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いつも今まで271.形になる


昔、人と話すことが苦手だった。言葉が出てこなくって。
そんなことを思い返した。
改めて自分のことも見つめ直せる3日間がありました。
時間が少し経ったけど、鳥取岡山の3日間の遠征を振り返る。

3月19日@鳥取takemuratei
新大阪から鳥取行きの高速バスに乗り換える。
用瀬(もちがせと読む)パーキングに予定より10分遅れて到着。山の中のパーキングエリアで、眼下は谷、わたあめみたいな雲が遠く目線にふわふわ甘そうだった。
今夜の会場であるtakemurateiの竹村さんが車で迎えにきてくれて、パーキングから車で10分くらい行ったところ、東用瀬駅という木造の単線無人駅の近くまで。大きな用水があって、その用水沿いに立ってる木造の建物がtakemuratei。

入口の黒板にでっかく「小野雄大ワンマンライブ」と書いてくれていて、メッセージがあって、その時点でもうあったかくて嬉しかった。



中に入って竹村夫妻としばらく談笑した。takemurateiはカウンターと、3つ4つのテーブルがあって、ステージになる小上がりみたいなところにハンモックが吊るされていた。「名古屋に住んでた時に〜」とこれまでのことを話してくれた。「ハポンの2階席がすごく好きで、あれをイメージした」という言葉通り、ステージの上は天井が高くて吹き抜けになってた。2階席から見下ろせる、まさしくハポン。全体的に木の自然な色で統一されてて、とても素敵な会場。生のギターの音が、よく響いた。




2階席の奥に8畳くらいの居間みたいなところがあって、そこが控室。こたつであったまりながら、ご飯をご馳走になった。ガイヤーンというタイ料理なのかしら、生春巻きと、そぼろの餡と、お米に、照り焼きなのかな、鶏肉が乗っかってて、炒めたのか茹でたのか、もやしがまた食感としていいアクセントで、本当に美味しかった。

ライブは約1.5時間くらいやった。生音で、しかも生歌で、でも全然、全体にちゃんと響くような感じ。お客さんもたくさん来てくれて、物販も買ってくれて、投げ銭もしてくれた。それがとても嬉しくて。良かったという言葉は一番嬉しいな。いつになっても。

ライブ後は子どもたちも混ざっていろんな話を聞かせてもらって(人見知りしないよく喋る子たちだった!)釣りの話や魚を捌いた話、習い事の話とか、たくさん聞かせてもらった。

「また秋頃に来させてください」って約束して、明日からお世話になるtiesmusic土井さんに送ってもらって津山の土井家へ。土井さんは竹村さんが作ってるどぶろくをもらってた。あれも本当に美味しかったなあ。




土井宅にお邪魔してから、改めて飲み直し。気づいたら6時だった。あの時は、本当に時間が飛んだような感覚だった。
ふたりでいろんな話をした。

3月20日@津山地味庵
起きてからはこどもたちと遊んだ。ボール投げ合いっこしたり、駒回し教えてもらったり、ベイブレードしたり。末っ子ちゃんは恥ずかしがって喋ってくれなかったけど、気にしてくれてる感じがまた可愛かったなぁ。土井さんは頭痛いって言っててワロタ。

今夜は津山地味庵。ジミヘンが好きな店主さんのお店みたい。土井家から車で10分くらいいったところで、見た目はカフェバー。2階に登るとステージがあって、丸テーブルが5〜6個あって、椅子が置かれて20席くらいなのかな?30席くらいあったかもなぁ。

リハーサル時に自分のギターの不調に気づく。いろんなところに連れ回したから、ガタがきているのかもしれない。
詰まったような音がするのと、変な高音が耳につく。

オープニングアクトに津山の吉田省吾さん。そのあと自分が40分を2ステージ。新曲も交えながら、長尺のステージを思いきりやった。
3年前、津山に始めてきたときに来てくれてたお客さんもいた。
とても嬉しかった。
こういう時、今日のステージをどうしよう、と悩む時がいまだにある。
そして結局自分のできる最大をただ出すしかない、と思い至るわけだけど、その瞬間は好き。
でも、ちょっと前まで今までずっとそんな自分が嫌いだった。

また昨日とも空気も違くて。3年ぶりにみてもらった人、岡山市で知り合って津山に聴きに来てくれた人たち、自分の音楽が好きで弾き語りの練習してくれてる中学生の息子とお母さん。バンドやめた時に音楽やめようと思って、そしたら「ロードムービー」をyoutubeで見て、弾き語りを始めたと言う広島から来てくれた若者。久しぶりとはじめましてがたくさんあって、これまた嬉しい日だった。

終わった後、駅前まで行った。そのあたりの居酒屋も、駐車場も、カラオケも、覚えてた。

土井さんの身近な人たちと少し飲み会して、みんなで写真撮って、楽しい夜だった。

明日はとうとう最終日。
体の疲れは感じるけど、調子がいい!さあ、頑張るぞ!

