〈短歌〉2023年、秋冬

◇退職
下敷きと名付けた板も役割を終え菓子箱の切れ端に戻る
やればやるほどすり減った薄くても磨かれるなら考えたけど
私のこと見てなかったじゃん最後だけ訳のわからん動画撮ってさ
熨斗付けたクッキー開けてバリバリと食べてやりたいそう思うだけ
今できた曲なら誰も知らないと歌う・走る・冬・堀川通

◇お笑い
本日も残業Chromeのタブ増やし彼らの決勝進出を知る
テンプレのお祈りメールに被さってふざけたクイズ動画の通知
テレビ観に帰っておいでお蜜柑とチョコパイ買ったしこたつも出したよ
ありふれた夢もロマンもない日々をラジオのついたトランクで行く
18時からエムワンか？18時半からだけどそうと答えた
あのコンビ優勝したねと褒められて私は勝手にありがとうを言う
世の中を置き去りどこまでも進め野菜を食べてたっぷり眠れ