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村上健志の俳句実況(2022/03/26)《+Rx自作10句》

【はじめに】
この記事では、2022年3月26日に配信された「村上健志の俳句実況」を振り返り、チャットで披露したものを含めた「自作句」をご紹介します。

1ヶ月半以上ぶりと久々の「俳句実況」。季節は一気に進み、「立春」直後から「仲春」となり、気づけば桜も開花する時期となりました。

オープニングトーク

俳句実況の前週に放送された「プレバト!!」の春光戦の予選では、村上さんが名人10段らしい俳句を披露しました。それがこちら。

『卒業や階段に階段の影』

村上健志

これは本当に傑作だと思いました。あの「次頁の影」に匹敵するような光と影の対比を描いた作品です。大人びたドラマが感動的ですらありました。

この句に関連して、俳句の作り方に関するミニ講座が開講します。

仮に、『卒業』という兼題や写真が出されても、
卒業式当日というものは(泣いてるとか友達との別れとか)大きいイベント事に注目しちゃうんでなかなか人と違うことできない。
卒業ということは、今日という日をもって明日からはその学校に来ることが殆どなくなる。学校にあったものを12音で見つけると結構こう良いなって、良い俳句が出来るんじゃないかな、って。

動画で語られている全容が、本当に上級者あたりまでは非常に役立つ実作法かと思いますので、ぜひ参考になさってください!

冒頭12分過ぎまで本当に役立つ考え方に溢れていますよー

席題1.「合格」

季節もすっかり移ろった感じの席題募集。チャット欄で「合格したので一言ください」といったコメントが寄せられ、それにスパチャが投げられる優しいやり取りがあったことから、最初の席題は『合格』となりました。

「入学試験」の傍題である『合格』という季語の懐の深さに、いきなり悩み込んでしまう村上さん。久々の俳句実況ということもあり、やはりなかなかスンナリとは出てこない感じです。

受験生だったのが20年以上前という村上さん、ふと「今の合格発表の仕方」が気になって、「自分の頃は『電話で問い合わせ』たり、『葉書が来』たりしていた」と思い出します。こういった少し昔の日常を思い出して描くと、案外俳句のタネが見つかりやすいかも知れません。

そして本人は掲示するつもりなく、「1句目」に出てきたのがこちらです。

1句目:『合格やドンキのカラー剤売り場』

村上健志

この出来にまだ納得してない様子の村上さん、続けて2句目が誕生します。

2句目:『合格や背の順に並ぶ鉛筆』

村上健志

私なら例えば『背の順に並ぶ鉛筆や合格』みたく、五七五ではない形にした方がそれぞれの要素が相互作用するかなとも考えましたが、いずれにしてもこの、鉛筆に「背の順」という表現を使うあたりが村上名人ならではです。

《 Rx自作5句 》

  • 『合格祝い代わりのスパチャ 雨あがり』

  • 『合格は覚悟のぞみ号進む』

  • 『繰り上げも合格だよと呟く夜』

  • 『合格や図書館にコピーする官報』

  • 『合格し聞くや日本馬大活躍』

席題2.「ライスorパン」

雑談を交えつつ、2つ目の席題は、冒頭でも話題にのぼった「春光戦予選」で村上さんが割り振られなかった兼題でもある、「ライスorパン」に決定。もちろん、長い時間を掛けて練った出場者の作品と違って「即吟」であることの保険をかけて(^^)作句に取り掛かります。

村上さんは「パン」で作句したことがあったか記憶が曖昧なようでしたが、過去に「斤で数える食パン」などで作句を試みていました。(↓)
※ちょうどPCがカクカクで、作句に集中できなかったのもあるかも知れませんねww 視聴者側としては印象深かったのですが。

「ライス」や「パン」単体ではなく、2択から選ぶという複合要素があることの難しさに村上さんも筆が止まり、伸びをするような体勢で時間が過ぎたりもしましたが、それを味わうのも「俳句実況」の魅力だったりもします。

そして、村上さんらしい「家族」の優しい句が出来上がります。こちら。

3句目:『三月のロイホやパンを選ぶ兄』

村上健志

確かにまあ、助詞の「や」で強調するべきかは微妙ですが、これも着眼点が素敵で良い句だと思います。そして気づけば配信開始から53分が過ぎていました。冒頭のトークも充実していましたからね、あっという間です。

《 Rx自作3句 》

  • 「ライスorパン?」まねる吾子らや春休

  • 青き目らの選ぶはライス春の雷

  • 春朝のフォークやバターライス美し

席題3.「春の風邪」

せめて3つは……と1時間迫っている中で最後の席題選び。視聴者から桜を所望されますが、実質、無限の懐を持つテーマということで今回は回避。
結局、春の季語である「春の風邪」と決まりました。

ここまでの席題2つは相当苦しんでおられましたが、最後の席題は、まさにあっという間に出来上がります。その句がこちら(↓)

4句目:『地球儀の正面変えて春の風邪』

村上健志

個人的には、チャット欄にも書いたとおり、着眼点が本当に傑作だと感じました。それこそ句として仕上げれば、『春光戦でも上位を狙える』クラスの逸材(ポテンシャル)を感じた次第です。

地味ながら「春の風邪」という季語も、動きそうで動かない絶妙なバランスだと感じました。(仮にこれを未発表句として、プレバト!! に出して、上位に入れなかったとしても責任は負えませんがww)

個人的には、「プレバト!!」のタイトル戦に取り組んできた緊張感が、この俳句実況にも反映されているのかなと感じました。全体的に村上さんらしい着眼点であって、「アイディア出し」の場としての俳句実況としては、句の出来は一歩劣るかも知れませんが、収穫のあった回だったと思いますね。

《 Rx自作2句 》

・『春風邪や3倍録画のビデオ果て』
・『わけあえばしあわせ春の風邪の夜に』

久々の「俳句実況」楽しませてもらいました! また不定期で良いので時々やって欲しいですね!

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