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自己成長モデル(1/2) - 自己成長モデルとは -

■自己成長モデル概要

自己成長モデルは、「自己実現を目指すために、行動と能力の変化および自己を認識し、ありたい姿へ近づけていく活動をモデル化したもの」です。私自身の過去の経験を基に、自己成長について、特に個人と社会の関係やその中でどのようにヒトは成長していくのかについてLLM(GPT4 Turbo)なども利用しながら独自にまとめました。最初は以下のようなキーワードを基に、人の成長を表す軸についてブレストしたり、まとめたりしました。

#キーワード
社会的成長、個人的成長、客観的成長、主観的成長、与えられた役割、自由・自己決定、やりたいこと、自分がどうなりたいか、社会モデルと個人モデル、ある分野での成長、人生の目的に行くための手がかり、能力が上がる、どんな人生の旅をしたいか、個人としての在り方、社会との関係性

モデルを検討する上で参考になっているのは、2年ほど前(2022年)に書いた記事(※1)で考えた私的成長モデルです。これについては次回の記事で自己成長モデルとの関係をより詳細に触れてみようと思います。


図1 自己成長モデル

自己成長モデルは、大きく3つの要素(自己、行動、能力)に分かれています(図1)。自己および行動の部分は、右下の適応行動を起点にしています(※適応行動が起点である必要はありません。あくまで説明のしやすさからここを起点にします)。

<行動(適応行動と自律行動)>

適応行動は、外的な要因や環境に応じて柔軟に変化させる行動のことです。例えばリーダーという役割を任されてメンバーとコミュニケーションを取る、親として子供にご飯を食べさせるなど。
多くの人は与えられた役割や環境に応じてそれらしく振舞います(もちろんそうではない場合もありますが、ここでは多かれ少なかれ社会の中に適応しようとすることを前提とします)。社会に適応しようとばかり考えて行動をしていると、ふとしたときに、自分って何がやりたいのだろう、みんなはこういうけど自分はこうしたい、いやこうあるべきなのでは、などという、自律心が芽生えてきます。
自律行動は、個人の内発的な動機や自己決定に基づく行動で、自分自身の意志や目標に従った行動です。

<自己(静的自己と動的自己)>

自律的に行動をしていると、改めて自分って何なんだろう、と静的自己(パーソナリティやアイデンティティ)を見つめ直します。静的自己は、個人の変わりにくい基本的な特性や属性を示す自己の側面で、生まれ持った特性や長期間にわたって形成された属性が含まれます。
自分が何者なのかを深く考えると、自分はこうありたいという欲求が大きくなり、現実と理想のギャップに悩みます。これを動的自己と呼び、理想的自己像を掲げ、自己ギャップを克服した新たな自己を形成していき、それが人生の方向性を変えていこうという新たな行動に変わります(新しい恋人、職場、友人関係、趣味、社会活動を探す等)。
新たな行動によって、自分の周りの環境が変わり、また適応行動に戻ってきて、これを繰り返しながらその過程で様々な経験や能力を身に着けていって、自己が成長していくと考えます。

<個人と社会の関係>

自己成長モデルの右側は主に社会との関係に着目した要素であり、左側は個人そのものに着目した要素です。幼いころから私は、「人間って何だろう?」という訳の分からない問いを自分にかけることがあり、また歌手の尾崎豊さんが好きだった影響もあるのか、なんか生きづらいのは何なんだろうなどと考えることもありました。
今思うと、辛いと感じているときは、左側(個人的側面)に行動や思考が寄っているときだなと感じました。自身が何かに悩んでいるときに、外からパシャっと自分の写真を撮った時、自分自身に矢印が向いていて、自分に注目しているような心理状態の時に、気分が落ち込んでいました。自分の社会における役割に疑問を持っているとき、自分が何をやりたいのか探しているとき、自分のパーソナリティを深く意識しているときなど。逆に右側(社会的側面)に行動や思考が寄っているときは、比較的安定していたような気がします(矢印が自分に向いておらず、社会に向いており、適応しようと頑張っているとき)。
こういった考え方を持っているからか、私は個人と社会の関係を考え、改善していくということを人生における大きなテーマとして持っています。誰もが通る(と勝手に思っている)この過程を少しでも分かりやすく、また意識できるようにし、悩みから行動へ、自己実現へと向かう手助けが出来ればよいと思っています。

