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ラジオ「夏井いつきの一句一遊」20年記念(その2)~お祝いメッセージ紹介~

【はじめに】

この記事では、2020年7月10日に公開された、『「夏井いつきの一句一遊」放送開始20年目のお祝いメッセージ【ひろみの部屋】』という動画を紹介していきます。

平日(月~金曜)に10分帯番組として放送している『一句一遊』は、俳句を紹介する番組なので、殆ど番組宛のお便りを読むことが出来ません。そこで番組ディレクターである「やのひろみ」さんのYouTubeチャンネルで、番組宛のお祝いメッセージを紹介しよう!という運びになったんだそうです。

( 注 )
全部で1時間以上ある番組(実質的には1時間特番)なので、全てを記事にするのはとても無理ですww 強く心に残った印象的な部分に限って、記事を進行させてもらいたいと思います。

また、普段ですと、一般リスナーの投稿番組ということもあって、句を紹介することは避けるのですが、記事を書く上で、紹介したいと思った作品に関しては、(ご本人の許可を得ていない状態ではありますが、)引用させてもらうことにします、ご了承下さい。

1.何週前に採用されたかを正人がチェックしてる!

アシスタントを務めるウェンズデー正人さんが、『何週前に採用されたか』をリスナー別にチェックしているという趣旨の発言がありました。 [06:15]

投句者の“実感”としては何となくあったのですが、それが公式に明言されたのは恐らく初めてに近いのではないかと思います。
だから、採用頻度が減ってしまった中でも、ちゃんと把握しているんだ、と諦めずに投句しようと思えるようになりました。

2.やのひろみさんの覚えてる(初期の)『天』の句

番組の完パケを納品している(編集している)【やのひろみ】さん。俳人ではないから詳しくは分からない…と謙遜していますが、初期の句を中心に、幾つか印象に残った天の句を暗誦しています。

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・(2004/02)裸木はみんな祈っているのです/漫歩
・(2001/09)新しき石鹸運動会前夜/有馬まりあ

など、十数年前の作品であっても、強く記憶に残る作品を詠めるのは、俳人として光栄なことだろうなぁ、と感じました。

3.ラジオ『一句一遊』が生活の一部

ラジオが生活の一部になっている、というのは、ラジオ人としても嬉しいでしょう。そうしたリスナーの声が大きく聞かれたのが『一句一遊』でした。

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YouTubeなどの『好きなタイミングで視聴できるコンテンツ』に加え、radikoプレミアムなど『時間を問わずラジオを聞ける機能』がすっかり定着した現代において、『曜日感覚や時間感覚』という意味合いで生活の一部になっているコンテンツはやはり強いな、と感じました。

4.聞き書き隊の皆さんに感謝!(Rx:名前だけ採用)

以前は、電波が届かなければ、それ即ち「ラジオが聞けない」ということを意味していましたから、『聞き書き隊』が文字で記録を残してきた掲示板の存在が歴史を知る上で極めて大きな存在だと思います。 ↓

という話題を20年目突入に合わせてメールをお送りしたら、何とびっくり、この動画の「18分」あたりで(名前だけではありますが)紹介されました!

YouTubeで私の名前が出るのはほぼ初めてなので驚いてしまいましたよww
(このことを残したいがために、この記事書いてる説さえあるレベル)

『聞き書き隊とは違う時代、新しい時代の仲間、Rxですね。』と、比較的、新しいリスナーであることを含めて、夏井組長に覚えていただけていることに最大限の喜びと感謝を申し上げる次第です。

そして世界から聞き書き隊を通じての参加、色んな家族・お子さん達の参加を紹介する中で、心に残った俳句を2句ご紹介します。

夏井組長に成り代わっての一句
・あの子今となりて眩し二重虹/ニューヨーク・花陽

プレバト!! にも出演した小学生俳人の一句
・白百合や二十年後も続く道/幸の実

5.笑い声が入るのは、ブースの扉を開けてるから

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結構好きな人が多いと言われる「やのひろみ」さんの笑い声。普通、ラジオ収録は、雑音が入らないようにとブースの入り口の扉を締め切るのですが、実はこの「一句一遊」に限っては、『一体感を出したい!』との理由から、敢えて扉を開けっ放しにして、笑い声をマイクが拾うようにしてるんだそうです。 これも明言されるのは珍しい様に感じました、新しい情報が次々!

