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ミューコミプラス「変態音響監督コーナー」盛衰史と今後の展望

【はじめに】
この記事では、2010年に放送が開始されたラジオ番組「ミューコミプラス(旧・ミュ~コミ+プラス)」の人気コーナー(だった)「声優プラス」について、数値データによる「盛衰史」を振り返り、“古参リスナー”として、一言申したい! というものです。

1.「ミューコミプラス」という番組について

まず「ミューコミプラス」という番組について、ざっくりと説明をしますと

2010年1月4日からAMラジオ局ニッポン放送で平日深夜帯番組として放送されているラジオ番組です。

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MCは、サブカル界隈での活動も精力的な「吉田尚記(よしだ・ひさのり)アナウンサー」で、2019年度からは、バーチャルMC「一翔剣いっしょう・けん)」を名乗っています。

2.「声優プラス(変態音響監督)」について

帯番組ということで、曜日毎に、取り上げるジャンルやアシスタントが違ったりしている「ミューコミプラス」ですが、その中でも番組を大きく盛り上げてきたのが、木曜日(日付変わって金曜0時~)の「声優プラス」です。

原則木曜日、「声優」をゲストに迎えるというコーナーなのですが、週1回のペースで、アニソン歌手などを含めず声優に特化し、トーク等だけでなく本業である所の演技にもフィーチャーしている点で、他と一線を画しているコーナーだという風に感じています。

イメージを沸かせるため、数少ない「声優さんが顔出して演技している回」のリンクを貼ります。2019年9月12日の茅原実里さん回。(28:45~)

「声優プラス」の『変態音響監督』のコーナーは、アニメ・アイドル・声優オタクである吉田尚記(→一翔剣)アナが、リスナーからTwitterなどで寄せられたセリフを、音響監督ばりのディレクションで演じてもらうものです。

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仕事でやるプロの音響監督と異なり、オタクが、趣味と自分の欲望を丸出しで細かくディレクションをするため、『変態』の2文字が冠されています。

3.「テキスト生放送」について

その声優さんに読んでもらうセリフは、この番組の代名詞でもある「Twitterテキスト生放送」によって募られます。

今でこそ、多くのラジオ番組が、自分のハッシュタグを設定して、テーマ等を募集していますが、この番組は(前身企画からですが、)2010年には完全に使いこなして、リスナーからの「セリフ」をTwitter等で募集してました。

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それがどの程度の人気(だった)のか。Wikipediaにこんな記述があります。(これは生放送中のツイート数に関するものですが)

木曜日の声優プラス実施時には平均8000ツイートがやり取りされ、スペシャルウィーク時には、10000を越えるツイートがやり取りされる。過去最高ツイート数として、2011年5月12日テキスト生放送分に28000ツイート以上を記録している。

ここにある2011年5月12日の放送回は、人気声優ユニット「スフィア」4人が揃って登場した回。1時間足らずの番組で、2万8千ツイートですから、1分あたり500近く、1秒平均10ツイートが寄せられていた計算です。

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関東地方ローカルだった番組が、これだけのツイートを誇ったのは、やはり『ミューコミプラス』という番組の「変態音響監督」コーナーが、どれだけリスナーに楽しまれていたかを表すデータの一つかと思います。

4.どっちが先か分からないがコーナーの縮小

しかし、徐々にその勢いが衰えていっています。特に、「変態音響監督」のコーナーの冷遇(?)がここ数年加速し、体感では「全盛期の半分」程度にまで(事実上)コーナーが縮小されてしまっている気がするのです。

・コーナーの人気が落ちたから → 縮小された  のか、
・コーナーが縮小されたから → 人気が落ちた  のか、

個人的には、「卵が先か鶏が先か」の議論になるので、結論は正直わかりませんが、「声優プラス」の地位低下を強く感じる次第です。

ひとまずオンエアに乗る部分のデータから、その実態を紐解いて行きます。

(例) スフィア4人登場回

1つ目の例としてご紹介したいのは、番組最高ツイート数を叩き出した、「スフィア全員登場」回です。

声優ユニットの代表格 的な活躍を続けるミュージックレインの「スフィア」ですが、番組の前身にあたる「ミューコミ」や「YAGアニメラボ」といった吉田アナの担当番組からの縁があり、番組にも何度も登場しています。

