生きることがつらい人向け・日々の生活スモールステップ集

「できていることを考えよう」とか「スモールステップ」とかよく言われますが、「どのくらいスモールならスモールステップと言うのか」については非常に曖昧だと思います。どのくらいのレベルのことなら「できていること」にカウントしていいのか、自分を評価するのにどんな基準を使えばいいのか、という悩みがある人はいると思います。私も、過去にそういった内容で悩んでいた時期があります。

今は「自分のできていることに合わせた目標設定を」と思っているのですが、その「自分のできていること」を把握するためのスモールステップ集を、普段の生活から書いてみました。病気等で仕事をしておらず、精神面の理由で生きることがつらいと感じている人向けです。

ちなみに、この記事は、以前書いていたブログ(削除済)から復刻して少々書き改めた記事です。

基礎編

・今日1日生きた
「そんなに低い段階からで大丈夫なのか!?」と思う人もいるかもしれませんが、「1日生きる」というのが私は究極のスモールステップだと思っています。死にたい気持ち(希死念慮、自殺願望)に苛まれている人なら余計に「1日生きる」ことは大変です。生きることに何かしら困難さを感じている人にとっても、そうでない健康な人にとっても、「1日生きたこと」は「できたこと」に数えていいことだと思います。

・充分な睡眠を取れた
朝型生活が望ましいとよく言われますが、必ずしも朝型生活にこだわる必要はありません。まずは、時間帯は問わずに充分な睡眠をとれるかどうかです。精神的に不調な状態のとき、特に睡眠は重要です。私はうつ病の状態がひどかったとき、寝不足の日は前日より明らかに精神状態が悪化していました。まずは、生活時間帯を意識するよりも充分に眠ることが重要だと個人的には思います。安定した睡眠リズムを保てるようになってから、生活時間帯の修正をする必要があれば修正すればよいと思います。

・充分な食事ができた
こちらも、無理に1日3回食べる必要はないと思います。長期的に食事が少ないと栄養失調になってしまいますが、強いストレスを感じているときなど、食欲が全く湧かないケースがあると思います。そういうときには、ほんの少しでも食事ができれば充分でしょう。徐々に適切な量に調節していけばいいと思います。(摂食障害がある場合はまたちょっと事情が変わってくると思いますが)

・薬を医師の指示通りに飲んだ(病気の療養のためなどで薬を飲んでいる場合)
薬は、医師の指示通りに飲み続けて初めて正しい効能を発揮します。食事や睡眠のリズムが乱れている場合、薬を飲むペースも正しく保つのが難しいことがあります。ですが、薬は多少無理をしてでも医師の指示通りに服用するように心がけましょう。それがしっかりとできたときには、自分を評価してよいと思います。

基礎プラスアルファ編

基礎編がばっちりな方向けの、プラスアルファです。

・身体の衛生保持がある程度できる
これも完璧である必要はありません。
・歯磨きが1日1回だけならできる
・お風呂には入るのが難しいけど下着は適宜着替えられる
というような段階からで問題ないです。毎日でなくても、数日に一回でも構いません。自分にとってほどよいペースから始めましょう。
精神的に強いストレスがあるとき、身体衛生の保持は難しくなります。「毎日お風呂に入らなくてはいけない」と考えると、入ることができなかった日に自己否定感があるかもしれません。1週間に1日しか入浴できないとしても、何年も入らないよりは遥かによいはずです。
ただ、虫歯などになってしまうとつらいですので、歯磨きはなるべくしたほうがいいと思います。(虫歯になったのがきっかけで引きこもりから脱出したという例も何例か知っていますので、虫歯になることが悪いことだとは限らないのですが、痛いとしんどいですよね)

応用編

基礎編をちょっとグレードアップした感じです。この辺がある程度できていると、作業所通所なども不可能ではなくなると思います。既に通所している場合には、体調に応じて日数を増やすことを検討してもいいかもしれません。

・前の日と同じ生活リズムを維持できている
朝型か夜型かはさておき、食事や睡眠などの生活リズムを維持できていると、生活も精神状態や体調も安定してくると思われます。安定した生活を保てているかどうかは、前日と同じ生活リズムだったかどうかで考えればよいかと思います。極端に崩れてしまうことがあったとしても、あまり悲観せずに、一定のリズムになるよう維持していけるようにすればいいと思います。