6.夏井組長の目に涙:裏の『天』の句

20年目という歴史の中で、多くのリスナーが投句をしてきましたが、それと同時に、多くの方が番組20年の歴史の中で、亡くなり、天に召されました。

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番組第2回放送で『天』を取り、直近2年で4回も『天』を取っている名人【ひそか】さんの一句で、夏井組長も、やのひろみさんも思わず涙をこぼします。

『逝っちまった君 聞いてるかこの夏も』/NPOとうおん俳句部・ひそか

『何なん、この人!』と叫ぶほどの感動を呼び覚ます【ひそか】さんの句は20年目のお祝い句の「裏の天」ではないかと思います。

7.20年で出会った『たとえ』達

番組を支えてくださった草心さんが『俳句は地球を救う』と熱弁していたことを思い出すと、それに続いて、番組20年で出会った様々な『たとえ』達を次々と組長たちは思い起こします。

(1)俳句は『ぬちぐすい』

まずは、理酔さんがたとえた、『ぬちぐすい』という沖縄の方言です。

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『沖縄大百科』より引用
ヌチグスイとは、命の薬、長寿の薬の意。薬になるほどの効果がある食物。薬になるくらいおいしいという表現としても用いる。

この言葉の本意として語られていたのは、『長生きすることが出来るぐらい楽しいこと』という意味で『ぬちぐすい』という言葉を使う。「俳句」も、夏井組長にとっては「選句」も、『ぬちぐすい』なんだと。

そこで、夏井組長は、(それまで答えるのが嫌だった)定番の質問である『貴方にとって俳句とは?』という質問に、『ぬちぐすい』と答えるようになったのだそうです。

(※)貴方にとって『ぬちぐすい』といえるものは何ですか?
  人によっては、既に俳句が『ぬちぐすい』かも知れませんね。

(2)一句一遊は、『ポラーノの広場』

一句一遊は『ポラーノの広場』みたいですねと形容されたことも思い出す。『ポラーノの広場に寄ると、明日も頑張ろうと思える』と。

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「夏井いつき俳句チャンネル」で、『いつき組は広場』だと語っていましたが、その根底には、この『ポラーノの広場』という宮沢賢治の作品のことが念頭にあったのだと思います。

落書き俳句ノートを調べてたら出てきました。2017年9月28日の放送です。

おたより
「先日の放送でいつき組がまさに広場のようなもの、とあったので、広場とはなんぞやと古い広辞苑で調べてみました。「広い」は、隅々まで行き渡っている、緩やかである、鷹揚であるという意味もあり、「広場」は、広々と開けた場所、町の中で集会、遊歩などができるように広く空けてある場所、とありました。改めて広場とは開かれた場所なのだと認識し、それから宮沢賢治の「ポラーノの広場」を思い出しました」

夏井いつき組長
『ポラーノの広場』ってのは私読んだことないんだけどね。そこの引用がちょっと書いてあるんですよ。こんな引用です。

「そうだ、あんな卑怯なみっともない、わざと自分を誤魔化すような、そんなポラーヌの広場でなく、そこへ夜行って歌えばまたそこで風を吸えば、もう元気がついて、明日の仕事中身体一杯精が良くて面白いような、そういうポラーヌの広場を僕らはみんなでこさえよう。僕はきっと出来ると思う。なぜなら今僕らがそれを考えているのだから」

いやーこのポラーノの広場の引用を読んで、いやー私が思ってるいつき組という広場の精神は、まさにこれだよとほんとに思いました。」

引用元については、過去ログ58 Page。落書き俳句ノートさん参照のこと。

(3)風の強い日の旗は美しい

『いつき組』という旗をポラーノの広場の真ん中に旗を立ててるから、見つけたら来てね。その広場には風も吹く。風が吹くということは、草心さん達も来る(亡くなった草心さん、俺は風だから。ってカッコいいこと言ってた)。風もちゃんと集まってくる。生きてる人も、風になった人も。

それが旗という象徴的なもののところに集まってくる。そうすると、この「旗」というキーワードは大事だったんだなと思った。

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8.20年目動画のまとめ

NHK俳句などのテレビ番組と異なり、『夏井いつきの一句一遊』は一方通行でなく双方向な作り。NHK俳句は入選句(うまい句)ばかりが読まれるが、『一句一遊』はそれだけじゃない。(下手な句も、月曜として読まれる。)そこが魅力で、長寿番組になったのだと思う。

と、番組ディレクターのやのひろみさんによって、分析がなされ、1時間に及ぶ長丁場の特別動画は「まとめ」を迎えました。

9.おわりに

私(Rx)のお祝いメッセージのメールが採用された所を自慢したくて、この記事を書き始めたんですが、改めて動画を1時間振り返ってみると、沢山の発見がありました。

特に、3つ挙げた「たとえ」については、私が追い求めてきた物との共通点も多く、流石は20年の歴史の中で培われてきた言葉たちだなぁ、と、感銘を受けました。

1時間の動画を改めて見返す時間が無い時などにこの記事でざっくりとした内容を振り返って頂ければと思いますので、20年目を突破した『一句一遊』のリスナーさん、いつき組組員は勿論のこと、それ以外の皆さんも、是非!


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