言葉の尻尾を楽しむ
尻尾のある生き物は便利だ。
背中を向けても意識を伝える事が出来る。
大昔には人間にも尻尾があった様な文章を見つけて、思わず自分の尻尾に手を当てた記憶がある。
人間は、尻尾の変わりに言葉尻を操りコミュニケーションを取れる賢い生き物だと感じる。
特に「た」と「す」の使い方では受け取り方が違う事に気がついた。
( ありがとうございます。)
( 頑張ります。) ( いただきます。) .....
書く時と、声の大きさや高さで爽やかな言い切りでお互いの気分が良くなる。
( 有ります。) ( そうです。) .....
「す」の後ろに「か」や「ね」を付け絶妙なバランスをとる時もある。話す時は、言い切る事で強さが伝わる。
更に、「よ」を付けると違う軽快なニュアンスになるから面白い。
( ありがとうございました。)
( 頑張りました。) ( 元気でした...)
書く時も話す時も、今日までの日々が輝く様な力が伝わる。聞く側の時は、「ね」を付けて寄り添う気持ちを表現する。
( 出来ました。) ( 有りました。)
区切りを付ける役目をする時と、示す内容を知りたい気持ちにさせる。
「た」と「す」の使い分けで1番に人の心を惹きつける言葉は、
( 好きでした。) ( 好きです。)
気持ちの表現の中で1番わかりやすく、大切にされている表現の様に感じる。
「た」を使う時は、「す」から変わった理由に気が向いて行く。人間関係だけでは無く、様々な場面で大切な意思表示となっている。
「す」を使う時は、いろんな人の「す」を誘う時があるから面白い。
( おこしやす。) ( おいでやす。)...
美しい芸妓さんや舞妓さんが操る「す」は、止めと続きをぼかしながら優雅さが漂う。
言葉の尻尾は、気になる時とそうでは無い時はいつも自分次第。
言葉の尻尾に最大級の気を配ばる必要がある時と、少し緩める事が許される時を楽しみながら言葉を交わせば会話はまたと無い一時。