妖怪寿司屋

引き戸を開けると威勢のいい声が
出迎えてくれるはずだった

怪訝そうにこちらを覗うのは……
客か?
背中に揺れる9本の尻尾はなんだ。

大将なのか
カウンターの向こうにどすんと控
えている頭がよっつあるアレは、
いったい何だ。

立ちすくむ傍らを擦り抜けて行く
のは影法師か

「い、いいいいいいららあっsっ」
よっつある頭部のどこから発せら
れた声なのかわからない歓迎?の
声に招かれて席に着くと

がつん

氷水が置かれ、ふんっとそっぽを
向いて去って行くのは

雪女?

……なんだこの寿司屋は

「ななななんににぎぎぎい」

空腹も限界だ……ここは開きなお
るか

「おまかせで」

……ちょっと待て、俺の手から声
がする。

なんだ
そうか

俺も、同じ人外だったとは……

#走り書き

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