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憧れは時に鋭い凶器になる。

僕は常に誰かに憧れを抱きながら生きてきた。

ふとそう思った。僕の人生を振り返ってみると憧れのオンパレードだった。学生時代はクラスの中心にいる人気者に憧れていたし、社会人になってからは会社で大活躍する先輩に憧れていた。スポーツ選手や芸能人に対してもすぐに憧れを抱いていた。みなさんはどうだろうか?

憧れの対象は日常に無数に存在している。この人の◯◯な所とても素敵だなあ。◯◯な所かっこいいな。こんなシーンは日常に溢れ返っている。そしてその想いはいつの間にか「憧れ」に変換されていく。そして無意識にその憧れを真似してみようとしてしまう。

僕の生活を振り返るとこのサイクルが目まぐるしく発生していた。何に対して憧れを持ったのかすら思い出せない程のスピードで、僕は次々に何かに憧れていく。 

憧れが危険で厄介なのはふと、何かの節目に自分自身について振り返った時だ。その時僕は毎回のように大きなダメージを負ってしまうのだ。

「無数の憧れに対して自分は何も成長できていない。」と。

安易な憧れは自分の身を滅ぼしかねない。最近そう思うようになった。僕は憧れに傷つけられてばかりだったから。そしていつからか、注意して慎重に憧れを抱くようになっていた。言っておきたいのは、憧れを抱く事は悪いことばかりではないということだ。正しい憧れはむしろ人生を豊かにしてくれるだろう。しかし、憧れをうまく扱えないと非常に危険なのだ。

もしかしたらこの記事は安易に読み進めない方が良いかもしれない。憧れを抱くことに恐怖心のような感情を抱いてしまう方がいるかもしれない。なので、自分と他人を比較して落ち込んでしまう事がある。という方のみ読み進めて頂きたい。

つい先程、平昌オリンピックで羽生結弦選手が金メダルを獲得した。僕はあっという間に羽生結弦選手に憧れてしまった。オリンピックという大舞台。怪我明けにも関わらず渾身の演技を披露し世界中を魅了した。その姿や会見での1つ1つの言葉に憧れてしまった。

・自分に期待していない。練習どおり自分を信じて集中するだけ。
・自分の演技についてきてくれた右足に感謝している。

これは前日の会見での言葉や、競技後に羽生選手が口にした言葉である。とても冷静で客観的に自分自身を分析している。大勢の観客が見守る中、プレッシャーに押しつぶされること無く競技していることに大きな憧れを抱いた。僕も、僕の世界の中で似たようなシーンがあった時は真似してみよう。と勝手に思考してしまった。

憧れは危険だ。冒頭でそう書かせて頂いた。だが憧れへ真の恐ろしさは、憧れを抱くことに対してではない。もう少し深いところにある。

これは最近会った友人が言っていた言葉を僕なりに解釈した表現だ。

ルフィーは絶対に仲間を裏切らないし、ゾロはどんな強敵にも必ず立ち向かっていく。凡人には困難なことも、彼らは当たり前のようにやってのける。だから読者は熱狂するんじゃないか。

仲間を裏切れば危険な目に合わないかもしれない。逃げてしまえば解決するのかもしれない。もっと簡単な解決策があったとしても彼らは自分の信念を曲げない。羽生結弦選手もそうだ。一度世界チャンピオンになっている。引退しても賞賛されるだろう。だけど、当然のように自分の挑戦をやめない。

そう、憧れの真の恐ろしさとは「凡人の努力は天才には普通である」ということなのだ。天才は無自覚に凡人の努力や我慢をクリアしてしまう。仲間を裏切らない。信念から逃げない。凡人がこれを体現するには血の滲むような努力が必要になってくる。しかし、天才はこれを無自覚でやってしまう。それも当然のように。だから僕たちは、いとも簡単に天才に憧れてしまう。でも結局真似できない。そして自分自身を蔑んでしまう。凹んでしまう。自分なんかどうしょうもないと。

そう、憧れは自分自身を傷つける可能性がある凶器なのだ。憧れの職業や憧れの人を目指して追いかけてみたものの、実際は想定よりだいぶ大変な事が多いのではないだろうか。こんなの聞いてない。想定してなかった。そう思って必死に足掻いている方が多いのではないか。僕もその一人だ。

タチが悪いのは、天才は無自覚なのだ。当たり前のように凡人の努力をこなしていく。むしろ凡人の血の滲むような努力を天才は楽しんでいるようにこなしていく。

だから憧れには気をつけたほうがいい。意識していないと、僕のような凡人はいとも簡単に天才に憧れてしまうから。そして知らぬ間に落ち込んでしまうから。憧れにもう少し注意しながら生きていかないと、命がいくつあっても足りない気分なのだ。

唯一の解決策は、自分自身の無自覚の才能の一面に気づくことだ。どんな凡人も天才な一面を持っていると僕は思う。もし、それを見つけることができれば、凡人の世界が広がっていくのかもしれない。

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