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今でも大人になれる味【炭酸が好き】

私は炭酸が好きだ。

7歳ぐらいの頃だろうか。年上の従姉たちがコーラを飲んでいるのを見て、うらやましく感じていた。私は飲んだこともないその飲み物は、「まだ飲めないよ」と周りに言われることもあって、大人の証明のように感じていた。そのシュワシュワとした感覚がどんなものか、想像するしかなかった。

初めて飲んだ炭酸飲料は、カルピスソーダだったように記憶している。

それは夏の暑い日、プールに出かける途中のことだ。大きな浮き輪を抱え、従姉たちと歩いていた。

カンカン照りの太陽の下、通りかかった自販機で、母が私に「炭酸だけど、飲んでみる?」と尋ねてきたとき、心臓がドキドキと高鳴った。私は勇気を振り絞ってうなずいた。

従姉たちはいつものように、コーラをがぶがぶと飲んでいた。その横で、私は初めての炭酸体験に挑む。カルピスソーダの缶を恐る恐る口に運び、一口飲んだ瞬間、シュワシュワと舌の上ではじける感覚に驚いた。痛みを感じたが、同時に甘みも感じられた。美味しいというより、なんとか飲めなくもない。それでも背伸びして、平気なフリをしたい。私は猫がミルクを舐めるように、チビチビと飲み進めた。

そんなペースだったから、プールにたどり着いても、私はまだ飲み終わっていなかった。結局、残った分は母に飲んでもらうことになる。帰り道では、少しだけ大人になった気がして、従姉にコーラを分けてもらった。しかし、その炭酸の強さはカルピスソーダとは比べものにならず、舌が痛くて飲めたものではなかった。大人の仲間入りができたと思ったのに、まだまだだと分かって、少し泣いてしまったのを覚えている。

今でもカルピスソーダは大好きだ。近所の自動販売機で買っては、自分へのご褒美として飲んでいる。シュワシュワと口の中ではじける快感と舌を覆う甘みは、大人になった今でも変わらない。それは、あの日の夏の記憶とともに、私の心の中でいつまでも輝いている。

炭酸のシュワシュワとした感覚は、大人の証明であり、子どもの頃の私にとっての憧れだった。今でもそれを飲むと、そんな憧れを手に入れた自分を少し誇らしく思う。そして、あの日の夏の思い出を胸に、これからもカルピスソーダを飲み続けるだろう。


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コチラの記事で使わせていただいた帯は、いつき@暮らしが趣味さんからお借りしました。ありがとうございます💕

#賑やかし帯
#炭酸が好き

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