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2024年埼玉ネウロズでのスピーチ

 今年のネウロズでスピーチがありましたが、トルコ語のスピーチだったので現地にいた人や映像を観た日本人は内容がわからなかったという声が上がっています。録音を元に、トルコ語話者の協力を得て翻訳しました。ここには敢えて私の見解は載せないことにします。以下全文です。

トルコ語によるスピーチ

 親愛なる皆さん、そして日本の友人の皆さん。厳しい冬を乗り越え、再び桜の花が咲くのを目の当たりにしています。はじめに、自分たちの土地で生きるのに苦労しているクルド人たち、そして今日ここに来てくれた日本の友人たちと共にネウローズの日を祝いたいと思います。昨年の2月、我々の都市で悲劇的な地震が起こった時、日本の友人たちは我々を助けて苦痛を和らげてくれました。このことについて、日本の友人の皆さんにはとても感謝しています。石川県の地震で被災した日本の友人たちを助けることは、我々の義務です。

 親愛なる友人の皆さん、ネウローズは単なる春の訪れではありません。悪からの救済の象徴でもあります。鍛冶屋カワの伝説によると、3月21日は独裁者ザッハークを打倒した日です。クルド人は独裁者たちによる抑圧に苦しんできたので、毎年の春は我々にとって自由の意味合いがあります。今日、クルディスタンとパレスチナの子供たちの血が中東全土に広がっています。アラブ人、トルコ人、クルド人、ファルシ人(訳註:イラン人)を含むすべての国民が平和で自由に暮らせることを願います。

 日本に住むクルド人である我々としては、日本社会が広島と長崎で苦しんだことを知っています。そして、それが再び起こらないことを願っています。我が日本の友人たちは、我々が日本にいる理由を知るべきです。それは、我々の土地に自由と平和がないからです。今日(訳註:の世界には)、戦争、政治的理由、独裁政権などで自国を離れた人々が約1億人います。このような事情が我々をここ、蕨市と川口市に来させたのです。

 親愛なる友人の皆さん、我々の中にはここに30年近く居る人もいます。根本的な理由は中東の「クルド問題」です。自分の土地を離れて難民になりたいと思う人は居ません。そこに存在する土壌を離れたいと思う草は一本もありません。しかし、奴らは我々を我々の土地から引き離したのです。

 親愛なる友人の皆さん、ご存知の通り去年に、川口市のクルド人に対する怖いデマ・プロパガンダがSNSで拡まりました。それは段々危険になってきていて、奴らは、我々と蕨市と川口市の隣人との間の平和を乱したいわけです。昨年から、ネトウヨ数名が、朝から晩まで、ぬくぬくとしたところから我々に対するデマ・プロパガンダを捏造しています。彼らのヘイトスピーチは、まるで暗雲のように我々の子供たちと女性たちを追いかけます。私たちの女性たちは、どこか買い物に行くときにはいつも「カメラで見られているのではないか」という感覚を持っています。人種差別主義者のカメラは、我々の頭に向けられた銃のようです。我々はいつも殺害予告を受けます。我々の家や職場の電話は、毎日殺害予告で忙しくなっています。

 この言葉による暴力は、身体的な暴力と同じですよ。違うのは目に見えないというだけのことです。我々は心底傷ついています。我々がどれだけそういうのから逃れたいと思っても、学校の子供たちや通りの女性たちは、こういう言葉の暴力に直面するのです。

 我々や我々の子供や女性、職場の写真を撮る奴らは、これから我々に起きることについて責任を負えよな。そういう奴らがクルド人が川口市と蕨市で危険を引き起こしていると抜かすのだ。違う!我々はここで30年間平和に暮らしてきたんだ。本当に危険なのは、人種差別主義者やヘイトスピーチを吐く奴らだ。我々は自由がない中で我々の土地を離れなければならなかったんだ。奴らに言わせれば、高々2千人のクルド人が大問題を起こしていて、日本に適応できていないというのだ。こういう奴らは単にクルド人と敵対しているのではなく、日本に対しても敵対しているのだ。

 クルド人の数は非常に少ないし、難民の地位もくれないんです。我々の中には10年から20年もここに居るのにまだ仮放免の人もいます。我々は何の利益も得られません。しかし、ヘイトスピーチを吐く奴らは、我々が仮放免でいることすら許しません。

 我々クルド人は、世界中どこに行っても平和と文化を運んでいます。クルド人には世界中に広まった言葉があります。「ジン、ジーヤン、アザディ」(訳註:女性、生命、自由を表すクルド語のスローガン)。そして、ここでもご覧の通り、我々の女性、子供たち、男性たち、お年寄りたち、そして日本の友人たちは、春の色で調和を作り出しています。我々クルド人が30年間ここで生活してきた中で、我々の文化と日本の文化をうまく混ぜ合わせてきました。我々は日本人と結婚し、日本人と親戚になり、友人になり、協力しました。我々はただ平和、自由、そして男女平等を要求しているだけです。我々は何の土地も誰のお金も要求していません。

 親愛なる友人の皆さん、日本を照らす太陽とメソポタミアを照らす太陽は同じです。この運動のために、人種差別主義者に対して私たちと共に立ち上がる日本人に感謝しています。私たちは希望に満ちた人々です。私たちは平和を愛する人々です。だからこそ、私たちは冬の後には必ず春が来ると信じています。

 平和万歳、春万歳、国々の友情万歳、ネウローズ万歳!

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