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落語を聞きに行った話


4/20〜4/23東京は三鷹にある武蔵野芸能劇場にて、普段は舞台女優や声優を務める八人による『麗和落語』が上演された。

自分は4/23の12時からの回に参加し、演目と演者は以下の通り。

・夢幻泡影……西葉瑞希
・祭囃子……中村カンナ
・月に叢雲、花に風……田嶌紗蘭
・爪紅……西葉瑞希×中村カンナ
・零……田嶌紗蘭×横道侑里

目当てはもちろん西葉瑞希さん。
舞台を中心に活躍する彼女ですが、以前にも同じ制作による『染唎笑落語』で落語を披露しており、約1年半ぶりとなった。

落語は噺家が扇子や手拭いを用いながら、ひとりでふたりにも三人にも演じ分けながらその登場人物たちの会話で話を進める。身振り手振りで面白おかしく演じながら、時にはその心に訴えかけるように、噺の最後にオチを付けて締めることが多い。

『時そば』『芝浜』『死神』など、落語でも有名な演目は多い。この『麗和落語』ではそういった古典落語などではなく、オリジナル現代落語となる。

夢幻泡影……西葉瑞希
朝から仕事があるのにも関わらず、目が覚めればもうお昼前で大遅刻。出社すると当然社長には怒られて「クビだ!」と言われる始末。
どうしたら遅刻せずに済んだか。電車通勤でなければ、家が近ければ、空が飛べたらーーと、段々と話が飛躍していくもしもが続く噺。

人は誰だって失敗をするもの。それをしないためにもしこうだったら、とシチュエーションがどんどん変わっていく。その変わっていく場面転換の合図に手を「パン!」叩くのだが、その何気ない仕草がオチに繋がっていたり、誰しも一度は考えたことのあるであろう出来事を教訓めいたまとめ方もしており、とても良く出来た話だったと思う。

この回のトップバッターである西葉さんは、観客がリアクション良く笑ってくれるのか、はたまた静かに笑う感じなのかわからない中で、自分たちのペースに持っていこうと小話から拍手や笑う練習など、観客の空気を自分たちのものへと変えていた。

以前演じた舞台や『染唎笑落語』においても、西葉さんは観客たちを自分のペースに持って行くのが上手な方だなと思う。

舞台で活躍されている方なだけあって、全身を使いながら、台本に載っているのかわからないアドリブのような一言をボソッと呟いて観客たちの笑いを誘ったりと、聞いていてとても面白かった。

あと袴姿がめちゃんこ可愛い。袖から出て来た瞬間「うわ、めっちゃ可愛い!!」と思わず頭を抱えた。開演前に買ったブロマイドやアクキーは帰ってゆっくり眺めようと思う。

祭囃子……中村カンナ
歌手デビューを目指すが、誰も評価してくれるものはおらず、路上ライブとアルバイトを繰り返す日々。そんなある日、猫が落としていった笛を吹いてみると、今まで見向きをされなかったのにみんなから注目されるようになり、瞬く間にメジャーデビューを果たすこととなる。憧れのタワーマンションでの暮らしなど今までの生活から一変したが、みんなが注目しているのは拾ったこの笛だと気付き……そんなお話。

中村さん何がすごいってとても表情豊かというか、もう全力で表現されるんですよね。噺としてはひとりでお風呂入るために着替える場面なのだけれど、まるでそこに居合わせた相手に語り掛けるように、観客に向かって語り掛けて観客から笑いを取ったり、すごいパワフルだったなーと思う。

月に叢雲、花に風……田嶌紗蘭
仲良し六人組が休みを合わせることが出来たので、どこに行って何をするか旅行の計画を立てようとヨーコたちは話し合うのだが、天然なハナに振り回されてしまう噺。

『かくかくしかじか』に通じるものがあるなーと思って聞いていましたが、あれも確か登場人物の名前やキャラが同じなので、もしかしたらモチーフとなった作品が同じ作者なのかも?

天然なハナとそれにどんどんツッコミを入れていくヨーコ、というひとり二役を演じないといけないこのお噺だが、話し手である田嶌さんはテンポ良くそのふたりの掛け合いを演じていた。

爪紅……西葉瑞希×中村カンナ
イケメン上司に仕事を頼まれ、何とか自分の手柄を立てようとふたりの女がぶつかり合う噺。

西葉さんと中村さんふたりでコミカルな動きを交えつつ演じていらして、何というかふたりとも座布団の上には座っているんだけど、落語の演目ってこと一瞬忘れそうなぐらい全身を使って表現されていて、このふたりのアドリブ劇とかめちゃくちゃ面白いんじゃないかと思うし、見ていてとても楽しかった。

零……田嶌紗蘭×横道侑里
家族のいないイチカは人型ロボットの零号と暮らす。昔いた施設では「ブス」だとか「あんたがいると周りも暗くなる」だとか散々言われ、それによって人も自分も嫌いになっていた。そんなイチカに対してロボットである零号がーーという噺。

ロボットである零号を演じる横道さん。ロボット故に無表情で機械的に話すのだが、話が進んで行くうちに、人のようにイチカに語り掛ける場面があるのだが、そのロボットが人になるように話し方や表情が徐々に変化していくその様がすげーなと感じた。

何というかぬる〜っと変わっていくのがほんと上手くて、『染唎笑落語』でも一度観た演目ではあるのだけど、久しぶりなのもあってかとても新鮮に楽しむことが出来ました。

落語って面白いなと思います。
単純な話の面白さってだけでなく、座布団に座り、表情や身振り手振り、話す声や間の取り方などで人を笑わせる技法だったり、同じ噺でも噺家によってその面白さってのも異なると思いますし、目でも耳でも楽しめるその幅広さ奥深さがあるなーと。

オンラインでの配信がcoming soonになっていますし、カメラも入っていたので後日公開されるかと思いますので、もしこれ読んで興味持ってくれた方は配信を見てみてください。

今後の予定も新しく追加されたのでその中で推しや気になる人がいれば、それもまたぜひ!!

https://www.reiwa-rakugo2023.com

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