・身体衛生の保持が一定のペースでできる
・毎日歯磨きを欠かさない
・毎日下着を着替えている
・毎日洗顔をしている
などです。毎日でなくても、数日に一回などでも、一定のペースを維持できているならばよいと思います。健康な人にとっては当たり前のようなことですが、精神的な不調に陥るとこのようなことも難しくなる場合があります。自分にとって困難だと感じることは無理をせず、できる範囲で、毎日できることは続けていきましょう。少しずつ項目を増やしていくのもいいと思います。(歯磨きは毎日できているが洗顔は毎日は難しいという場合、2日に1回は洗顔をするというような仕組みにしてみるとか)
「歯磨きや洗顔、入浴をする」ということが困難な場合、それらを楽しく感じる工夫をするのもいいかもしれません。好みの香りの歯磨き粉や洗顔料、入浴剤を使うとか、お風呂を泡風呂にしてみるとか。

・必要に応じて外出ができる
病院の通院、通学、通勤など、必要に迫られたときに外出ができるかどうかです。体調次第の面もあると思いますので、体調によっては外出がままならないこともあると思います。どうしても外出しなければならないときに、それができたら自分をほめてあげましょう。もちろん、できなくても自分を叱る必要はありません。今はまだ自分にとって難しいことなのだと考え、無理はしないのが一番だと思います。
外出する理由がこれといって無い場合、散歩(ウォーキング)を目標にしてみるのもいいと思います。これも無理に毎日続けようとせず、週1回だとか、1回5分だとか、そのくらいから始めてもいいと思います。
外出がどうしても困難な場合、困難でなくなるまで外出を極力控えるのもよい方法だと思います。私は不調な時期には一切外出しない(できない)週があったりします。

準健康レベル編

ここまでできたら日々の生活に関する課題はほとんどないと思われるレベルです。アルバイトや仕事なども挑戦できるかもしれませんね。

・生活リズムが安定している
食事、睡眠などのリズムが長い間安定し、多少崩れてもすぐに修正できる場合は、とてもよい状況にあると思います。定期的に外出をすることも体調次第ではできるでしょうし、少し遠い予定を入れることもできるようになるでしょう。

・身体衛生の保持が安定してできる
歯磨き、洗顔、入浴、着替えなどが「特別な努力」をしなくてもできている状態だと、健康な人の状態にかなり近いと言えると思います。私はまだ入浴に困難さを感じることが多々ありますが、ある程度のペースは維持できているので、まあいいかと思っています。身体衛生が安定して保持できていると、外出もしやすくなります。外出に際して特別な用意が必要ないからです。身体衛生の保持が特別なことになっている場合、外出に際して「まず入浴して着替えてから」という風になったりして、外出がしづらいです。ですが日々の生活で身体衛生の保持ができていれば、外出に際するハードルはかなり低くなると思います。

・外出することに困難さがない
外出をしようとしても体調が悪くなったりはしない、外出後も不調になることがないなど、外出に際して困難なことが特になくなった場合には、作業所に定期的に通ったり短時間のアルバイトをしたり、就職を試みたりすることができるかもしれません。作業所通いなどは難しいが遊びに出かけるのなら問題ないという場合も、遊びに行くのをきっかけとして外出する習慣をつけていくのもいいと思います。

終わりに

私が考えられるスモールステップはこんな感じです。私の場合は、この記事の原案を書いた当時(2015年5月)は概ね「応用編」止まりで「準健康レベル編」は一部のみ該当でしたが、現在(2018年12月末)は概ね「準健康レベル」で不調の時期には若干「応用編」に戻るという感じなので、そこそこ健康を取り戻してきているようだと感じました。進歩の少ない人生だと思っていましたが、そうでもないのですね。

これらの項目の他に、自分の趣味などから目標を作るのもいいかもしれません。「一ヶ月に1冊読書する」「ゲームを一ヶ月に1つクリアする」「映画を一ヶ月に1本見る」など。そこまでは難しいという人も、「朝はカーテンを開ける」「夜になったらカーテンを閉める」というくらいの目標でも、新しい習慣を作ろうと挑戦し続けるのはエネルギーの必要なことですから、有意義だと思います。家族と同居している人なら、「家族におはよう(おやすみ)と言う」などもいいかもしれませんね。

せっかく生まれてきたのですから、人生を楽しんで損はないと思います。ですが、物事を楽しむためには体力が必要ですし、体調も安定させておく必要があります。気が滅入っていたり、体の具合が悪かったりすると、楽しいはずのことも楽しめないことが少なくありません。人生を全力で楽しむために、体力づくりをし、充分な食事と睡眠で疲れを取り、体調を安定させ、お金を稼ぐということが必要になってきます。

私はまだお金稼ぎが安定しませんが、お金を稼ぎたいという意欲が数年前に比べて格段にあるので、その点でも意欲的に生きられるようになってきたなと感じます。今後は人生の充実をもっと目指していきたいと思います。

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