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322.まされる思い

ZINくんとの名古屋大阪ツアー、大盛況に終えられました!
見届けてくれたみなさんほんとうにありがとうございました!

ブギウギ、皆さん観てますか?
ここ1ヶ月、怒涛のストーリーで毎朝ジムでボロ泣きしながら走っている小野雄大です。あー暑いぜ、汗かいて仕方ねえなあ!フゥーッ!てな具合で。

茨田りつ子(いばらだりつこ)さんという登場人物がいますが、この人のモデルは淡谷のり子さんです。


「歌わない日はなかった」淡谷のり子(婦人画報社)という本とたまたま出会ったのは今年5月17日。「GOLDEN」の歌詞を書くのに行き詰まり、なんでもいいから「GOLDEN」に繋がりそうなものを探しに、横浜は黄金町(こがねちょう)に降りた時のこと(この安直さが行き詰まり具合をよく表している)。周辺をとにかく歩き回り、無意味に橋の鐘を鳴らしてみたりして、あー疲れたと思って商店街に戻り喫茶店に入った。すると横に男女のペアが座り、その会話に聞き耳を立ててメモを取ったわけだが、今回はその話は置いといて、その喫茶店の後にふらっと立ち寄った古本屋さんで、この本を見つけた。


タイトルに惹かれて軽く目を通すと淡谷のり子さんの生い立ちからデビュー58周年を迎える80歳までの記録がエッセイとして書かれている。

戦争真っ只中に音楽の道を駆け抜けた人はどのような人生だったのだろうと購入したこの本は、きっと生涯自分の本棚に面だしされるであろうかけがえのない一冊になりました。この本が今年の自分を動かしてくれたと言っても過言ではない。

ブギウギを観ていると、いくつか本で読んだ中に出てきた箇所が引用されるのも面白さのひとつ。

それからサキソフォンが面白いんです。“金属製先曲り音響音出し器”っていうんです。

「歌わない日はなかった」淡谷のり子(婦人画報社)


英語を禁止されたシーンでサックスの言い換えだけがフィーチャーされていました。

また、ブギウギでも印象的な茨田さんの警察への抵抗のシーン。それも読んだ時にあまりの迫力にゴクリと音がなったかのような緊張感で。長いけど、とても好きな部分なのでそのまま引用。

まあ、留置場へ入れるぞって、なんべん言われたかわからない。でも、怖くなかったですね。こんな戦争じゃ、どうせ生きてはいられない、いつかは死ぬんだって覚悟決めてましたからね。捨て身だから何も怖いものはない。なんと言われようと、ドレスを着て、口紅つけて、エナメル塗って、歌ってたんですから。
もう半ばやけくそですから、したいことはしたいようになんでもやる。周りもあきれていましたね。
あの時代が私の生涯の中でももっともふてくされていた時代だったのではないでしょうか。フン!てなものでしたね。命投げ出して開き直っちゃったから、なんにも怖かない。軍の脅しや、軍国調一色の世の中に、できるだけ抵抗しましたね。だってくやしいじゃありませんか、いやいやながらでも、自分の意思に反することを、言われたからってその通りにやるなんて。だからおしゃれひとつにしたって、「贅沢は敵だ」っていうビラを幾度つきつけられようが、何枚始末書書かされようが、不自由ながらもおしゃれをし通したんです。これは私の“戦争”でした。たったひとりの戦争だったんです。
だから私は最後までステージではドレスを通したし、モンペなんか一度だってはかなかった。防空頭巾だってかぶらない。死んだっていいんだから。爆弾が落ちて死んだ時にモンペはいてたんじゃ、私の美意識が許さない。反抗に反抗を重ねていました。若いからできたんでしょうね。それに私、“じょっぱり”でしょ。言いたいことを言うから、すぐ「ちょっと来い」。私は「どこへでも行くわよ」って、こうでしたね。

「歌わない日はなかった」淡谷のり子(婦人画報社)



自分たちが過ごしてきたコロナ禍。状況はまったく違えど、表現という道の上で、自分が取った行動は正しかったのか、考え直すことができたような気がする。もしまたコロナ禍のような状況になっても、きっと同じような判断と行動をするだろう、とは思うものの、この本を読んだあとでは、自信を持って進めそうな、そんな勇気をもらえる気がする。

自分には想像できない凄まじい環境下で、信念を持って進んできた姿勢にもはや語彙を失い「すごいな・・・」と驚くばかり。


中には、淡谷のり子さんらしい厳しい批評もあるけど、それもまた背筋が伸びるような心持ちで読み進めました。

そしてこの言葉に出会いました。

「本当の歌なんて30歳を超えないと歌えないんだから」

「歌わない日はなかった」淡谷のり子(婦人画報社)


この言葉に会えただけでもこの本を読んだ価値がある、と言えるくらい、自分にとって重要な言葉に。


そして最後の章が「いまだ歌いきれず」なんだからもう参っちゃう。
80歳までそんなエネルギッシュでいられるものかなあ。
いつまでも音楽を作りたいし歌いたい気持ちはあるけど、自分はどんな道を歩んでいくのか。

とりあえずこの本をバイブルのようにして、日々自分に喝を入れてもらいながら目の前のことに真剣に取り組んでいきたい、という話です。

12月のライブはありがたいことに全公演ソールドアウトとなりました。
そして本日、1月7日の新年ライブもソールドアウトに。

日記を読み返していると、今年の1月のライブとかは「お客さんがひとりだった」とありました。

たくさん曲を作りました。
年内残りのライブは新曲発表会です。
お楽しみに!


世界からすべての紛争・戦争がなくなりますように。

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