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震源地別(奄美大島北西沖)地震まとめ
【はじめに】
2020年6月14日、奄美大島北西沖で(速報値)M6.3の深発地震が発生して、最大震度4を観測しました。
今回は、「奄美大島北西沖」という海域で起きた地震の、過去の発生状況を振り返っていきたいと思います。
浅い地震(?) 4例
気象庁の「震度データベース」で、『震央:奄美大島北西沖』『M6以上』で抽出すると、2020年6月のを含め、約100年で「12例」ヒットします。
このうち4例(1984・1995・1999・2003年)は最大震度が1~2であり、揺れを観測した地点が少ないことからか、震源の深さが0~1km(0に関しては算出不能相当?)という値で収録されています。
1984/05/27 1km M6.1 ① 微
1995/08/17 1km M6.0 ① 微
1999/03/24 0km M6.1 ② 軽
2003/09/28 0km M6.0 ② 微
2003年の事例では「天城町平土野(旧)*」で震度2、「奄美市名瀬港町」で震度1を観測していますが、その他の事例では気象官署「名瀬」が、最大震度の観測点となっています。
その他の事例では「名瀬」以外でも有感(震度1以上)となっていますし、本州でも有感になることも多いことを加味すれば、恐らくこれらの4例は、深さ100kmよりも深いところで起きた地震と特徴を異にする地震でしょう。
深い地震 ~昭和編~ 5例
(注)1938年の事例は、気象庁の観測では「深さ0km」となっていますが、震度分布から『深い地震だったであろう』と勝手に想定して、こちらの項目「深い地震」に含めた形で説明していきます。
過去の実績からすると「奄美大島北西沖」を震央とするM6以上の地震は、多くが深さ100~200km台で、琉球海溝の北西側に位置する「沖縄トラフ」での(やや)深い地震です。
(注)慣例からすると、これぐらいの深さの地震を、「稍深発地震」として深さ300km以深とかの「深発地震」と区別することも多いようですが、ここでは相対的に分かりやすく「深い地震」と曖昧な表記を取ります。
震度計による観測となる前、昭和時代に起きた例は5例。
1938・1952・1953・1965・1981年という分布となります。
1938/04/23 M6.0 弱 弱 鹿児島②
1952/03/13 M6.1 弱 微 高知② 他
1953/12/01 M6.5 弱 軽 微 日南①
1965/09/21 M6.2 弱 微 弱 那覇③、宮崎・日南①
1981/01/03 M6.6 中 微 弱 久米島③、伊豆大島② 他
《 気象官署・左から 》
・奄美市名瀬港町(奄美大島)
・屋久島町小瀬田(屋久島)
・和泊町国頭(沖永良部島)
これら5例は、すべて本土でも震度1以上を観測しています。
1981年の事例での「伊豆大島」での震度2は、『本当ぉ?』と、正直、疑いたくなってしまいますがww
その他は、沖縄から九州の太平洋側、そして遠くは四国地方など、琉球海溝から南海トラフに沿って分布しています。これは、俗に『異常震域』と呼ばれる現象の特徴かと思います(関東・東北の太平洋側で揺れる事例に似る)
深い地震 ~平成・令和編~ 3例
平成から令和にかけての事例は、1998・2019・2020年の3例。
1998/10/13 M6.1 弱 微 沖縄・国頭村奥③ 他
2019/07/13 M6.0 弱 微 微 倉敷市児島小川町② 他
2020/06/14 M6.3 弱 微 弱 瀬戸内町請島・喜界町滝川④ 他
《 気象官署・左から 》
・奄美市名瀬港町(奄美大島)
・屋久島町小瀬田(屋久島)
・和泊町国頭(沖永良部島)
1998年の地震では、これまでの事例と異なり、
九州では有感地点がなく、沖縄・奄美地方のみが有感でした。
一方、昨年2019年の地震では、中国地方でも揺れが感じられ、
倉敷市で震度2、鳥取県内で1を観測する特徴がありました。
そして今回(2020/6/14)発生した地震の特徴を纏めます。
(1)M6.3(速報値)は1981年以来39年ぶり
2020/06/14 M6.3(速報値)
1981/01/03 M6.6
1953/12/01 M6.5
ここまで紹介してきた地震も、大半はM6.0~6.2でした。
M6.3以上(この区切りに意味があるかは別にして)
となると、1981年以来39年ぶりで、観測史上3例目。
数十年に1回という規模だったと言えます。
(2)「名瀬」以外で最大震度を観測
震度4 瀬戸内町請島* 喜界町滝川
震度3 奄美市名瀬港町
これまでの事例では殆ど名瀬測候所(奄美市名瀬港町)
で最大震度を観測してきましたが、今回(初めて)
それ以外の地点で最大震度を観測しました。
(3)佐賀県でも有感(震度1)を観測
佐賀県 震度1 神埼市千代田* 白石町有明*
これまでの事例では登場してこなかった佐賀県。
南海トラフからはかなり離れていますが、今回、
震度1を2つの地点で観測しました。
※ただ、どちらも気象庁以外の震度観測点なので、
昭和以前との単純比較は困難。特に昭和時代にも
震度計があれば震度1以上だった可能性は有り。
おわりに
これまで、今のところは、大地震は発生していませんし、大きな揺れを伴う浅い地震も起きていません。
しかし、深ければ四国・九州地方でも有感になりますし、浅ければ奄美大島などに近いこともあり、決して油断してはならない海域だと思います。
「どれほど珍しい地震なのか」を把握することで、起きた地震の特徴を把握していく記事を今後も書いていく予定です。
ではまた次の記事でお会いしましょう。
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