は、目視5mくらいまで成長
枝も広がってきて、遠景でも存在感が出てきました。

2015年

7年後(2017年)

また1年跳んで 7年後
若木は、横の石段を登る人の背丈の3~4倍に見えますから、6~7mはあると思われます。
親バカみたいですが、イケメン(ベッピンさん?)な樹形になってきました。

輪切りの幹は、裾周りから ヒコバエは伸びているものの、だんだんオブジェ化してきた感じです。

2017年
2017年

8年後(2018年)

樹高はもちろんですが、分枝が進んできました。
幹も、直径10センチは超えているようです。
毎年1月2日ばかりなので、想像ですが、葉のついている頃は、一人前のイチョウの姿になっているかもしれません。

2018年
2018年

9年後(2019年)

分枝がさらに進み、堂々とした樹形になってきました。
そろそろ、二代目襲名してもいいかもしれません。

2019年
2019年
2019年

10年後(2020年)

幹が太くなり、ちょっと貫禄がついてきた気がします。

2020年

11年後(2021年)

コロナの影響で、参拝客が少なくちょっと寂しい初詣でしたが、もう立派な一人前のイチョウです!

2021年
2021年 狛犬も八幡宮のお印のついたマスク着用
2021年

12年後(2022年)

堂々の2代目です!!

2022年
2022年 相変わらずマスク着用

13年後(2023年)

狛犬のマスクも取れた2023年。

よく見ると、樹芯(樹の頭頂部)より、上の方の脇枝の方が伸びてきました。
イチョウの自然樹形は卵型(神宮外苑の尖ったイチョウは剪定して整えています)ですから、だんだん卵型になっていくのかもしれません。

そして、下の枝が石段に掛かってきました。
地中に残った根からのヒコバエをそのまま育てたという事情はあるものの、最初から「石段に近すぎじゃないかな?」と思っていました。
今後は、せっかくのきれいな樹形なのに、石段に掛かった枝の剪定が必要になりそうで、それが心配です。

2023年
2023年
2023年


13年に亘り、初詣の時に撮った写真をもとに、八幡宮のイチョウ二代目の成長を振り返ってみました。

突然、倒木したときは、何とも言えぬ悲しさと寂しさがありましたが、毎年、初詣の時に たくましく復活していく姿を見せてもらうことで、大きな元気をもらっています。
関係者の皆さまも本当にありがとうございます。

これからも、見守っていきたいと思います。


最後まで、ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?