『猫を棄てる』読了後に考えたこと
自分という存在があいまいになっていく感覚を知っている。いちばん幼い記憶の中それは、何処かの山へ行った時に体験したように思う。
私は生まれも育ちも大阪だ。母は大阪商人の家に生まれたが、18で大阪に出てくるまで北九州の海に近い田舎で育った父は、大阪に居ても自然の中に行くのが大好きだった。正確には可能な限り自然の中に戻りたかったのだと思う。
休みの日はいつも父の運転する車で家族で人里離れた場所へ出かけた。自然が好きなくせに父は車でしか出かけない。なぜなら彼は自分の運転する車以外