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オンライン大学祭が「学内限定」ってどういうことだろう? または教職員は学生活動へどう関わるべきか

話題的に暗いor厳しいのでせめて扉絵はゆるく(チャンミーです)。

所属の北星学園大学では毎年10月に星学祭という名で学園祭が行われます。昨年はコロナ禍で中止となりましたが,今年はオンラインで開催される見込みだという話が8月頃に(教職員には)出ていました。

従来の星学祭はそれはそれで楽しいのだけど,サークル主体のお祭りという面がとても強く,アカデミックな点で物足りなさがありました。もちろんいくつかのゼミが成果発表をしていたんですが,まだまだ数もスペースも足りずちょっと「大学」というのが感じられないなあというのが正直な感想でした。

そういうことへのモヤモヤがあるのと,やはり研究のアウトリーチって大事だよねというのもあって,2019年の星学祭では教員有志で,ポスター展示とミニセミナーからなる研究アウトリーチ企画を出展しました。その様子は記事にしています。

事前準備はしていました

もともと4月に今年度もさまざまな活動がオンライン主体になることは目に見えていたので,個人的にアウトリーチ活動として論文を1分程度で紹介する動画を作ってみたりもしていました。

また,星学祭についてもオンラインになるだろうから,こういうものを色々な先生に用意してもらおうと思って一部の方には相談もしていました。ところが,10日に出た星学祭の詳細は私にとってかなり驚きのあるものでした。

というのも,星学祭は学内のみの公開とし,有志企画が各団体10〜15分の動画を提出して,実行委員会が編集しオンライン学祭で使用だったからです。なぜこれが悪い意味で驚きなのか。大きく2つあります。

長い動画は見てもらえない

どういう動画配信システムを使うか分からないけど,仮に10団体出たら100分の動画になります。1本を20分にして5本の動画にしても,それを全部見るのは何人いるでしょう?長い動画は最後まで見られないことって学生からすれば常識と言える中で自分たちの動画は見てもらえると思っているのはどういう見込みか分かりません。僕は長い動画は見てもらえないからこそ上のような1分セミナーを作っていましたし。

またコンテンツを出してもどう編集されるか分からないというのは正直怖いです。編集されると伝えたいメッセージは変わってきますから,そこの責任はこちらでとらせてほしいと思います(編集というのが単に繋げるというものならそう書いてほしい)。

ついでに言えば,出演人数を事前に伝えることの意図が分かりません。動画なんだから出る人数なんて関係ないんじゃないかなあ。

外に向けた発信は大事

次に解せないのは学内限定になっている点です。学内限定にすることで,外の目を気にしないでコンテンツを作れると考えるならそれは浅はかです。だって,外の目を気にしないと言うことは内輪ウケすればいいという発想に繋がりかねないんですから。

みんな内と外は使い分けます。料理で考えたって,家族に出すご飯とお客さんに出すご飯ではかける手間は変わってきますよね。これを考えたって,質が変わってくることが分かります。音楽サークルなら,もう1テイクとるかどうかに繋がります。

普段の大学祭が一般公開なのは,外の目を気にすることで,対象のお客を考えて出展の内容や掲示を考えるなどの工夫に繋がるからです。それは授業とは別の点で参加者の成長に繋がると思います。でも学内限定ではこういった効果は期待できません。

私の企画に関しても,大学の中に向けた発信ではアウトリーチ活動としての体をなしません。やはり外に向けてやるからこそ意義を見いだせます。そういうわけで,私は今年の星学祭への参加は見送ることにしました。せめて当日のライブ配信でもあればと今でも思います。

学生が悪いんじゃあない

ここまで書いたこと(ほぼ文句です)って特に実行委員会の学生からすると正直胸くそ悪いと思います。Twitterならブロックされるレベルです(それでも書いちゃってるけど)。でも重要な点があって,それはこの事態って実行委員会をはじめとする学生の問題じゃあないんです。

もちろん上の決定は実行委員会でなされたのだから,そこが責任を持っています。でも,大学祭は学生生活の支援の関わるところでもありますし,大学祭はあくまで大学の行事なので,広報の問題とも関わります。私はその手の委員会には携わっていないので分かりませんが,少なくとも学生の生活支援や広報に関わる教職員はこのような残念な形になる前に積極的に介入して手を打つべきでした

少なくとも大学の外から観れば,北星の学祭はやっていないに等しいことは,広報面でのデメリットが大きく,社会連携的にも地域に開かれた大学とは遠くなるのですから,学内開催のみはちょっと考えづらいです。

こういった姿勢を過保護と受け取る人はいるかもしれません。大学生なのだから自立をみたいに考えればそうでしょうけど,高校までさんざん自立を阻害する教育(指導)が行われていて,しかもいまコロナ禍という非常事態にある中で,リーダーシップをとって面白い大学祭を作れる学生なんてそうそう出てきません。オンライン大学祭なんて未経験なんですから,もっと教職員側の積極的な介入によって,ある程度の道筋を出しておくのが大人として正しい態度なんだと思います。

とにかく,今回の件で,北星は学生支援や広報を総合的に考えて動くことについて大きく遅れをとっていることがよく分かりました。僕はできることは限られますが,今回の反省を活かして動いていくしかないのだろうと思います。

オマケ "ぼくのかんがえたさいきょうのおんらいんだいがくさい"

以下,単なる自己満足ですが,私が関われたのならどうするか書いておきます。

オンライン開催の大学祭はオンライン交流サービスをメイン会場にするのがいいでしょうね。

バーチャルな空間に大学キャンパスを作って,そこに出展してもらうことで,動画を提供するよりできることが増えます。大学祭って写真部,茶道部,漫画サークル,聖書研究会,手話研究会などのような団体だって展示なり出店なりで出ていたわけで,それらからすると,動画でなく何かを展示できるスペースがあったほうがいいでしょう。

映画研究会が作品を作ることを例にしたって,1本の動画に埋め込まれるより,いつでも見られる動画を作っておいておけるしくみがあった方が参加の自由度は増します。

私が知っているだけでもoViceSpatialChatGatherといったサービスがありますし,大学のオープンキャンパスで使われた実績もあります。

そして,雑でもいいからタイムテーブルを作って早めに出すのは必要です。今回,とにかく1か月を切っているのに全体像が見えていないことも不安をかき立てます。動画配信だけなのか,他にも何か考えているのか,大学を歩いていても(従来そういう掲示のあるスペースを見ても)何も分かりません。

最後に,地域の企業や団体(小中学校)に出展をしてもらうことも考えたいです。普段は来場者なんですがオンラインで活動が制限されているのは同じです。オンラインは地域の境界をなくすものなんですが,そういうときだからこそ地域のつながりを見直す方向に一度見直してもいいんじゃないかと思いますが,どうでしょう。

いずれにせよ,来年は実地になるかもしれませんが,オンラインになるならこれぐらいはやりたいですねえ。

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