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ヤギさん郵便No.56「私の中の悪魔」


サラサラの髪を編みこみして笑顔が可愛いトモミちゃん。
クセ毛の寝グセを必死で直して上手く笑えない私。
トモミちゃんみたいに可愛く生まれてきたら私だっていつも笑顔でいられるのに。
ユリちゃんのお父さんは経営者で大きな家に住んでいる。
ハルコちゃんのお母さんはお菓子作りが趣味で日曜日にはクッキーを焼いてくれるんだって。
私だってユリちゃんのようなお父さんがいて、ハルコちゃんのようなお母さんがいたら、私だってきっと‥
学校の先生は人間は平等だって言ってたけど、生まれたときから人間は平等ではないよね。美人とブスがいてお金持ちと貧乏がいる、どこが平等なの?
人を見たら泥棒と思え 火を見たら火事だと思うくらいの用心深さを持ってちょうどいいんだって。誰から教えられたか覚えていないけどその通りだね。信じて裏切られるのって怖いよね。


冷めきっていた子供。
楽しいことなんてない。
写真はいつも仏頂面、楽しくないのに笑えない。
運動会も遠足も行事は面倒だった。
クリスマスもバレンタインもう浮き足だった雰囲気が嫌いだった。
早く大人になりたいと思った。
大人になれば自分の思うようになると思った。

そして大人になった。
大人になったけれど、何も変わらなかった。
虚しかった。
寂しかった。

そんな時、セルフコーチングを知った。人生を変えられるって知ったときは飛び上がるほど嬉しかった。
目の前がパーと明るくなった。

笑う練習をした。
眉と口角を上げると笑っているように見えることを知った。

家を片付けて掃除を習慣にした。
新しい家でなくても気持ちよく住むことができることを知った。

お菓子作りを習ってみた。
女の子になれた気がして恥ずかしい気持ちになった。

人を信じてみようと思った。
この人の言う事を信じてみようと思った。でもそれは嘘だった。大声で怒鳴った泣いた、そして恨んだ。
はじめて心の底から人を恨んだ。こんな人はいない方が世の中のためだと思った。
その人がいなくなればいいと思った。
心は悪魔だった。
恨みは怨念となってその人を貫き通した。その人に向けた怨念は自分に戻ってきて辛く苦しい経験をした。



昔の話、もう忘れたつもりだったけど、あるきっかけで忘れたつもりの感情が一気に吹き出してきた。
悪魔が再び忍び寄る。
恨むことの方が容易い、なら難しい方を選択してみようと思う。

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