艾菲尔丁がスウェーデンリーグへ 翻訳記事など

・概要

3月29日、艾菲尔丁·艾斯卡尔(Afrden Asqer/Àifēiěrdīng Àisīkǎ'ěr)のスウェーデンリーグ(アルスヴェンスカン)・ミェルビーAIF(Mjällby AIF.)へのレンタル移籍が発表された。

艾菲尔丁は2003年新疆ウイグル自治区カシュガル出身、ポジションはFWだが技術や積極性が売りでウイングの適正も。昨季は広州FC(前広州恒大)で23試合に出場。先のU20アジアカップでは中国U20代表キャプテンとして全試合出場、得点ゼロも全得点に絡む活躍でベスト8進出に貢献。

実は17~18年に清水エスパルス、鹿島アントラーズの下部組織に在籍。

U20アジアカップでの活躍に加え、広州FCの財政難もあり、有望株の彼に欧州移籍または中国のビッグクラブ移籍は必至と思われていた。

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・ミェルビーAIFとはどんなチーム?

(以下翻訳記事)----------
 艾菲尔丁の加入でミェルビーは中国人ファンの注目を浴びることに。
 ホームタウンはヘレヴィク(Hällevik)人口800人余り(注:英語Wikiで2020年時点で約1500人らしい)の小さな町だが、ミャルビーのような84年の歴史持つトップリーグのクラブを保有するのは素晴らしい。ではこの小さな町のクラブはいかにして運営を維持してきたのか?

サッカーは名刺代わり
1939年、ミェルビーは2つのチーム合併で誕生。創設者ベントソンは嘲笑を浴びながらクラブを好転させた。ホームスタジアムは1941年に農民のベントソンが土地を提供、金額は2,250スウェーデン・クロナ(約216USD)加えて毎年150クロナの賃料を得た。こうしてミェルビーは比較的廉価でホームスタジアムを持つことができた。

へレヴィクにとってミェルビーは名刺代わりだ。もう1枚の名刺はミンクの養殖業。ある試合で1匹のミンクがスタジアムに入り、これを見たベントソンが商機を感じ取った。養殖業の拡大で住民はどんどん豊かになり街の知名度も上がった。皆この村落の綺麗な風景を知り、リゾート地にもなった。
 住民たちの努力のもと、養殖業と観光業、そしてサッカーの影響力により現地の経済は発展し、ミェルビーの財政も安定。そして5年間で4度の昇格によりトップリーグ・アルスヴェンスカンへ上り詰めた
 現地民はベントソンの「我々が一緒なら不可能はない」の言葉を信じ、団結して上がってきた。

多角化経営で資金調達
こう歴史を振り返るとかつてのミェルビーは住民全体の強力で成り立ってきた、21世紀に入りミェルビーの健康経営は続いている。キャプテンのロフクィスト(David Löfquist)は16年に青島紅獅に在籍経験あるが、彼が媒体に投稿した写真で、多くの広告が載るミェルビーのユニフォームが話題になった。

広告多すぎ!

 小さなクラブだが、PUMA、カールスバーグなど多くの有名企業をスポンサーに持つ。同時にミェルビーのスポンサーは広範囲に渡り、JAL、北欧印刷会社、現地のスーパーや新聞社、旅館、葬儀屋、墓の会社まで。
 ミェルビーはスポンサーのために宣伝し、また公式サイト上でマフラーやTシャツ、水筒などのグッズを売る。高くないが種類は豊富、サポーターたちは消費することでチームへの帰属感を高める。

他にミャルビーはシーズンチケットや育成で収益を得る。シーズンチケットは毎年700クロナ(注:約9千円)下部組織は6歳から19歳まで。他にサポーターのためにアマチュアチームも持っており、会費は年間400クロナ。サポーターのために練習や試合を組み、トップチームの選手も参加する。