■自己決定理論との関係性

自己成長モデルは、ボトムアップで個人的に考えたものですが、世の中にある理論で似たようなものはないかなと探して見つけたのが、自己決定理論(Deci、Ryan)(※2)です。
自己決定理論では、「有能性:自分の能力とその証明に対する欲求」、「関係性:周囲との関係に対する欲求」、「自律性:自己の行動を自分自身で決めることに対する欲求」という3つの軸があるようです。

自己決定理論の「有能性」は自己成長モデルの「能力」、「関係性」は「適応行動」、「自律性」は「自律行動」と、それぞれ対応付けられると考えます。
前述した台形部分(適応行動→自律行動→静的自己→動的自己→適応行動…)を繰り返すことで、能力(個別能力や総合能力)を高めます(或いは有能欲求を満たします)。成長にとって能力の向上は全体を下支えする重要な土台のような役割をしていると考えます。周囲(社会)との関係を良好に保ちたいという関係性の欲求は、適応行動(任されたことをきちんとやったり、場の空気を読んで人に合わせた行動をしたり)をすることにより満たされ、自己決定論で特に重要とされている自律性は、自律的行動から自己を見つめ直し、新たな自分への挑戦を始めることで満たされていくと考えます。

自己決定理論の5段階は、①外的調整(報酬や罰によって)、②取り入れ(義務感によって)、③同一化(必要性によって)、④統合(目的や価値観と合致)、⑤内発的動機づけ(やりがい/楽しさ)、というものだそうです。
適応行動は、①外的調整や②取り入れに近いものだと思います。どちらも社会からの要請などによってそれに応えようとする行動であるためです。それに対し、③同一化や④統合は、より自分が主体となった行動や目的志向の行動であるため、自律行動(自己主導、目的志向)にシフトしていると考えられます。そして⑤内発的動機付けは、やりがいや楽しさを感じている状態です。ここは自己成長モデルとの対応が難しいところですが、どのような時にやりがいや楽しさを感じるのかというと、自己を見つめ直し自分自身の理想に近づいているからやりがいや楽しさを感じるのではと考えました。


図2 自己決定理論と自己成長モデル

こう当てはめて考えてみると、静的自己と動的自己を分けて、自己について深く考え直す、という過程は自己成長モデル特有のものなのかもしれません(図2)。
また、抽象的な表現になってしまいますが、自己決定理論では①から⑤に向けてステップアップしていくようなイメージがあります。それに対し、自己成長モデルではサイクルを意識し、ステップアップというよりは道を歩んでいく、あるいは一定期間経った時に振り返りどのように行動や能力、自分自身(自己)が変化しているかを確認して積み上げていくというイメージです。例えば、図3のように児童期、学生期、社会人若手、…、それぞれの自己認識を積み上げてタワーを作る感じです。


図3 自己成長モデルの経年イメージ(自己認識タワー)

自己成長モデルでは、「成長」というものを一定期間経過した後の、六角形と六角形の変化(差分)と考えます。ポジティブな変化でもネガティブな変化でも、変化は成長、変化がない状態を成長がない状態と考えます。ポジティブと捉えるかネガティブと捉えるかは、人によって、文脈によって、主観によって変わり得るものでもありますし、変化をしているということ自体が素晴らしいことであると考えるからです。

さて、自己決定理論以外にも、成長に関連する理論は存在します。特に関係が深そうなのが、「成人発達理論」と「インテグラル理論」です。これらの理論との関係性はもう少し勉強したうえで別の機会に記事にしようと思います。
次回は、私自身のことを本モデルに当てはめて考えてみようと思います。


※1 リレーBLOG第9弾「過去の道と私的成長モデル」 | 芝浦工大MOT同窓会支部 (sit-mot.org)
※2 自己決定理論とは? 3つの軸と5段階のプロセスを理解して、内発的動機づけを促そう│LearnTern(ラン・タン) (learn-tern.com))(1次ソースではないことご容赦ください)


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本noteについて|Keisuke Tanabe


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