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最悪に苦い筋書きを砂糖づけにしたチョコアイドル

久しぶりの投稿になります
まず結論から
【砂糖づけ・ビターエンド】のコミュが最高でした
なので園田智代子について語らせていただきます

まっさらな気持ちで神コミュを読みたい人はここでブラウザバックして下さい

※本稿は【砂糖づけ・ビターエンド】を含む、園田智代子のプロデュースコミュに関するネタバレがたくさんあります


[チョコアイドル]園田智代子について

【砂糖づけ・ビターエンド】について語る前に、今一度園田智代子という人間を再認識していこう

クラスに一人はいるごく普通の女の子。明るく親しみやすい性格で、甘いものが大好き。名前にちなんで、チョコ好きアイドルを売りにしている。高校2年生。
(シャニマス公式サイトより引用)

園田智代子とは放課後クライマックスガールズのピンク色担当であり、名前にちなんだチョコアイドルという武器でアイドル業界を生き抜いていく女子高生だ(クラスに一人はいるらしい)

アイドル園田智代子の最大の強みはなんといってもチョコアイドルという個性!!
   ……ではなく自らの武器を最大限磨き上げるその分析力にあります

GRADで数多く描写されたように、智代子は仕事の評価が現れた時、その良し悪しに関わらず評価の要因を分析し、改善するための研究を常日頃行なっています(しかもやって当たり前だと思っているから恐ろしい)

GRAD予選負け直後のコミュ


チョコアイドルという個性はそんな彼女がアイドル人生をかけて磨き上げた最も大きな武器
愛嬌があり親しみやすく、自己分析に長けていて芯が強い。これがアイドル園田智代子の強さの正体です

WING→感謝祭→GRAD→LPと時は流れていき、彼女はアイドルとして、1人の人間としてどんどん強度を増していきました
もう何があっても俯かない、最強のチョコアイドル
それが私の園田智代子に対する認識でした



園田智代子と"代役"


園田智代子を語る上で欠かせないキーワード"代役"

まずそもそもとして、彼女は自ら望んで羽ばたき出したアイドルではありません

【紅蘭偉魔空珠に挑め!】
コミュ2「応えないのは嘘になるでしょ?」

羽ばたきたかったのは彼女の友人、あすみちゃん

アイドルになりたかった彼女はオーディションに応募し、智代子はその付き添いとして見守っていました
しかしあすみちゃんはオーディション直前で、不安でいっぱいになり出場を辞退したいと言い出します

しかもオーディションにはグループワークのような内容があり、自分が辞退すると他の人に迷惑がかかってしまうと余計パニックに

【かきまぜたら*ミルク】
コミュ2「バイバイ、そしてはじめまして」

 そこで智代子は、目の前でパニックになる彼女を助けるべく、代役としてオーディションに出場することを決めます

すると智代子はそのまま合格、託された夢のみを背負って283プロで活動を始めました

『私じゃ無理になっちゃった夢を叶えてほしい』

智代子にとって"代役"とは単に代わりになるというだけの言葉ではありません
あすみちゃんがアイドルを代わってもらったことに罪悪感があったと知った時も


託された想いや期待を全部背負って力強く羽ばたき、ハッピーエンドに導いてあげる、それが彼女にとっての"代役"でした



1.息を合わせたらせーのでスタート

ある日、夜中デスクワーク中のプロデューサーに一本の仕事依頼が舞い込みます

内容を確認したプロデューサーはすぐさま智代子へ電話をかけました

その依頼内容とは

『とある舞台の再公演にあたり、森の少女役の女優が怪我をして出演できなくなってしまった。代役として智代子に森の少女役を演じてもらいたい。』

というもの
しかもその女優にはファンも多く、比較されることは避けられないだろうという状況らしい

1人だけ途中参加、アイドルが舞台女優の代役、根強い前女優ファンの存在、どれをとってもアウェーであることは明白でした

しかし、彼女は狼狽えない

そしてまた、狼狽えないことを知っているプロデューサー

様々なリスクや負担が待っていることを知った上で、彼女はこの筋書きに乗っかることを決めました
流石のハングリー精神


そして翌朝
2人は顔を見て同時に話しかけます

シャニPにボイスが!?(違う)

やはり研究と分析に余念のない智代子に対し

流石はプロデューサー、智代子の持ち味とやり方を理解して万全のサポート体制をとります

ここら辺で描写されたプロデューサーと智代子に結ばれた信頼関係があまりにも好き
自分がすごいわけじゃなくて普段から向上する姿勢を見せてくれる智代子がすごい、というプロデューサー
今回のプロデューサーはとにかく言葉にして褒めてくれます