選手獲得はコスパ重視
 多くの稼ぎ口をもつミェルビー、選手獲得でもコスパを重視している。
チーム得点王のFWヌワンクウォ(Silas Nwankwo)は昨年ナイジェリアリーグから発掘しまだ19歳。2020-21シーズンのナイジェリアリーグ得点王だ。
 昨シーズン活躍したガーナ人FWモロ(Mamudo Moro)、MFヨハンソン(Alexander Johansson)は共にフリーで加入。中盤の核MFロフクィスト(David Löfquist)も17年青島紅獅退団後フリーで加入。現在の選手たちは殆どフリー移籍など移籍金発生していないが、実力は確かだ。
 ミェルビーは殆どが若く、前述のヌワンクウォは19岁だが怪我で今季暫く離脱する見込みだ。だが同じ19歳の艾菲尔丁、及びMFぺルソン(Noah Persson)、ノルウェー人DFロスラー(Colin Rösler)などがいる。こうした若手は勢いあるがコストは高くない。

 まだミェルビーの発掘した若手は他チームに転売でき、例えばかつて北京国安に在籍したフェイズラフ(Erton Fejzullahu、スウェーデン・コソボ両国代表歴あり)彼はデンマーク・FCコペンハーゲンU18から加入し3年21得点。オランダ・NECへ移籍し52万ユーロの移籍金を得た。
 ミェルビーの経営方式を見て、ある中国のファンは嘆いた。「800人しかいないスウェーデンの小都市が80年以上歴史あるクラブを存続できて、なぜ中国ではそれができない?
 ミェルビーのやり方は中国のクラブも模倣できる、スポンサーを見つけ、若手を発掘し、移籍金を取り、またサポーターから金を得る。いつか中国リーグでこのような郷鎮(注:日本的には郡.町.村に相当)レベルのプロチームはできるだろうか?

2023年、人口1500万人の広州、同1100万の武漢、同1200万の西安などでプロクラブが解散した。単純に人口=収益とはならないとしても、なぜなのか改めて甚だ疑問である。

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・其他の記事

・「とにかく試してみたい、スウェーデンのトップリーグだしとても期待している」
・28日に契約し、30日には現地入りしチームメイトと対面。コペンハーゲンから車で移動
・印象として「みんなフィジカルは私より上だ」
・U20代表のスタッフで欧州移籍の先輩・邵佳一(ShaoJiayi)の忠告を大事にしている。「試合出れるかに関わらず、毎日真剣な態度でトレーニングしなさい。良い態度を保てば、コーチたちは必ずチャンスをくれる。欧州サッカーは純粋だから」

 個人的にもとても楽しみな移籍、レベルは低くないとはいえ、昨年リーグ9位、中位~下位のチーム。A代表クラスの選手もおらず全体的に若い。
開幕から合流できる点も〇、元チームメイトで同じく広州FCから欧州移籍果たしたがでトルコで干されている呉少聡よりは出番を得られるだろう。
 一方で北欧のフィジカルに適応できるか、中国人選手はフィジカルには恵まれる選手も多いが、ウイグル族選手はテクニック系が多く、彼もまた体の強さでなく技術や動きで勝負するタイプ。フィジカル面の適応は必須だろう
 あと心配なのは疲労、昨年末までリーグ戦を戦い。3月のU20アジアカップ前からクロアチア、ウズベキスタンで1か月以上キャンプ→大会後帰国、広州で数日休んで→U22代表合宿でクロアチア→数日後の移籍話まとまりスウェーデンへ、、、
ていうか年代別代表の国外キャンプやりすぎ。現在もパリ五輪目指すU22代表がクロアチアで長期キャンプを実施(6月まで!)しているが、オフシーズンならまだしも開幕前~開幕後も選手を拘束。所属クラブで出番を得ている選手も招集され、クラブにとっての損失も大きい。以前から長期キャンプを実施しているが、良かったためしはあるのだろうか?多くの選手が疲労し、有望株が負傷し離脱する事態を恐れている。


・その後(追記

6月9日、ミャルビーとの契約解除を発表。移籍発表から2か月/合流1か月半で公式戦出場0。
唯一ベンチ入りした1戦でコーチが彼を投入しようとしたが、監督が阻止。以降ベンチにも入れずその件への恨みを感じるコメントも。
実力不足.適応遅れ等あろうが試合出ることが先決。使う気ないチームにいても仕方ない。2部で苦しむ古巣広州FCを救う活躍を期待したい。




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