2分の1成人式

噂では聞いていたけれど、まさか自分に降りかかってくるとは思わなかった。子どもは4月生まれなのでとっくに10歳になっていたから、予測はできたはずなのだ。

他人事として聞いていた頃、子どもを何歳かになってから養子にし、可愛がっている夫婦の話などを聞いた。すべての人が、その子どもの赤ちゃんからのことを振り返ることができるわけではないと知った。

こういう儀式はいったい誰のためにするのだろうか。10歳の子どもに、これまでの感謝をしてもらおうなんて露ほどにも思わない。別に今巣立つわけでもない。

プリントを見る限りそう大がかりにするものでもないらしいので、気軽に書くことにした。しかし、もう名前の由来から困った。完全にノリで付けただけだからだ。みんなこんなことを書かされるとわかっていて名前をつけたんだな。なんと賢いことでしょう。とはいえ、こういう時に取り繕いそれっぽく見える術を心得ているのだ。私って大人になったわ。よし、できた。

次はええと、何?どんな赤ちゃんだった?何歳のときはどうだった?ううむ、まあ、ほんとよく泣く超マザコンの、2時間とまともに寝かせてくれない子だったよ全く、乳ピアスとまで言われたわ、こっちはほんとどうなることかと、ということは書かず、1歳時にピースが出来たから2歳とサバを読んでいたとかいう微妙にほっこりするようなしないようなエピソードを添えつつ、

どんな子になってほしいか。来たよ。そんなの親が願望を言ってしまって影響を受けてしまったらどうする気だ。物事には常に両面あることを忘れてはいけない。

べつにない、と書いた。もうじゅうぶんにいいこだから。



ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?