ダサいアウトプットが世に出ていってほしくなさすぎて全員分のデザインレビューをやることにした録
デザイナーの採用についての会話の中で、「リモコンをテレビに対してキッチリ並行に置くような人が来て欲しい」という話をしたことがあります。その通りにリモコンを置くような几帳面が良いということではなくて、気が済むまでこだわり続ける私の作業に付き合ってれたり、同じ熱量でデザインに向き合うような方が入って欲しい、というのが真意です。
セブンデックスのデザインDivは現在8名のUIデザイナーで構成されていて、それぞれのバックグラウンドは多種多様。その中で、私は美術大学を出た後に制作会社を経験した、ビジュアルデザインやアートディレクションを得意とするUIデザイナーです。デザイナーの多くが美術大学出身者だった会社がファーストキャリアだったので、セブンデックスはあらゆる基準に差異があるんだなぁ、ということに気付きます。
オブラートに包まず言ってしまうと、「ちょっと(私基準で)完成度が低いような?」と思う機会が多々あったわけです。前述のとおり、私はリモコンをテレビに対してキッチリ並行に置く人間なので、自分の所属する会社から自分の気に入らないクオリティのアウトプットが出ていくことに堪えられない……
ひとりひとりにベタづきで案件に入るのは無理だけど、全員分のデザインレビューはやるわ!ということになりました。クオリティ低いものが世に出ていくぐらいなら、私の時間を使ってくれ!😭😭😭という気持ちです。
デザインレビューの入り方
全案件に深く入り込むというのは時間の都合上なかなか無理なので、デザインレビューは「マクロ視点」として他者の視点を差し込むことでクオリティアップに寄与する、というスタンスでやっています。
基本的に、ミクロの視点とマクロの視点を行き来した分だけ、アウトプットのクオリティは上がっていくと考えています。ここでの「ミクロの視点」とは、デザインの細部を点で捉える視点。「マクロの視点」とはアウトプットを一歩引いて見て(俯瞰して見て)全体感を捉えることができる視点です。
今自分が作っているものの全体感を捉えられて、「何が良くて何がダメなのか」を見て判断することができればいくらでもクオリティを上げることができるはずです。ところが、マクロ視点は簡単に獲得できるものではないみたいですね。振り返ってみると、デザイナー3,4年目辺りでようやくクオリティを上げるコツを掴んだように記憶していて、そこでマクロ視点を獲得できたような。
さて、デザインレビューの入り方が確立されたところで、適切な回数・タイミングでレビューを入れてもらうのが難しい、という問題が発生します。
デザインレビューの適切なタイミング
レビュワーの私が案件に直接入るわけではないので、デザインレビューを入れるタイミングはUIデザイナー各々にお任せしています。ところが、スキルに対して十分な回数のレビュー依頼が入らなかったり、そもそもの前提から間違っているのにスケジュール的にそこまで戻ることが不可能であったりするケースが発生しました。こちらはいくらでもレビューをやる気持ちなのにな……
そこで、デザインレビューを入れる心理コストがかからず、さらにタイミングを図る能力が無くても入れることができるようにする施策をいくつか試してみました。
①スケジュールレビュー
プロジェクトまたはデザインフェーズの開始時に進行スケジュールのレビューをするという試みです。実際にやってみると、そもそも具体的なプロセスをイメージできていなかったり、各マイルストーンでのアウトプットの形が明らかでなかったりすることが分かりました。
プロジェクトの内容を大まかに理解し、想定している進め方をできるだけ具体的に聞き、進め方に無理や不足がないかを見ています。デザインのプロセスを一緒に考え、適切なデザインレビューの回数とタイミングを事前に設定しておくことができるようになりました。
②デザインレビューに名を与える
デザインレビューの回数を重ねるにつれ、レビューを入れたほうがいいタイミングの傾向が分かってきました。ならば、それぞれに名前を付けることでUIデザイナーたち各々でレビューを入れるべきタイミングを掴めるようになるのでは?というアイデアです。レビュー名は以下のとおり。登山モチーフです。
どの山?レビュー
アウトプットの方針・構想を確認するレビュー。登ろうと思っている山をいくつか提示してもらい、どの山であればプロジェクトの成功に繋がりそうか、を見るイメージです。ピン打ちレビュー
発散→収束段階で、アウトプットの方向性を確認するレビュー。登ることにした山にどうやって登るのか、登山ルートや登山計画が上手くいきそうか、を見るイメージです。コンパスレビュー
中間成果物に対して、やりたいことができているかのレビュー。登山計画に対して、正しいルートを歩めているか、道を踏み外していないか、を見るイメージです。
どうやらリモコンをテレビに対して並行に置くような人ってそんないないようで…… リモコン並行置き人間を育成してみようと試行錯誤した記録を紹介してみました。
ちなみにまだまだデザインレビューは形を変え続けています。セブンデックスらしいレビュー、ついてはセブンデックスらしいデザインを確立していきたいなと思っているところです!
我こそはリモコン並行置き人間である、またはリモコンを平行に置く素質がある、という方は是非面談に応募ください!
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