2.残さず たいらげます

現場入りをした智代子は、その日のうちから読み合わせに励みました


今までの森の少女を壊さないように過去映像から入念に分析をし、指摘をされたら即座に修正。

持ち前の明るさと芯の強さから、早速現場に馴染んでいきます
まさに順調といった滑り出しを見せる智代子

しかし、インターネットはまた別の話

心ないインターネット……ではありません

彼らは特定の人間を攻撃する意図や感情のないまま、ただ落胆しているだけ
敵ではなく、この騒動における被害者側に近い人たち
それでもこれらの書き込みは、智代子にとっては激しく傷ついてもおかしくないものでした


帰りの車で、プロデューサーは智代子を気遣います

私はこの選択肢が好きです

おそらくSNSの反応を知っている智代子
それでも彼女は強靭な善の心で観客を想う

彼女は自らの影響力をもって、観客の反応を、情動を、未来を変えるつもりだという
元森の少女の女優の代役として出る以上、観客に笑顔になってもらう
自分のせいでがっかりさせたくないという決意がありました

ガシャ登場時のこの一言に込められた覚悟


3.一番


場面は変わり、舞台公演前の記者会見
コメントでも、質疑応答でも覚悟の見えるしっかりした回答をしていきます

観客を不安にさせないように自信を持って、しかし驕らずに謙虚な受け答えを続けます
しかしここで強い苦味が彼女を襲う

「第三弾公演に園田さんのお名前がないことについて、どのようなお気持ちですか?」


どのようなお気持ちもクソもない、どう答えたって角が立つような意地の悪い質問をしてくる記者
この徳次郎も顔負けの極悪記者は「代役として使い捨てられる気分はどうですか?」と聞いてきているのだ

シャニマス世界に珍しい剥き出しの悪意を向けられます
司会の静止も振り切って答えをせがむ記者、ここで答えなければ「逃げた」と捉えられるような状況まで作り上げ、智代子を追い込みます

それでも彼女はしなやかに、したたかに

答えようのない質問は華麗に交わす、そんな彼女に食い下がり追撃を加える記者

代役とはいえ自分の出番が無くなることについて聞いてくるも、智代子は即答

善意の理論武装で彼女は「この会見に最初から悪意なんてなかった」かのようなオチをつけます

彼女は見事、苦味の含まれた記者会見を甘く塗り替えていきました

その日の帰り道、プロデューサーは智代子に話しかけます

言葉にしてちゃんと伝えてくれるプロデューサーが好きだ…

それを聞いた智代子はこう語ります

本当に智代子の強さを、賢さを、魅力を感じる独白

1個人には能力の限界があります
ひたむきに、誠実に、行けるとこまで前進した人間はほとんどの場合自らの限界に気づき、夢を諦め挫折を経験して"大多数"の1人として社会に吸収されていきます

樋口円香WING共通コミュ
【心臓を握る】

自己分析と挑戦を繰り返してきた彼女は、誰よりも自分のことを理解し、"身の程"という現実がはっきり見えていました

特技や才能に恵まれていたら、チョコアイドルという個性を作り出す必要もなかった
何か特別な過去を持っていたり、生まれつき人を惹きつけるオーラがあれば個性について迷走することもなかった

園田智代子は偽りなく『ごく普通の女の子』でした

1番になれない現実を知ってしまったら、挑戦の意義も意欲もどんどん削がれていく
「どうせやったって…」と諦めてしまうことは恥ずかしいことではなく、むしろそうなるのが自然とも言えるでしょう

でも、と彼女は続ける

ああ、そうだった

1番の何かになる必要なんてない、誰かの1番になるのがアイドル・園田智代子であると彼女は笑顔で語ります

Landing Pointコミュ
「最初からおまじないだったよ」


強い信念と鋼のメンタルを目の当たりにしたファン1号
大好きなアイドルに言葉で返します

彼女はそのひたむきな努力と分析力、信念を持ってして【森の少女降板騒動】をハッピーエンドまで導いていきます
元森の少女よりも特別かわいいわけじゃない、演技が上手いわけじゃない、表現できるわけじゃない
それでも彼女は観客を決してがっかりさせないために歩み続けます

チョコアイドルはチャンスと責任を一身に背負い羽ばたきを続けます

思い返せば当然でした
智代子はワンマンライブのMCで堂々と

こういうことが言える、強い人でした
そしていつでも彼女はこう続けます

彼女はアイドルとして、ファンの前に立ち続ける限りは特別になれる
そうしてファンに特別な時間を送り返す
園田智代子はオンリーワンの存在になれる
それが彼女がアイドルでいる理由、チョコアイドルとして羽ばたく意味でした


