マガジンのカバー画像

『八本脚の蝶』をゆっくり読む

9
運営しているクリエイター

記事一覧

『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 8

2001年6月24日(日)

この日は都議会議員選挙が行われていたらしい。奥歯さんが行ったのはこれだと思われる。髪を染めたのは、たまたまこの日に髪を染めただけなのか、もしくは投票という場に対して相応しいと考える髪の色にするべく髪を染めたのだろうか。選挙については当然詳しくは書かれていないが、髪を染めるという行為によって選挙への意気込みを感じる一文になっている。

奥歯さんは非常に幼い頃から本を読み

もっとみる

『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 7

2001年6月23日

奥歯さんは、彼女の哲学を行う姿勢について以下のように書いている。

「涵養(かんよう)させ」るというのは聞き慣れない言葉だった。コトバンクを見てみる。

「涵」という言葉にはひたすという意味があるようで、彼女が言おうとしているのは、過去の哲学者の考えというものに自分の持つ考えをゆっくりとひたすように溶け合わせていき、その結果として得られた何かを、自分の口から流れ出させたい、

もっとみる

『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 6

2001年6月21日エルメスのバーキンとケリーという鞄について。まずもって全く縁の無いものであるため、適当にググった時の一番上の記事を読んでみる。

「ケリー」はもともと「サックアクロア」というバッグでした。サックアクロアは”乗馬サドル”を収納するバッグとして、1936年に発売されました。

この日の日記の一番最後に乗馬鞭が出てくるのだが、繋りがちゃんとあることに驚いた。エルメスの wiki を読

もっとみる

『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 5



2001年6月21日
「なにがあるのかについて」は上記論文集の内の、ひとつの論文のタイトルらしい。日記のどこかにあったはずだが、奥歯さんはどこかの哲学科を出ていたはずで、日常的にこのような本や論文を読んでいたのだろう。
 この論文集を買って読んでみようかなと思ったところ、Amazon の在庫が切れていた。ああそういえばと、 Amazon では今食料などの日用品の準備に重点を置くために、それ以外

もっとみる

『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 4

2001年6月19日

日記の4日目にして自死に関する話だ。

名前が出た「青山正明」については、調べてみると中々に凄い人であった。ここで簡単に紹介するのも難しかったので、どのような人であったかは以下の Wikipedia を一読してみて欲しい。

この日の日記を何度目かに読んだタイミングで、「気が済んだ」から自死を選ぶという考え方があることに驚いていた。自ら死を選択することを、無意識に逃避のよう

もっとみる

『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 3

2001年6月18日

画像は上記公式サイトより。

こちらの画像も上記引用記事より。アノマロカリスについては折角の機会ということで色々読んだので、おもしろかった記事を一つ貼っておく。この記事では古生代カンブリア紀における海での「生命史上最初の“覇者”」というような表現をされている。ただし、他にも「現生のエビの柔らかい殻すら噛み砕くことができない」としている研究成果もあるようだった。

この日の日

もっとみる

『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 2

2001年6月14日
『白昼艶夢』朝山 蜻一(あさやま せいいち) :未読

肉体的・精神的な拘束を主題としたサディズムとマゾヒズムの世界を描く作品を多く発表し、マゾヒズムミステリというジャンルを確立した

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E5%B1%B1%E8%9C%BB%E4%B8%80

おだやかに波のうちよせる入江の砂浜で、若い女の白骨死体が

もっとみる

『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 1

2001年6月13日奥歯さんが本の取り置きを頼んでいたアルバンというお店は現在は無いらしい。「軍事系洋書および軍装品専門店」すごい世界だ。

アルバン - かつて東京都渋谷区に存在した軍事系洋書および軍装品専門店。洋書、実物軍装品の他レプリカ軍装品の製作販売も手掛けた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%

もっとみる
『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 0

『八本脚の蝶』をゆっくり読む - 0

これまでに読んだ本の中で、受け取ったものの量が人生で最も多いのは間違いなく『八本脚の蝶』だ。

この本についてこの本は、著者である二階堂奥歯さんが、2001年6月13日から、亡くなってしまった2003年4月26日までのブログ(Web日記)を本にしたものだ。そのブログに関しては現在も以下のリンクで見ることができる。

2006年1月1日に単行本版がまず発売され、先月2月6日には文庫本版が出版された。

もっとみる