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※ひとまず、除外したものを先に掲示しておきますと、こちら。

※12/03/12 09分 04個 代打 変態音響監督:水島精二
2012/08/30 -分 5+個 ※詳細不明
2015/02/12 11分 08個 代打 変態音響監督:豊崎愛生
2019/08/22 -分 04個 2000回記念 ジングル扱いで

そして、次の表は「放送日」「コーナー時間」「セリフ数」を列挙したものです。数や時間は目安と捉えて頂ければと思いますが……

2010/12/13 19分 11個 クリスマス・SPウィーク
2011/05/12 22分 16個(自由演技4個含む)番組前約4,000ツイート
2012/07/12 15分 10個
2013/05/02 14分 07個
2014/05/15 19分 13個 最後は4セリフを合体
2015/07/09 19分 09個
2016/11/17 18分 12個 最後は4セリフを合体
2017/02/02 17分 11個  〃
2017/11/02 12分 07個 ここからトーク先 ※吉田アナ告白話を含む
2020/11/25 15分 05個 (アニマックス1個を含まず)

5.各数値のデータ分析

2016年度ぐらいまでは、大体10個ぐらいのセリフが読まれてきました。これは、「メンバー4人×2セリフ+複数or全体2セリフ」程度を20分弱かけて紹介していくというものです。

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2017年度は頑張って12分と短い中でセリフ7個を紹介していますが、2020年の寿さんリモート参加回に至っては、全体で15分もあるのに、セリフは6個(しかもそのうち1つはスポンサーのアニマックスさんからの投稿なので、リスナーからの枠は実質5個のみ)にまで半減してしまったのです。

従 来 4人×2セリフ + 複数or全体2セリフ = 約10個
 ↓       ↓           
↓        
直 近 4人×1セリフ + 複数or全体1セリフ = 約5個

といったイメージです。メンバーのうち誰か1人のファンの視聴者にとっては、読まれても1~2個では『消化不良』感がどうしても否めません。

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さらに、2017年度あたりから「トークを前半に、セリフコーナーを後半に」据えるタイムスケジュール変更があった頃から、コーナーの時間が徐々に短くなっていってしまいました。(放送枠が決まっているから、後ろに伸ばせず、読み足りなくても物理的に延長が不可能になってしまった訳です。)

・声優さんの近況や人となりを深堀りしたい
・販促したいCDなどの情報をもっとインタビューしたい

といった意図が作用したものと思います。ひょっとすると、セリフコーナーが、一般視聴者に評判が悪くて聴取率が下がるとかそういった目に見えない部分があっての構成の判断かも知れません。

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2020年8月からは、ANIMAXのサポーターズプラスにコーナーが“吸収合併”をされてしまったことで、更に時間的な制約が強まると共に、時間にして2枠分ぐらいスポンサーさんの宣伝セリフ枠の消化に費やされる流れが固定化。

もちろん、スポンサーが付いて番組運営上は安定するのは分かるのですが、それでコーナーの、引いては番組の魅力が減ってしまっては、正直あんまり喜べないなぁ、と感じてしまいます。

6.サポーターズプラスになってからのセリフ数

次の表は「サポーターズプラス」となってからの『変態音響監督』コーナーでのセリフ採用数です。(ANIMAXさんからのセリフは除いてあります。)

2020/08 7 3 5 4
2020/09 3 7 5 4
2020/10 4 5 6 6 5
2020/11 5 5 4 5
2020/12 4 5 休 休

2020年8月から12月までの19回の「木曜日」声優コーナーで読まれたセリフの数は平均5個(サポーターズプラスを含めても6個)です。
回によっては10分以上尺があるはずなのに、読まれるセリフがたった3個ということもありました。

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コーナー開始当初では、平均(少なくとも体感)8個ぐらい読まれていたことを思うと、こちらも「3分の2」位にまで減っているのが分かります。

ひょっとすると、セリフ投稿数が減っているから『採用率』が上がっているのかも知れませんが……、声優さんのセリフを楽しみにしている視聴者からすると、『消化不良』感が常に払拭されず、本音を言うと、