3月21日@真庭エスパスセンターEスタジオ
10時半に出ると言われていたので、大体9時半頃に起床。
土井さんのお母さんから赤飯いただいた。ごちそうさまでした。美味しかった。
「東京」が好きだと言われて、これはリクエストに答えねば、と思った(笑)

こどもたちと会場まで向かった。
自分の小学生の頃の話になって「雄大くん面白いね」と言われたり、年齢をお父さんと比べられて「若いなぁ」と言われたり、楽しい道中。もう大人なんだね。

エスパスに到着して、楽屋に通される。出た!個室楽屋!最高!シャワーもあった、あれどうやったら使う時間作れんだろ笑
いつか自然に使えるようになりたい。

ケータリングにお菓子やお弁当、コーヒーが完備!ties musicさんの配慮がありがたい…。
譜面台もあり、これはいい楽屋。快適すぎる。1日ここで過ごしていたい。

エスパスセンターは真庭市の建物。ここのスタジオも天井が高い。50着席の会場でグランドピアノがある。ステージはフラット。吸音材が効いているような、レコーディングスタジオみたいな響きの場所。

楽屋に戻り弦を変え、物販を準備。外はもうケータリング部隊が準備を終えていて、ハンバーガーや鳥取でお世話になったtakemurateiが出店していた。子どもたちの笑い声がキラキラ。

優芽ちゃんという小学5年生の女の子がいる。土井さんから話を聞いていた。今日のカメラマン。
「ぼくは優芽ちゃんと契約した」という土井さんの心意気がとても素敵だと思った。

お母さんと一緒にいた優芽ちゃんに、自分の名刺を渡した。土井さんが契約したのだから自分のカメラマンでもあるから。
自分としては敬意を示したけれども、変なプレッシャーを与えたかもしれないとちょっと後悔した。


photo by 優芽

本番が始まって、島崎さんのライブを見ながら、楽屋に戻り身体を入念にほぐした。喉も大丈夫そう。

島崎さんにアンコールのお願いをした。
「蓮根模様を一緒に歌ってもらえませんか」
というオーダーに快く首を縦に振ってもらえた。
練習できなかったのは不安だったけれども、楽しんじゃお!と思った。

自分の出番がきた。土井さんに開けてもらったドアの向こうに、たくさんのお客さんが座って待っててくれた。
途中、マイクを外してギターのボリュームを絞ったりした。アンコールをもらって、「最愛」、島崎さんを呼び込んでの「蓮根模様」を歌った。

photo by 優芽

優芽ちゃん、撮影してくれてありがとう!


久しぶりにその場で合わせるみたいなことをして、とても楽しかった。噛み合わないところもあったけど、それが良かったと観ている人は言ってくれた。

その時の様子を島崎さんが撮っててくれました。


終わった後の挨拶や物販の中で、いい日、いいイベントだったと振り返ることができた。
tismusic土井さんのおかげ、そして土井さんの周りのみなさんのおかげ。

みんなで!
小野、tiesmusic土井さん、島崎智子さんの3人で


打ち上げを津山駅前で、島崎さんと土井さんと3人で。
たくさんの話を行き来した。今までの自分達の人生を自己紹介していくような飲み会だった。

別々の場所で生まれた泡粒が、気まぐれな潮に流されてゆるやかにぶつかって一緒くたになったみたいだった。旅の終わりを告げる酒は寂しさも相まって格別に酔った(笑)

島崎さんの話を聞きながら、島崎さんに話を聞いてもらいながら、また泡粒が分かれて、でもその泡粒の形は話す前とではちょっと変わっていた。

素のままの自分を認めることができるというのは、きっと、素のままの自分を愛せなかったことがあるから生まれるものだと思う。

まだ自分はそれがうまくできないと思う。
だから開けっぴろげな自分にはなれないままで、少しずつ何かとぶつかって形を変えながら、また違う潮に乗って流れていく、というのを続けている。

水面はまだ遠く、光は見えない。でもちょっとずつ、ちょっとずつ、浮上している実感はある。
周りの人たちのおかげで泡粒を集めることができている。

2020年末に久しぶりに会った先輩に、
「小野は人に会ってこそ創作に繋がるんだろうね」
と言われたことがあった。

確かになーとその時は思った。
人に会えない今、思うように音楽が作れないのかもなあと思っていたこともあった。

少しずつ、いろんなところに行って、
色んな人たちにお世話になって、物販に立って、自分の音楽を求めてくれる人たちに巡り合って、とってもありがたかった。

世界を変えるわけではない。
誰かに自慢できるほどの知名度もない。
でも、確かに自分の音楽によって何かを得てくれている人たちが存在した!
それだけで、自分は今も音楽を作り続けることができている。

自分は歌という表現をしているけれど、誰かの普段の生活で、何か糧になるようだったら嬉しい。
この前は、お客さんのお子さんが「nylon」を歌ってくれていることを先輩に話ていたら、
「その子たちが大人になってさー、好きな子ができてさー、公園で友達と話しながら、この気持ちってまじnylonだよなーって話してたら熱いよな」
って言ってくれて、そんな想像をしたら、とても報われる気持ちになった。

誰かの、うまく言えない気持ちを、自分の言葉によって代弁できるとしたら、それはソングライター冥利に尽きる、ということだろうな。

今日、3歳の甥っ子たちの相手を1日して、この子たちが自分の年になった時、自分は60歳を超えているということを考えて、やっベーと思った。

Thanks for
takemuratei
ties music
土井家のみなさん

魂の底から楽しい3日間でした。

さて、これからもライブが続きます!
4月は東京、名古屋、京都にて!
配信もありますよ!
HPからご確認ください☺️
https://ydon79.amebaownd.com/

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