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【数理的溢れ話4パス目】11返しの法則からネイピア数へ?

荒川弘の漫画「鋼の錬金術師師」最終27巻に「11返しの法則」なる考え方が登場します。

10進数における最小限の増減結果は「9」ないし「11」で表現される。

N進数における「11」の意味

まずはN進数の考え方から出発しましょう。とりあえず基数(N進数におけるN)をN、各桁m事に与えられる0からN-1にかけての数値を$${a_{±m}}$$、与えられた整をY、位取り範囲外の切り捨て値(残差)をeと置くと以下の様に推移します。桁の呼称に独特な形でのヒュースステリックな歪みがある点に注意してください。

$$
Y=(a_mN^{m-1}+…+a_{+2}N^{+1}+a_{+1}N^0+a_{-1}N^{-1}+…)+e
$$

演算的には前処理の残差$${Y_m}$$をその桁の基数$${N^{m-1}}$$で割り、結果として得られた商をその桁のパラメーター$${a_m}$$に設定して、剰余$${Y_{m-1}}$$を後処理に引き渡し続ける再帰処理となります。残差が0になるか、想定最低桁数に到達したら演算終了。

上掲説明のアルゴリズム

こうした考え方に基づいて「1よりちょっとだけ小さい」「1よりちょっとだけ大きい」の概念を数学的に表現すると前者が$${1-\frac{1}{n}}$$、後者が$${1+\frac{1}{n}}$$となります。以降はこれで考えていきましょう。

ネイピア数への到達

N進数は冪級数(Power Series)の一種であり、調和級数$${1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}…}$$と異なり無限に発散するどころか1≧0.99999…という形で収束する事が知られています。

基数の増大に伴う「1の和」の収束点の変遷

よく知られた十進表記もまた冪級数の例と見ることができる。係数は整数であり、引数 x は 1/10 に固定されている。数論における p 進数の概念もまた冪級数の概念と密接に関係している。

上掲Wikipesia「冪級数」

そして良く考えてみると「10受け取った人間が返した11が次の人の10となる」なる考え方は複利計算$${(1+\frac{1}{n})^n}$$概念そのもの。

複利計算論としては「元手1が前期は0で時期は2となる様な単利展開を、複利計算導入と期間細分化によってどれだけ改善出来るか?」といったアプローチとなり、ネイピア数e(2.718282)は、そこに増率の上限として登場する。

「微分結果が線型式y=x+1の接線となり、その結果として微積分の結果もe'=e、$${\int_{-∞}^{+∞}e^xdx=e^x}$$と不変な」自然指数関数は、どちらかというと「達成すべき努力目標」というより「正方形を二つに分割する対角線としての線型式y=x」の様なある種の基底の一種に見えます。

ネイピア数とは「何か?

ひょっとしたら、これ全体像としては「赤の女王仮説」で「さらにそれ以上を返し続ける」のが「11返しの法則」という展開を示唆しているのでは?

そこまで考察が到達した時点で、以下続報…

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