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【木曜】【本紹介】『ひらめく! 作れる! 俳句ドリル』/岸本尚毅・夏井いつき

【はじめに】
この記事では、2021年6月10日に発売された書籍『ひらめく! 作れる! 俳句ドリル』を紹介していきます。

ちなみに、発売に先駆けて、2021年6月3日に夏井いつき俳句チャンネルで紹介された動画も参考に掲載させてもらいます。ぜひ岸本先生のゲストコメントもお楽しみ下さい。

「はじめに」から抜粋

基本的には、現在発売中の書籍なので、逐一引用することは避けたいと思いますが、「はじめに」から一節ご紹介させてください。

特に初心者が陥りやすいのが、材料の詰め込み過ぎ。これをどう解説すればわかってもらえるのだろうと苦労してきたのです。

( P004「はじめに」 )

言葉には質量がある。俳句にちょうどいい言葉の質量は、2グラムぐらいではないか。2グラムしか入らない器に、初心者は山のように言葉を持ってしまう。「俳句2グラム説」は、その量を客観的に捉えるためのわかりやすい説明と成り得るのではないか。

( P004「はじめに」 )

厳密にこの言葉が「何点なにグラム」かを分析していくことが主眼ではなくて、「俳句というのは2グラムしか入らない器」という考え方を身近な喩えで説明してくれているものだと思います。

(↑)この記事は「写真や動画」にたとえたものですが、趣旨は同じです。ぜひ初級者の方はこの点を抑えてくださればと思います。

第1章「なぜキーワードが大切なのか?」

まずは、「俳句づくり」に身構えてしまう皆さんへ、こんな素敵な言葉でのたとえ話。どちらも大好きな喩えになりました。

まずは「俳句を作ろう」と思わずに、秋の野原でお花を摘むように「この言葉、なんかちょっといいかも」という感じで言葉探しの旅に出ましょう。

( P22/夏井いつき )

歩いていて、「あ、ちょっとカメラで撮っておきたい」と思うような軽いノリが、言葉探しかもしれない。100円ショップにはあれだけたくさんの物があるけど、立ち止まる物と、立ち止まらない物があるじゃない。

( P23/夏井いつき )

これに対して、岸本尚毅博士も、「季重なり」などに関して、端的にこんな表現で要点を説明してくれています。

料理には統一感や中心の素材があるんですね。

( P26/岸本尚毅 )

メインのある料理(季語1つ)もありますが、メインの食材が複数あっても(季重なり)それらに統一感があれば、然程気にならず美味しく食べられるものもあります。

料理人ともなれば「創作料理」だったり「新鮮な組み合わせ」が成功することもあるでしょうが、料理づくりの初心者が作るにはハードルがあまりにも高いでしょう。勘所が掴めるまではレシピを重視した調理が無難でしょう。

第2章「キーワードから作る」

「ふるさとの色町とほる墓参かな/皆吉爽雨」の穴埋めドリルを解説しているところから次の一文をご紹介します。

チーム裾野が陥りがちな残念なことの一つに、この「つき過ぎ」があります。つき過ぎに陥らないコツとしては、「墓参」という季語のイメージの中に「ふるさと」は入っちゃってる、そんな抑え方をするといい。

( P45/夏井いつき )

季語というのは、「最大公約数」的な印象を強く持って、その力を最大限に信じて句を作ることが出来るものです。それが故に、季語の中にイメージが含まれている言葉を、僅か17音の器(2グラムぐらいしか入らない)に重複の音数を使うのは余りにも勿体ないのでしょう。

これについて、岸本博士が師事した波多野爽波さんの言葉も紹介されます。

……三年、五年と俳句を作ってきてなお「水温む」という季題で「水」に関係あるものを詠っているのでは、些かがっかりさせられてしまう。

( 『青』S57.4/波多野爽波 )

爽波の言うことは単純です。
最初から「ツキ過ぎ」の句を作らないようにするのではなく、「ツキ過ぎ」の句をどんどん作り、どんどん捨ててゆけばよいのです。

( P58/岸本尚毅 )

第5章「夏井&キシモト博士が答えます」

これについては、夏井組長も同じことを説明しています。「プレバト!!」の東国原・永世名人を引き合いに出してです。

Q2.「よくある句」からの脱出
A2.「東国原メソッド」(題が出たら、すぐに思いつく言葉を紙にばーっと書く。最初に思いついたことは類想だから、それ以外のことを俳句に書こう、類想の半歩外を探って俳句を作っていこう、と心がける。)

( P195/夏井いつき )

Q3.「説明のしすぎだ」
A3.「読者を信じる」に尽きると思います。

( P196/夏井いつき )

第4章「キーワードを生かすための省略」

私も良く書く「プレバト!!」に関する記載があったので、そこを記載させてもらいましょう。

「プレバト!!」を見て、「写真で作るコツありますか?」ってよく聞かれるんです。そのとき答えているのが、三つのコツです。

一つ目は、写真を見てない人の脳に100%同じ写真が再生されるようにやってみる。
二つ目は、写真の中に自分をバーチャルで置いて、そこから見渡したら何が見えるかしらって考える。……
三つ目は写真に取られてない外側に何があるか想像する。……

写真の中に自分が入って、360℃、上下、見ることができるようになったら、写真の脳内吟行は自由自在ですね。

( P182/夏井いつき )

良くこれを名人以上の方はおっしゃいますね。文字化されると、いざ考える時のヒントになりそうです。

【おわりに】

ここまで幾つか心に刻みたい比喩や名言をご紹介してきましたが、この本の主題というのは「俳句ドリル」の部分です。

数々の「穴埋めドリル」などを通じて、ぜひ「俳句のタネが見つからない」や「17音になりません」という悩みを打ち破って下さい!

以下に、私が読み返したいと感じたレッスンを書かせてもらいます。では!

レッスン6 言葉を消し、情報量をへらす
(1)動詞をシンプルに
  ・新しき帽子かけ置く黴の宿
(2)情景をシンプルに
  ・振りかへるうしろ窓にも春の水
(3)キーワード以外をシンプルに
  ・大いなるもの北にゆく野分かな
(4)言葉を吟味してシンプルに
(5)含まれる要素をシンプルに
(6)焦点を絞ってシンプルに
(7)意味が伝わるようにシンプルに

( P146~ )

レッスン7 何を詠むか、詠まないか
ドリル26 何を省く?

( P157~ )


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