では、舞台女優の代役としてはどうだろうか

過去のカードにてプロデューサーは、智代子は自身が代役アイドルであることに対し、無意識に遠慮していたことをこう表現していました
【かきまぜたら*ミルク】
コミュ1「夢と憧れを追いかけていた」

4.踏み切る、足りない100%

場面はすでに公演終了
万雷の拍手に包まれながら幕は閉じていきます

公演後のアンケート、SNSでは話題となった代役アイドルへの評価が数多く見られました

代役騒動の初期からは考えられないほどの高評価、これもチョコアイドルが観客を魅了したからこそ生まれた結果でした
彼女の行動は、ファンの心を確かに動かしていたのです
それでも___

公演後、誰もいない舞台上で1人佇むMVPにプロデューサーがやってきます

今までたくさん自己分析をした、たくさん反省してきた、その度に改善した
そんな彼女は気づいてしまった
今回の公演に失敗も反省点も無かった。100%を出し切れた
いわば今までの集大成、アイドル園田智代子による全身全霊のパフォーマンスの最高点

彼女は持てる全ての力を振り絞り、森の少女代役騒動という筋書きを見事砂糖づけにしてみせたのです

しかし、それでもまだビター
現状の自分ではこの筋書きをハッピーエンドにすることは不可能だった

彼女の感情が心を溢れ出します

代役騒動で沈んだ心のまま会いに来てくれたお客さんをみんな笑顔に変えて、愛を届けて
いっぱい分析して、どうすれば満足してもらえるかを工夫して
役を託した元森の少女にも笑ってもらえるような、そんな筋書き
唯一足りなかったのは技術
最後の最後に『ごく普通の女の子』では掬いきれなかった領域が彼女に立ち塞がったのです



プロデューサーは、智代子に一つのリクエストを送ります

今ここで悔しい思いをした分、彼女はより一層強くなれる
そんなファンの期待を裏切らないのがチョコアイドル・園田智代子
彼女がファンに見せる笑顔は明るくて、素朴で、悩みも心配事もまるで無いようなキラキラした輝きを見せてくれます

他の演者も音響もない、ただの静まり返ったステージ

そこには代役じゃない、前の女優が作った森の少女でもない、本物の森の少女がいました

極限まで分析して努力を重ねた"ごく普通"が"特別"に届いた瞬間でした

確かに元々の森の少女を求めていた人の心には一歩及ばなかった、智代子の森の少女
でも

彼女はこの公演で多くのものを得た
懸命に努力を重ねて、多くの人々に感動を届けることができた
誰かに一番好きって言ってもらえる女の子にもなれた
苦い味だけじゃない、充分甘い味だった
そのことも決して忘れないでほしいとプロデューサーは言います


TrueEND.スポットライトが呼ぶ

忙しかった仕事もひと段落、智代子とプロデューサーはいつもの日常に戻ります
なにやら智代子が重い荷物を抱えて事務所にやってきました

なんと沢山の果物を事務所へのお土産に
リアル森の少女はプロデューサーと一緒に冷蔵庫へしまいながら、なんでもない会話を重ねていきます

いっぱい食べるきみが好き

お互いの善意を尊重しながらも窮屈じゃない、そんな智代子とプロデューサーの関係性がとても素敵

こういった智代子の機転の良さ、善意のしたたかさみたいなものはプロデューサーを動かすのに最も効果的に感じられますね
というか超かわいいじゃんなにこれ

いつも通りの園田智代子を見て、プロデューサーはあらためて言葉を漏らします
ビターエンドの向こう側、True ENDではいつも通りの日常を過ごす園田智代子とプロデューサーが描かれていました
隠れた多くの努力と葛藤の上にチョコアイドルは今日も笑顔を届けていました







最後に

長々と読んでいただいてありがとうございました

自分の語彙力と言語化能力をここまで呪ったのは初めてです
だってこんなに素晴らしいコミュなのに魅力が一切言葉として出てこないんですよ

本稿を読む前よりほんの少しでも園田智代子を好きになっていただけたら何よりです

ところでガシャ画面のこの一言台詞
「会えたら、いいんですけど」ってどういう解釈が正解なんですかね

・代役の完成度を高めるため「元森の少女役だった女優」に直接会ってお話ししたかった(個人的有力)
・本物に近づくためフィクションの住人である「森の少女」本人と会ってお話ししたかった
・落ち込んでいた演劇ファンに直接会って励ましてあげたかった
・単純に「森の少女役」のセリフの一つ

これだ!!っていう解釈がありましたら是非コメントなどで教えていただけると助かります


追記

砂糖づけって言葉にもう一つ意味がありました

conserve 【動詞】 保存[維持]する; 砂糖づけにする

ということはビターエンドだった思い出を全部忘れないという意味の砂糖づけでもあるってこと!?

どこまで深いんだこのシナリオ

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