『1時間もセリフを募集しといてる割に、読まれるのはたった3個かい!』とツッコミを入れたくなってしまいます。

今でも百単位ではセリフが来てて、数十のセリフが「いいね!」されます。よっぴーの選ぶセリフの数は昔とそこまで変わっていません。それなのに、実際の放送で採用されるセリフの数が減ってます。そのため、篩(ふるい)の掛かり方に不均衡さが出てきてしまっているように感じるのでしょう。

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数千セリフ投稿 → よっぴーが数十に厳選 → 8個採用
  ↓          (イコール)     ↓(難化?)
数百セリフ投稿 → よっぴーが数十に厳選 → 5個採用

「良いセリフは一杯候補があるのに、放送で読まれる数が少ないなぁ」と、ついつい感じてしまうのは、結局、放送枠での時間の使い方が変わってしまった(誤解を恐れずに言えば、「下手」になった)ことが原因の一つに感じます。

もともと投稿されるセリフの数が減り、コーナーに割かれる時間が短くなり始めていた中で、放送で読まれる数が減ったことで、更に「変態音響監督」のコーナーとしての勢いが弱まってしまったように感じます。

7.今後の展望について

では、今後、「変態音響監督」のコーナーはどうなるのか。

(1) 従来の水準に戻る(セリフ数の増加)
(2) 現状維持で定着 (セリフ数変わらず)
(3) さらなる縮小化 (不定期コーナー化など含む)
(4) コーナー消滅  (絶対に無いとは言えない状況に)
(5) 番組消滅    (……は無いと思いたいが、同上)

半分以下の方は悲しいのでとりあえず考えないことにしても、2020年代前半のうちに可能性としては捨てきれないと思います。
(昔の圧倒的な勢いがかなり削がれてしまっている現在においてはです。)

おそらく(2)が本命路線なのでしょうね。セリフ数が増加する未来は現状見通せません。よっぴーは別にしても、スタッフ陣が「変態音響監督」を、もっと盛り上げよう! という意欲に乏しく感じるからです。
多少スタッフ内でもマンネリ化が進んでいるためか、「事務的」で、新鮮味に欠けてしまっている部分がある様に感じます。まあ、私のようなリスナーもそれの一因になってしまっている面があるので、要反省ですがww

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スポンサーコーナーである「サポーターズプラス」は、番組の後半と、番組当初から決まっているため、現状の仕組みの中では、『コーナーの時間帯を番組冒頭に戻す』というのは困難です。(一番手っ取り早いのですがね。)

また、番組の後半で時間を伸ばすにしても、前半のトークパートが盛り上がってしまえば、後ろに追いやられて時間が足りなくなる構成が解消されない以上は、根本的な解決策とはならないでしょう。

となれば悲しいけれども、現状を受け入れ「多くて5セリフ程度」の中で、声優さんの数少ない演技で満足をするしかありません。

そのために、番組への参加を続けるならば、我(々)リスナーの出来ることは何か。番組を盛り上げる「セリフ」の投稿に徹することでしょう。

セリフ数が少なくともそのセリフの質が高ければそれなりの充足感があり、「良回」だったという楽しい印象が残ることになります。それを目指して行くしか他にないと思った次第です。

【おわりに】1万近いセリフをどう活用していくか

この記事の最後に、以前からやりたかったものの出来ていなかった取組みを一つ「アイディア」としてご紹介します。

『ミューコミプラス』×『歳時記』という試みです。

ここ数年、私が「俳句」にハマった際に、『ミューコミプラス』のセリフを考えるのと一部重複する部分があるな、と感じていました。その中の一つに「季節感」をセリフに詠み込むという物があり、うまいこと編集できれば、『セリフ歳時記』のようなものが出来るのではないかと考えています。

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例えば、「雪」や「夏休み」だけでなく「バレンタインデー」や「桜の帰り道」などなど。ありがちなシチュエーションと参考にしたいセリフを、例句みたく載せる『季語(?)の辞書』みたいな感じで参考にするのです。

過去の1万近いセリフの蓄積から、うまくエッセンスを抽出できたらなって考える様になりました。その企画が実現した際にはぜひご活用下さい。

では長文の愚痴(?)にお付き合い頂きありがとうございました。また、次の記事でお会いしましょう、ではまたっ!

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